News | 2002年7月19日 11:09 PM 更新 |
通信インフラとして成長著しいインターネットをITS(高度道路交通システム)に活用した新しい通信基盤「インターネットITS」が注目されている。「WIRELESS JAPAN 2002」の会場でも、関連企業・団体が出展したインターネットITSブースが大勢の人を集めていた。
インターネットITSは、自動車の情報システムにインターネットを接続し、情報の共有・活用を可能にするもの。経路情報やガソリンスタンドでの電子決済といった一般ドライバー向けのサービスに加え、自動車に搭載された各種のセンサーから情報を収集し、さまざまなサービスに生かす試みも行われている。 ブースは「インターネットITS協議会」の設立準備を進めているトヨタ自動車、デンソー、NECが共同で出展した。
展示でまず目を引くのは、ブース中央に鎮座した真っ赤なオープンカー。世界初の、車載サーバを搭載したインターネットITSコンセプトカーで、ベースはトヨタのミッドシップ・オープン2シーター「MR-S」だ。車載サーバはインターネット接続機能を持ち、振動や温度など過酷な使用環境になりがちな車内でも安定した性能を発揮できる仕様となっている。
簡単なリモコン操作で、ネットワーク経由でドライブルートをガイドする「ネットワークナビゲーション機能」や、ネット上の飲食店情報や音楽・映画情報を動画で入手する「マルチメディア機能」、メール送受信、音声認識/合成、インターネット閲覧などが行える。通信インフラはNTTドコモのFOMAサービスを利用する。Linuxベースで動いており、Javaアプリをダウンロードしてゲームを楽しむことも可能だ。
ブースでの展示の中心は、名古屋や首都圏などで昨年から行われてきたインターネットITSのフィールド実証実験の紹介。車内のエレクトロニクス機器や各種センサーをIPV6でネットワーク化したITS高機能実験車「IPv6カー」や、実証実験で使われた車載機などの展示も行われた。
IPv6カーは、インターネットITSの5-10年後を具現化したコンセプトカーで、トヨタのワゴン車をベース車両としている。車内にIPv6ネットワークを構築し、各座席に専用のタッチパネルディスプレイや各種センサーを装備。自車の位置や速度、走行地点の天候といったさまざまなデータを取得して情報発信する「プローブカー」の役割も担っているため、屋根には凸型ミラーを使って360度の風景が一度に撮影できるビデオカメラも設置されている。
今回出展した3社に慶応義塾大学を加えた「インターネットITS共同研究グループ」は、今年1月から3月までの3カ月間、名古屋と川崎の両都市でインターネットITSの実証実験を実施。そのとき使われた3種類のタイプの車載機も展示された。
名古屋の実験では、1570台のタクシーにこの車載機を設置。情報センターに自動的に送信される車両位置や速度、ワイパーの動作、乗車状況などをもとに、効率的な配車や運行管理を行う実験が行われたという。「タクシーを使ったITS実証実験は世界初。実験終了後も、システムを気に入ってくれた約70台のタクシーが、有料で継続利用している。秋頃、また同様の実験を計画している」(デンソー)。
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[西坂真人, ITmedia]
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