News 2001年12月14日 08:58 PM 更新

業界初の10ビットガンマ補正,タテ型表示も広視野角――シャープのハイスペック18.1型液晶

シャープが,18.1型液晶ディスプレイを発表。10ビットのガンマ補正機能で,キメ細かな階調表示や微妙な色合いの差が再現できるという。また,画面回転機構を装備し,タテ型表示時も視野角が広いASV方式低反射ブラックTFTを採用している。

 シャープは12月14日,ASV方式低反射ブラックTFT採用の18.1型液晶ディスプレイ「LL-T1820」を発表した

 新製品の最大の特徴は,10ビットのガンマ補正機能を採用したことだ。入力信号を本体内で高精度処理することにより,「キメ細かな階調表示や微妙な色合いの差までクリアに再現できるようになった」(同社)という。


ASV方式低反射ブラックTFT採用の18.1型液晶ディスプレイ「LL-T1820」

 ガンマ補正とは,モニターに表示された画像の全体的な明るさや色の彩度を調整することだ。明る過ぎる画像や逆に暗過ぎるような画像を見るときには,ガンマ補正を行うと画像に忠実な階調表現を得ることができる。

 ただ,従来の液晶ディスプレイでは,ガンマ補正値を簡単に変更できなかった。「ユーザーは,コントラストとブラックレベルを細かく調整して,希望の階調に近づけていた」(同社)。

 このガンマ補正を10ビットで行う「10ビット多階調処理技術」を業界で初めて採用したのが,今回の新製品だ。

 「8ビットではRGBの各色の明るさを256段階で表現する。一方,10ビットでは2の10乗,つまり1024段階となるためガンマ曲線もなめらかになり,画像の濃淡も細かく表現できる」(同社)。


10ビットのガンマ補正で,画像の濃淡も細かく表現できる

 そのほかでは,画面を90度回転できる「画面回転機構」を装備。液晶パネルは同社独自のASV(アドバンスト・スーパーV)方式低反射ブラックTFT液晶を採用し,上下・左右ともに170度の広い視野角を持つ。新製品では,この“上下”にも広いという視野角がポイントとなっている。

 広視野角をうたう製品でも,上下の視野角は120度ぐらいしかないものが多い。それも,上からの視野角を広くしているため,下方向からは狭くなっているのだ。下からディスプレイを見るというおかしな使い方をするユーザーはまずいないので,考えてみれば当然のことだ。


左が従来機。下からの視野角は狭い

 このような視野角の割り振りは,通常の使い方なら問題はない。しかし,画面を90度回転できる画面回転機構が付いていると話は別だ。画面が回転してタテ長状態になった時,視野角の狭い下方向が左右どちらかにきてしまうのだ。さらに,もともと狭い上下の視野角が左右に置き換わるので,回転時の画面は見づらいものとなってしまう。「上下・左右ともに170度という均等な視野角は,画面回転機構を有効に使うために必要だった」(同社)。


画面回転機構を使ったタテ型表示でも,上下左右の視野角は170度となる

 さて,実売22万円という価格だが,個人ユーザーには少々手が届きづらい。ましてや,XGAの15型液晶が4万円前後から買える現在では,大画面の18.1型ながらも割高感は否めないところだ。

 しかし,こう考えてみたらどうだろうか。スペックによって価格差が大きいものといえば,PC本体もそうだ。デスクトップの安いものでは4万円以内で買えるものがあり,かたやバイオRXの最上位機種になると37万円もする。しかし,高性能化が目覚ましいPC本体の世界では,スペックの陳腐化はディスプレイの比ではなく,2年も使えば買い換えたくなってしまう。「PC本体は買い換えたが,ディスプレイは前モデルのもので3〜4年流用している」というユーザーも多いだろう。

 今回の新製品では,バックライトの寿命(輝度50%ダウン時)が約5万時間となっている。24時間連続点灯しても,5年以上は持つ計算だ。実際には一日中つけっぱなしという状態にはならないはずなので,少なくとも倍の10年は持つだろう。年間2万2000円と考えればいいわけだ。「長寿命設計のLL-T1820ならば,年間コストで考えれば個人ユーザーにも決して手の届かない製品ではない」(同社)。

 残念なのは,解像度がSXGAという点だ。18.1型という大画面ならば,せめてUXGA(1600×1200ピクセル)は欲しいところ。今後の製品展開について同社は「UXGA化も含めた高解像度モデルも視野に入れたラインアップ展開を行っていく」と話している。

 主な仕様は以下の通り。

製品名 LL-T1820-H(同B)
液晶 ASV&低反射ブラックTFT液晶
画面サイズ 18.1型(対角46センチ)
画素ピッチ 0.2805ミリ
輝度 220カンデラ/平方メートル
コントラスト比 400対1
視野角 上下170度,左右170度
最大解像度 1280×1024ピクセル
最大表示色数 約1677万色
インタフェース 信号入力:29ピンDVI-I端子,USB端子(アップ×1/ダウン×2)
サイズ 395(幅)×427〜507(高さ)×213(奥行き)ミリ
重さ 約8.9キロ(ディスプレイ部のみ約5.7キロ)
本体色 フロスティグレー(LL-T1820-H)/ブラック(LL-T1820-B)
価格 オープン(実売価格22万円前後)
発売日 12月27日(LL-T1820-H)/2002年1月26日(LL-T1820-B)

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