News 2001年12月14日 11:59 PM 更新

「赤い彗星」になった日──ザクを撃墜してきました(2/2)

 ザクの頭部は,手動で動かせるようになっているのだが,プロポの液晶ディスプレイの中心がザクマシンガンの照準になるように,うまく合わせてやらなければいけないのだ。

 泉氏に調整してもらってから,再びザク撃墜に出撃。2,3発外したものの,見事にヒット。「お母さ〜ん」(兵士A)という叫び声が聞こえた気がした。

 ただ,ザクは倒れる気配もない。BB弾を撃ち続けていると,泉氏が口を挟む。「ザクは,バトルを前提に開発したわけじゃありませんから。BB弾ぐらいじゃ倒れませんよ(笑)」とのこと。

 BB弾はなかなかの勢いで発射されるのだが,なるほど,ザクの胴体にかんしゃく玉でも張り付けておかないといけないわけだ(もちろん,壊したければ,の話である)。


ランドセルには,右からマシンガン用,本体起動用,モニタ起動用という3種類のスイッチがある


“ツノ”を外すと,CCDカメラ用の基板が覗く



足には,バッテリーを実装(両足でニッカドバッテリー×2)する。商品版のカラーリングはブラックになる。駆動時間は,フル充電で約30分となる。

“疑似”2足歩行とは?

 最後に,簡単にザクの開発背景について説明も付け加えておこう。

 ザクの開発プロジェクトが立ち上がったのは,約3年前。東京おもちゃショーで劇的なデビューを飾る,1年前のことである。泉氏によれば,いきなりザクの開発に着手したわけではなく,「疑似2足歩行システムを作ろう」ということで,プロジェクトはスタートしたという。ザクになったのは,「ガンダム関連の商品はプラモデルばっかりで,動くものがなかったから」だという。

 疑似2足歩行システムとは,簡単に言うと,足の裏の補助輪で安定した歩行を実現するシステムのことだ。ムービを見れば分かるが,ザクは歩行時に片足がわずかに浮いている。

 ただ,完全に足が地面から離れているかというと,そういうわけでもない。どんな仕組みかといえば,足が設置してる際には,タイヤは足の裏に収納され,足が地面から離れると,タイヤが飛び出てくるようになっている。

 この辺りの機構,じっくり足の動きを見ないと気付かない。つまり,完全な2足歩行ではないが,見た目には2足歩行に見える。だから,“疑似”というわけだ。


余裕の表情でザクを操る泉氏

 しかしながら,疑似だろうが,完全だろうが,あまり大した問題ではない。なぜなら,歩き方の問題ではなく,とにかく,「ザクが動いている」ことに価値があるからだ。TECH ROID R/C MS06-F ZAKU IIは,ロボットマニアに向けた商品ではなく,ガンダムマニア向けの製品なのである。

 「もっと速く,もっと複雑な動きをするロボットはいるかもしれません。だけど,TECH ROID R/C MS06-F ZAKU IIの価値は,ザクのデザインだというところにあります。モーターをたくさん積んだ結果,本来のザクとはかけ離れたデザインになっては意味がないんですよ。まず,デザインありきで製品開発を行ってきました」(泉氏)。

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[中村琢磨, ITmedia]