News 2002年3月7日 11:38 PM 更新

Xboxのトラブル,ハードウェアメーカー関係者は「信じがたい」

Xboxの不具合について,ハードウェア業界関係者はどのような見方をしているのだろうか? 元東芝の技術者ならびに某ドライブメーカーのマーケティング担当者に話を聞いた。

 家庭用ゲーム機「Xbox」でCD/DVDに傷が付くとされていた問題は,マイクロソフトが無償交換・修理に応じると発表したことで,少しは落ち着きを取り戻しそうだ。

 ところで,Xboxのドライブが原因とされる今回のトラブルだが,ハードウェアメーカーの技術者たちは,この件をどう見ているのだろうか? 元東芝の技術者および大手ドライブメーカーのマーケティング担当者に話を聞いてみたところ――。

 3年前まで東芝に在籍,現在は業界団体の幹部をしている技術者は,「今回のXboxの不具合で思い出すのは,1999年に米国のユーザーから起こされたフロッピーディスク訴訟のこと」と話す。

 「実際には,一件も被害が出ていないにもかかわらず,あの時,東芝は約1100億円もの巨額の訴訟和解金を支払った。翻って,Xboxに関しては,ディスクに傷が付くという実害が出ていると聞く。訴訟大国である米国のメーカーらしからぬ今回の一連の対応には,正直驚いている」(同技術者)。

 一方,某有力ドライブメーカーのマーケティング担当者も,今回の一件には驚きを隠せない様子で,匿名を条件に次のように話してくれた。

 「高密度記録のDVDは,少しの傷でもリードエラーになる恐れがある。メディアに傷が付くかどうかという検証は,ドライブメーカーなら最重要項目として取り組むことであり,今回の一件はちょっと信じがたい。ハードメーカーの場合,外部に生産委託するときの検品や動作検証のシステムが整っているケースが多い。そういった意味では,Xboxのトラブルはハード生産に慣れていないマイクロソフトならではの事故だったとも言えるのではないだろうか」。

 全てのXboxでCD/DVDに傷が付くわけではないとはいえ,購入を検討していた人は慎重にならざるをえない。マイクロソフトは,一刻も早く原因を究明して「安全なXbox」を出荷することで,消費者の信頼を取り戻すしかないだろう。

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[中村琢磨, ITmedia]

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