News 2002年5月14日 11:07 PM 更新

カシオの世界最薄デジカメ、そのテクノロジーと“小さな不満”

カシオ計算機が発表したカードサイズのデジタルカメラ「EXILIM」シリーズ。薄型化や高速応答性のために盛り込まれた同社の最新技術の数々は、「“ゴージャス”な指輪がピンボケになる」といった小さな不満も、吹き飛ばしてしまう?

 カシオ計算機が発表したカードサイズのデジタルカメラ「EXILIM」シリーズ。LCD搭載機としては“世界最薄”となるこの注目の新製品は、ZDNetでも今年3月末にEXILIMの開発者への独自インタビュー記事として取り上げた。


世界最薄”となるカードサイズのデジタルカメラ「EXILIM」

 EXILIMは、134万画素(有効124万画素)の解像度、1.6型液晶ディスプレイ、内蔵フラッシュメモリ、SDメモリーカード(MMC)スロット、リチウムイオン充電池など、デジカメの基本性能を押さえたスペックが薄型のボディに凝縮されている。


デジカメの基本性能を押さえたスペックが薄型のボディに凝縮

 どうやって、厚さわずか11.3ミリのスペースにデジカメの基本性能を収めることができたのだろうか。

 薄型化の障壁となるのが、光学系だ。EXILIMでは、従来のレンズ構成を根本的に改めたインバートテッサー方式を採用することでマイクロレンズ部をより薄くし、これに非球面レンズや新開発CCDを組み合わせて一体化した「HCLi(Hyper CCD-Lens integration)技術」によって、レンズモジュールの大幅な薄型化をはかった。「CCDとレンズを一体化することで部品も簡略・削減できた。このレンズモジュールは、わずか約8.8ミリしかない」(同社)。


レンズとCCDを一体化した厚さ8.8ミリのレンズモジュール

 「デジタルカメラでは初」(同社)というデジタルインタフェースTFT液晶を搭載している点も、小型化に貢献している。「従来、アナログインタフェースにあったビデオIC回路が必要なくなった。部品削減とともに(アナログよりも)鮮やかで美しい画像を映し出せるようにもなった」(同社)。

 さらに注目したいのがCCDの大きさ。通常、130万画素クラスでは1/3.2型のCCDを使うが、EXILIMでは少し大きめの1/2.7インチの正方画素原色プログレッシブCCDを採用している。

 「微妙な色合いや階調再現力、ノイズの少ない画像を得るためには、撮像素子が大きいほうが有利。EXILIMでは、従来モデルに比べて約1.4倍となる4.1ミクロンピッチという大きなセルのCCDを新たに開発した」(同社)。

日常の瞬間を切り取れる“クイックレスポンス”

 このような最新技術によって、基本性能を押さえた“世界最薄”のデジカメができあがったわけだが、実は同社が何よりもアピールしたいのは、薄さよりもEXILIMの“高速応答性”だ。新開発のLSIによって、スイッチを入れて約1秒でスタンバイとなる「高速起動」、約0.01秒の「レリーズタイムラグ」(シャッターを押してから実際に撮影に入るまでの時間差)、約0.6秒間隔で撮影できる「高速撮影」という、3つのクイックレスポンスを実現している。

 同社の鈴木洋三常務は14日の発表会で「このカメラは単に薄いというだけではない。スイッチを入れたらすぐ撮影ができ、次々とシャッターが切れるのが特徴。この素早い操作感は、従来のデジカメに欠けていたもの」と語り、EXILIMの高速応答性をアピールした。

 「当社は1995年に、液晶付きデジカメの起源といっても過言ではないQV10を発売。撮ったその場で楽しむというスタイルを提案した。しかし、画素数を中心としたこれまでの進化は、単に銀塩カメラの置き換えをしてきただけ。さらに市場を拡大していくためには、デジカメならではの提案が必要。カードサイズとともに、クイックレスポンスで、“日常の瞬間を切り取れる”デジカメを提案できたと思っている」(鈴木常務)。


「日常の“瞬間”を切り取れるクイックレスポンスが特徴」と語る鈴木常務

 14日の発表会では、「日常の1コマを気軽に撮影できる」というEXILIMの特徴を紹介するため、各界の著名人にあらかじめEXILIMを渡して撮影してもらい、その作品をギャラリー形式で展示するという催しも行われた。


各界著名人のそれぞれの日常をEXILIMで撮影した作品がギャラリー形式で展示

 ギャラリーには、フォトグラファーの桐島ローランド氏、アーティストの杏子さん、フリーアナウンサーの中井美穂さん、華道家の假屋崎省吾氏、エッセイストのパンツェッタ・ジローラモ氏など個性豊かな面々が、それぞれの視点で日常のさまざまな場面やモノをEXILIMで撮影した作品が展示された。その中でも、叶姉妹の妹・美香さんのコーナーがひときわ注目を集めていた。


ひときわ注目を集めていた叶姉妹の妹・美香さんのコーナー

マクロがないため、“ゴージャス”な指輪もピンボケ?

 今回、EXILIMのスペックを見て、唯一不満に思ったのは「撮影可能距離が約1メートルから」という点だ。マクロの必要性は、奇しくもギャラリーに展示された1枚の写真が大きく訴えていた。

 美香さんの作品の中に、姉・恭子さんの手に輝く“ゴージャス”なダイヤモンド(?)の指輪を、EXILIMで撮影した写真が展示されていた。ここで気づいた読者も多いだろうが、指輪を撮影しようと思ったら被写体から1メートル以内に近づくのは当然のこと。いくらゴージャスな数十カラットの宝石とはいえ、やはりEXILIMの撮影可能距離以上に被写体に接近してしまったその作品は、見事にピンボケとなっていた。


見事にピンボケとなった姉・恭子さんのゴージャスな指輪

 「マクロ側に弱い点は、QV10の時のようにマクロと標準の切り替えスイッチで対応しようかとも考えたが、切り替え忘れによる撮影ミスが多くなるため搭載を見合わせた。次世代のEXILIMでは、オートフォーカスでマクロにも対応できるようにしていきたい」(同社)。

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[西坂真人, ITmedia]

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