News 2002年2月14日 09:50 AM 更新

AMDがAlchemyを選んだ理由

MIPSベースのプロセッサを開発するAlchemy Semiconductorを買収し,ノンPC市場への参入を果たしたAMD。一方で「なぜARMではないのか?」という疑問の声もある。Alchemy Semmiconductor日本オフィスの中島裕氏に聞いた。

 AMDは,2月6日にMIPS32コアをベースにした省電力ハイパフォーマンスの組込型プロセッサを開発するAlchemy Semiconductorを買収。ノンPC市場への参入を果たした(別記事を参照)。

 PC向けのx86プロセッサの分野で競争力のある製品を持つAMDが,それを補完するプロセッサを手に入れたことになるが,一方で「なぜARMではないのか?」という疑問の声もあるようだ。

 例えばPDAの世界では,MicrosoftのPocketPCとPalm ComputingのPalm OSが両者ともARMアーキテクチャにしか対応していない。さらに低価格な高速ブロードバンドルータのほとんどは,内蔵コントローラにARM9系のデバイスを利用している。少なくとも,我々が目にする分野では,ARMが組み込み系プロセッサのデファクトスタンダードになりつつあるように見える。

 しかし,組み込み市場となるとMIPSのシェアは依然として高い。また,同じクロック周波数では,MIPSアーキテクチャの方がARMアーキテクチャのプロセッサよりも20%前後高速だ。さらに組み込み向けの事例が多いことから,開発環境もこなれていると指摘する声もある。

 Alchemy Semmiconductor日本オフィスの中島裕氏は「我々はすでに昨年,400MHz時に500ミリワットという低消費電力のシステムオンチップを投入。最大500MHzまでサポートしている。これに対してIntelは,先日やっと400MHzのXScaleを発表したばかりだ。パフォーマンス面,そしてパフォーマンスあたりの消費電力の両面で優れており,製品の投入時期に関しては1年ものアドバンテージがある」と話す。

 Alchemyはワールドワイドで20以上,日本でも3社の顧客を持っているというが,日本で開発が進んでいるデバイスは,Webパッド/セットトップボックス/インターネットゲートウェイと多岐に渡る。いずれもパフォーマンスの高さ,開発環境の整備などが評価されたものだ。

 「マイクロソフトと共同で,MIPS向けWindows CEのチューニングも進めている。確かにPocketPC 2002はARMのみのサポートになったが,かといってWindows CEがARMだけのものになったわけではない。特にパフォーマンスが必要な分野では,アーキテクチャはARMよりも明らかに優れている」(中島氏)。

 Alchemyが狙う市場はノンPCのインターネットデバイスだが,中島氏は「高機能なインターネットゲートウェイが,今後市場で大きく伸びる」と予想する。セキュリティ機能などを備えながら,ブロードバンドインターネットの帯域にも耐えられる高速なインターネットゲートウェイでは,ARMに対する圧倒的な優位性があるというのがAlchemyの主張だ。

 AMDとしては,Intelも製品を持っているARMベースのプロセッサではなく,あえて特徴を活かすことができるAlchemyの製品を選ぶことで,価格の叩き合いではなく,製品そのものの性能と質で競争することを好んだのかもしれない。またファブレスの半導体ベンダーであるArchemy Semiconductorを買収して自社の工場で生産することにより,Archemyの既存製品の競争力強化や次世代プロセスへの移行が行いやすいというメリットも考えられる。

 さて,話を伺った中島氏。実は元はAMDでマーケティング部門の責任者を務めていた。つまり,今回の買収劇により古巣に戻ったことになるわけだ。日本AMDの堺社長は「Alchemyの日本オフィスは元AMDの人間であり,買収後の話も非常にスムース。企業文化を互いに理解できているため,組織統合も楽に進めることができている」と大きな自信を口にした。

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[本田雅一, ITmedia]

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