News | 2002年7月4日 09:44 PM 更新 |
東京ビッグサイトで7月3日より、「第10回産業用バーチャルリアリティ展」(IVR)が開催されている。IVRは、産業応用を目指したVRの総合的な展示会。展示会場には、「仮想現実感」を創出するさまざまな技術が紹介されているが、キヤノンが開発した「MR Platform System」は見た目の“分かりやすさ”もあり、大きな人気を集めていた。
MR Platform Systemとは、「現実世界」と「仮想世界」を融合させた空間を作り出すものだ。「MR」とは、“Mixed Reality”の略語である。キャノンでは以前より、MR分野の取り組みを行っており、2000年3月にはパシフィコ横浜で研究成果発表イベントも開催している。同社MRシステム開発センターの武元和樹氏によれば、IVRで展示中のシステムは、実際に販売できるレベルにあるという。
キヤノンのブースに近づくと、「夢遊病者」のようにさまよっている人がいることに気が付く。ビデオシースルーHMD(Head Mounted Display)を装着し、手探りするように歩いているのだ。なぜなら、HMDを付けている人には、魚が目の前を泳いでいるように見えているからだ。
HMDは、CCDカメラで捕らえた現実空間を立体映像として処理。その映像と(魚の)CG映像と合成した結果を立体ビデオ映像としてHMDの液晶ディスプレイに表示している。つまり、背景の水色や、ブース内に置かれている珊瑚礁のセットという現実世界に、3DCGの魚の映像をオーバーラップさせている。これによって、あたかも海中にいるような体験ができるというわけだ。
ただ、周囲の人には魚は見えないので、体験者の行動は非常に怪しく見えてしまう(ただ、海の中だからといって、泳ぎ出すひとはさすがにいなかった)。また、この魚に触れることはできない。たとえ、鮫が襲いかかってきたも、反撃することはできない(下の写真、体験者が鮫に襲われそうになっている)。「アプリケーションの作り込みの問題なので、そういったニーズがあれば、もっとインタラクションできるようにもしたい」(武元氏)。
MR Platform Systemは、HMDとデータ処理用PC、ならびに位置測定センサーから構成される。下の写真で説明すると、体験者のHMDにはセンサーが付いており、机の横にあるセンサーとのやり取りすることで、体験者の位置を計測できるようになっている。この体験者には、“何もない”机の上に箱が置いてあり、目の前を模型飛行機が飛んでいる映像が見えている。その映像が、横の液晶ディスプレイに表示さているのだが、3DCGだけのVRではなく、現実世界と融合させることによって、よりリアリティが増していることは間違いない。触ってみたくもなるというものだ。
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[中村琢磨, ITmedia]
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