News | 2002年9月10日 12:25 PM 更新 |
こすっても傷が付かないハードコート技術
カートリッジは、様々な理由で光ディスクから排除される傾向にある。「ROMはもともと裸メディアであったため、そこにカートリッジといっても親和性がなく、使いにくい」(飯崎氏)からだ。
しかし、裸のメディアは、その密度が上がってくるとちょっとした汚れやごみ、指紋などによってエラーレートが増加してしまう。Blu-ray Discのような高密度のメディアでは、これは特に深刻な問題だ。「簡単にふき取ってしまえればよいのだが、現在主流のポリカーボネートでは、表面をこするとすぐに小さな傷が付いてしまう」(同氏)。
TDKでは、この問題を解決するため、盤面をこすっても傷が付かない「ハードコート」技術を開発し、7月のISOM/ODSでその成果を発表している。この技術は、1.1mmの基盤の上に、カバー層をつくり、その上に特殊なハードコートを施すというものである。ハードコートを施された盤面は、耐油性が高く、油性フェルトペンで書き込んでも簡単にティッシュペーパーなどでふき取ることができる。指紋も同様。もちろん、ふき取っても盤面に傷が付いたりすることはない。
筆者も実際にテストさせてもらったが、指紋や油性フェルトペンで文字を書き込んでも簡単にふき取ることができ、スチールウールでごしごし盤面をこすっても、傷が付くことはなかった。もちろんそんなことをすれば、CDやDVDなどでは簡単に傷が付いてしまう。ところがこのディスクでは、そんなことは微塵もないのだ。
同社がこの技術を開発したのは、次世代光ディスクでもメディアのカートリッジを排除したいという狙いがあるからだ。
「カートリッジを付けることによって使い勝手が低下するだけでなく、それによる製造コストも増加する。メディアが安価に購入できるようになってきたとき、気が付いたらメディアよりもカートリッジの方が高かったということさえ考えられる」(同氏)。また、カートリッジを不要にできれば、小型のドライブも簡単に作れるというメリットもある。
Blu-ray Discは現状では、メディアをカートリッジに収めているようだ。しかしこのハードコート技術の登場によって、もしかしたら、CDやDVDのようにカートリッジがないメディアが今後、主流になるかもしれない。
[北川達也, ITmedia]
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