News 2002年8月7日 09:06 PM 更新

Windows上でLinuxと超漢字が使える――「Virtual PC for Windows」に新版

米Connectixが、Windows上で複数のOSを起動できる「Virtual PC for Windows 5.0」を発表した。AT互換機で動作するさまざまなOSをサポートし、Windows XP上でLinuxと超漢字を同時に動かすことも可能だ

 米Connectixは8月7日、「Virtual PC for Windows 5.0」を発表した。日本語版は9月13日に発売する(英語版は8月5日に発売済み)。価格はオープンだが、実売は5万円台になる見込みだ。国内では、メディアビジョンとアスキーが販売代理店となる。


Windows上で複数のOSを起動できる「Virtual PC for Windows 5.0」

 Virtual PC for Windowsは、Macintosh用のPCエミュレーションソフトとして有名なVirtuaPCのWindows版。PC上にAT互換機を作り出し(エミュレート)、その仮想AT互換機(バーチャルマシン)にさまざまなOSをインストールすることで、1台のパソコン上で複数のOSが動くマルチプラットフォーム環境を構築できる。

 新バージョンのVirtual PC for Windows 5.0では、「パフォーマンスの向上」「CPU使用率の制御」「ACPIのサポート」などの機能強化が行われたほか、作成した各バーチャルマシンに最大1Gバイトまでメモリを割り当てることが可能になった。

 「Windows XPなど新OSに移行した時に、Windows 98/95など旧OS時代のアプリケーションが動かなくなってしまうケースがあるが、Virtual PCを使えば旧OSをインストールしたバーチャルマシン上で旧OSのアプリケーションを継続利用できる。また1台のPCで、複数OSを再起動なしで瞬時に切り替えられるため、複数のプラットフォーム上でのアプリケーション動作テストやデバッグ作業にも使える」(同社)。


Windows XP上に、Windows 98とWindows 95をそれぞれインストールしたバーチャルマシンを作成可能

 プロセッサからネットワークカードまで、AT互換機のハードウェアシステムをほぼ完全なカタチでエミュレートしたバーチャルマシンは、各種Windows/DOSやLinuxのほか、OS/2やNovell NetWare6.0などAT互換機で動作するさまざまなOSをサポートする。Windows XP上で、Linuxと超漢字を同時に動かすことも可能だ。


Windows XP上で超漢字が使える

 インストールしたバーチャルマシンを画面上にリスト表示してワンクリックで起動できるランチャー「Virtual PCリスト」を備えるほか、「VNC(Virtual Network Computing)リモートコントロール機能」を装備、Webブラウザを使って遠隔操作もできる。


バーチャルマシンをワンクリックで起動できるランチャー「Virtual PCリスト」

 バーチャルマシンはOSを含めて1ファイルに収められる。そのファイルを仮想ドライブとして利用するため、HDDにパーティションを作成したり、ドライブを別に用意する必要はない。また、プログラムのインストールや実行によって不具合が起きても、その変更を破棄して終了することで元の状態に戻せるので、次のような使い方も可能だ。

 「最近はウイルスメールが非常に多い。電子メールに添付されたWindows(もしくはDOS)の実行ファイルなどはウイルス感染の危険から安易に実行できないが、ホストPCと完全に分離されたバーチャルマシン上なら、添付ファイルを実行してウイルスに感染しても、ホストPCへの影響はない」(同社品質管理担当ディレクターのJeff Woolsey氏)。

 ホストPC側のOSは、Windows 98SE/Me/NT4.0/2000/XPに対応。同社ではWindows 2000/XPを推奨している。ホストPCのCPUクロックは最低400MHz以上が必要(600MHz以上を推奨)。

 インストールに必要なホストPCのHDD容量やメモリは、ホスト/ゲスト両方のOSによって違ってくる。DOSならば50Mバイトのディスクスペースに32Mバイトのメモリと少なくて済むが、Windows XPでは2Gバイトのディスクスペースに128Mバイトのメモリが必要で、一番リソースを要求するWindows 2000 Advanced Serverでは、2Gバイトのディスクスペースに256Mバイトのメモリとなる。このスペックがホスト/ゲストそれぞれに要るため、例えばWindows XP搭載のホストPCにWindows 2000 Advanced ServerをOSにしたバーチャルマシンを作る場合、4Gバイトのディスクスペースと384Mバイトのメモリが必要となるわけだ。

 このように、Virtual PCを使って複数のOS環境を構築したい場合は、ホストPCにかなり大容量のHDD/メモリを搭載しなければいけない。また、実売5万円台という価格設定も、個人ユーザーには手が届きにくい。結局は、複数のプラットフォームを使って開発やテストを行う技術者やソフトウェア開発者、教育関連向けの商品ということになる。ただ、新OSへの移行でレガシーアプリケーションが使えなくなったユーザーなどにも便利なソフトだけに、ぜひ廉価版が欲しいところだ。

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[西坂真人, ITmedia]

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