News 2002年4月16日 09:32 PM 更新

電子政府の筆記具を目指すアノトペン

日立製作所とAnoto ABは,アノトペンを使ったデジタルペン応用ソリューションを共同開発すると発表した。国内の電子行政分野で豊富な導入実績を持つ日立製作所の技術と,手書き情報を筆記と同時にデジタル化するAnoto ABのデジタルペン技術を生かして,行政機関への電子申請などに応用していくという。

 紙にペンで書いた“手書き情報”がデジタルデータとなり,Bluetoothを使ってPCや携帯電話に無線で伝送される“アノトペン”。転入転出届や婚姻届といった役所への申請書は,この“デジタルな筆記具”で記入する日がやってくるかもしれない。

 日立製作所とAnoto ABは4月16日,アノトペンを使ったデジタルペン応用ソリューションの共同開発で合意したと発表した。国内の電子行政分野で豊富な導入実績を持つ日立製作所の技術と,手書き情報を筆記と同時にデジタル化するAnoto ABのデジタルペン技術を生かして,行政機関への電子申請などに応用していくという。


アノトペンを行政機関への電子申請などに応用

 日本の電子政府・電子自治体への取り組みは,「e-Japan重点計画」に具体的な方針が示されているが,2003年度までに稼動させ,2005年には自宅やオフィスから24時間いつでも行政情報の閲覧・申請可能にすることなどを目指している。

 電子行政分野に力を入れてきた日立製作所は,行政への多様なアクセスを提供する「ハイブリッド型行政サービス」を提案してきた。「電子行政にはPCやモバイル,情報KIOSK端末などさまざまな入力手段が考えられているが,今まで通り紙とペンを使って記入したいというニーズは無視できない。デジタルペンを応用した今回のソリューションは,ハイブリッド型行政サービスのアクセス手段の1つとして提供していくもの」(日立製作所)。


行政への多様なアクセスを提供する「ハイブリッド型行政サービス」

 アノトペンを使ったデジタルペン応用ソリューションでは,Anoto ABが提案するGPLS(Global Paper Look up Service)」がある。アノトペンでデジタルペーパー上に記述した情報を,インターネット網を使ったオープンネットワークを使ってアノトパターン管理サーバに送ることでデータとアプリケーションを連結するというシステムだ。  今回,両社が共同開発を表明したデジタルペン応用ソリューションは,このGPLSではなく,「EPLS(Enterprise Paper Look up Service)」と呼ばれるもの。アノトペンから送られる情報を,庁舎(企業)の中に設置されているEPLSサーバによってアプリケーションごとに振り分けるというシステムだ。ローカルネットワーク内だけのシステムとなるため,業務ごとに機能やセキュリティレベルを管理しやすくなる。  「グローバルネットワークを利用するGPLSでは,システム規模が大きくなりすぎる。業務ごとに機能やセキュリティレベルを管理するためにも,GPLSとは別のソリューションが必要だった」(日立製作所)。

 利用者側としては,申請書の記入に普通のボールペンと代わらない(現時点ではサイズに若干問題があるが……)アノトペンを使うというだけで,これまでと同様「手書き」という手段で各種申請を行える。本格的な電子行政導入後も,住民は従来どおり手書き記入するだけでよいのだ。  「行政機関側も,手書き申請情報をコンピュータに入力し直すという手間を省くことができる。業務の効率化につながり,窓口の待ち時間も短縮される」(日立製作所)。


手書きの申請書が,アノトペンによって電子化される

 今回のデジタルペン応用ソリューションは,電子行政システムへの利用例が紹介されたが,アノトペンは筆跡や筆圧のデータも記録することができることから,クレジットカード利用時の自筆サインの認証システムや,検温表など病院での患者情報データ化,保守点検,報告書作成などさまざまな分野への応用が見込まれる。「電子行政や企業における各種申請業務にとどまらず,物流管理,医療,金融,アミューズメントといった分野での適用を視野にいれている」(日立製作所)。

アノトペン国内第1弾はLogitecブランドで登場

 今回は行政や企業への応用例が紹介されたアノトペンだが,Anoto AB社があるスウェーデンでは,アノトペン第1弾製品として,Sony Ericsson Mobile Communicationsから携帯電話と連携した「CHATPEN」が来週にも発売される。Orjan Johansson氏は日本での製品発売について「今年末には発売したいと思っているが,公式な発表というわけではない。ただ,世界的なPC周辺機器メーカーのLogitecから,アノトペン関連製品が今秋にも発売される予定」と語り,アノトペン国内第1弾製品はLogitecブランドとして登場することを示唆した。

 アノトペンは,やや大ぶりなそのボディが日本市場向け製品として合わないのではと指摘されていたが,2003年に登場するといわれている次世代のアノトペンでは,大きさが現在の約半分にしていくとAnoto ABは明言している。このようなペンサイズの小型化も含めて,ハード開発面で日立製作所の技術が使われることがあるのだろうか。

 「今回のアライアンスでの当社の役割はソリューションの提供。ハード技術面での協力は,現時点では盛り込まれていない。将来的には(ハード技術面のアライアンスがあるかどうかは)分からない」(日立製作所)。

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関連リンク
▼ 日立製作所
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[西坂真人,ITmedia]

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