News 2002年8月29日 08:40 PM 更新

エプソン、実売15万円弱の多目的プロジェクタ発表

セイコーエプソンが、普及価格の多目的液晶プロジェクタ「ELP-30」を発表した。価格もさることながら、ホームシアター用途とビジネス用途の両方に対応したマルチパーパス(多目的)プロジェクタである点が最大の特徴だ

 セイコーエプソンは8月29日、価格が19万8000円という普及価格の多目的液晶プロジェクタ「ELP-30」を発表した。実売では15万円弱となる見込みで「プロジェクタとしては国内最低価格」(同社)となる。本体カラーは、シルバーのほかにホーム市場を意識したブルーの2色を用意。エプソン販売を通じて9月6日から発売する。


多目的液晶プロジェクタ「ELP-30」

 ELP-30は、その価格もさることながら、ホームシアター用途とビジネス用途の両方に対応した新ジャンルのプロジェクタである点が最大の特徴だ。同社はこの新ジャンルを「マルチパーパス(多目的)エンタテインメントプロジェクタ」と位置付ける。

 だが、PCの画面をくっきりと映し出すデータプロジェクタと、ビデオ信号を暗い室内で映し出すホームプロジェクタとでは、本来、光学系の設計や画作りが全然違う。そのため、同社を含めプロジェクタメーカー各社は前者と後者を別製品でラインアップしていた。

 「明るい場所で利用することが多いデータプロジェクタは、明るさを優先するため3原色のうち緑成分を多くした色作りを行っている。この設定で映画などを見ると、黒が白っぽくういてしまうほか、肌色が人工的に見えてしまう」(同社)。


データプロジェクタの色作りは、明るさ優先で緑成分が多い

 しかし同社によると、市場では値ごろ感のあるデータプロジェクタを家庭用として利用するケースが増えているという。「当社のラインアップだと、実売20万円を切っている普及価格モデルのELP-51などが、このようなホームシアター向けとして利用されている。つまりユーザーは、ホームシアターとしても使える低価格なプロジェクタを望んでいるのだ」(同社)。

 今回の新製品は、基本的にデータプロジェクタの光学設計になっている。つまり、このままでビデオ映像を見ると、緑がかった不自然な色合いになってしまうのだ。そこで同社は、緑の光を約40%カットする光学フィルタ「シネマフィルタ」を開発。ホームプロジェクタとして利用する時は、このフィルタをレンズ前部に取り付け、光学的に補正することでマルチパーパスに使えるプロジェクタを作り出したというわけだ。


緑の光を約40%カットする「シネマフィルタ」は、レンズ前部に取り付ける

 「シネマフィルタによって色再現性が高まり、人物の肌色が自然な色合いになる。黒レベルも約40%低下するため、黒が沈んで映像全体が引き締まり、コントラストは約25%向上する」(同社)。


右がシネマフィルタ装着時の映像。黒が沈み、人物の肌色が自然な色合いになる

 さらにシアター/ゲーム/ノーマル/sRGB/ミーティング/プレゼン」の6つのカラーモード機能を搭載。シアターモードではシネマフィルタとの組み合わせにより、コントラストを落とすことなく映画鑑賞に最適な画質設定が行える。

 同社は今年1月、ホームシアター用液晶プロジェクタの新製品としてHDTV対応のハイエンドモデル「ELP-TW100」とエントリーモデル「ELP-TS10」を発表し、ホームシアター市場へ本格参入した。この時のELP-TS10の実売価格が30万円弱。「コントラスト比でやや劣るものの、見た目の映像はELP-TS10とほとんど変わらない」(同社)という今回の新製品は、実売で15万円を切るという戦略的価格で登場した。さらにホームもビジネスもターゲットにした“マルチパーパス”という欲張りな仕様で、プロジェクタ市場のすそ野を一気に拡大する構えだ。

 「プロジェクタは、もはやオフィスのものだけではない。ELP-30は、シネマフィルタを使用することで6畳間で80インチの大画面を楽しめる。もちろん、プレゼンテーションツールとして、ビジネス用途にも使えるスペックを持つ。この商品は、年間3万台を販売できる商品力がある」(セイコーエプソン専務の木村登志男氏)。

 主な仕様は以下の通り。

型番ELP-30
方式3原色液晶シャッタ式投影方式
液晶パネル0.5型ポリシリコンTFT液晶
画素数(横×縦×枚数)800×600×3
輝度800ANSIルーメン
コントラスト比400対1
対応ビデオ信号NTSC/PAL/SECAM、D1―D4
対応PC信号VGA/SVGA/XGA
サイズ309(幅)×219(奥行き)×93(高さ)ミリ
重さ約2.9キロ
価格19万8000円(実売15万円弱)
発売時期9月6日



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[西坂真人, ITmedia]

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