News | 2002年10月1日 11:59 PM 更新 |
次世代光ディスクレコーダの製品化にあたって、鍵を握るパーツの1つが「青紫色レーザー」だ。CEATEC JAPAN 2002でも、豊田合成、ローム、シャープ、三洋電機などが青紫色レーザーを参考出展していた。
このうち豊田合成で出展していたのは、波長410ナノメートルで「30ミリワット(mW)」の出力を実現した青紫色レーザー。30ミリワットという出力は、次世代光ディスクレコーダで1層メディアの記録に必要といわれている出力である。波長が410ナノと、次世代光ディスクレコーダで採用されているレーザーよりも波長が少し長めだが、同社では、「光の形状など、これから細かいところの調節を行う予定だ。それなりに形になってきたので、来年には、なんとか間に合わせたい」と話す。
また、2層記録に必要といわれている「50ミリワット」の出力のレーザーは開発中とのことだが、まだ、サンプル出荷などの段階にはなっていないという。
ロームでは、「波長405ナノ、5ミリワット」の出力の青紫色レーザーの参考出展を行っている。5ミリワットという出力は、次世代光ディスクでは、再生専用のプレーヤ等で使用される出力といわれているものだ。同社によると、「30ミリワットや50ミリワットなど、記録可能な出力のレーザーは現在開発中。サンプル出荷には至っていない」。また、サンプル出荷の開始時期などは未定で、現状ではまだなんともいえない状況ということであった。
三洋電機ブースでは、ロームと同じ「波長405ナノ、出力5ミリワット」で、連続発振2000時間を達成した青紫色レーザーを参考出展していた。今後の展望について同社では「出力を記録可能な30ミリワットや50ミリワットに上げることは簡単にできる。ただし、現状では発振時間が大幅に短くなる。ハイパワーレーザーの開発には、出力を上げた時の寿命をいかに伸ばすかと、低ノイズに抑えるための対策が課題」と話す。
同社が出荷している現行DVD用の650ナノのレーザーは、連続発振が1万時間だという。ということは、今後はレーザーの出力を上げると同時に、5倍程度の発振時間を持つレーザーを開発する必要があるともいえるだろう。ただし、同社によると「開発のめどは立っているので、来年春ぐらいを目標に30ミリワットの出力のレーザーのサンプル出荷を開始し、秋以降に量産を開始したい」ということだった。
シャープでは、「波長405ナノ、出力30ミリワット」の青紫色レーザーを参考出展していた。「30ミリワット出力のレーザーは現在評価中で、サンプル出荷などは全く行っていない。来年末に量産出荷の方向を目指している」(同社)。
言うまでもなく、次世代光ディスクレコーダーにおいて青紫色レーザーは、最も重要なパーツであり、この量産ができない限り、最終製品の発売はありえない。しかし、CEATECの展示を見る限り、記録可能な30ミリワット以上のレーザーは参考出展されているものの、サンプル出荷を開始しているメーカーは1社もなかった。各メーカーが目標にしていたのは、来年末の量産開始だった。
CEATEC JAPAN 2002で次世代光ディスクレコーダーの試作機を展示していた各メーカーに聞いたところでは、彼らが採用していたのは、そのほとんどが日亜化学製の青紫色レーザー。このため、ここで紹介したレーザーのメーカーの話を単純に当てはめることはできない。しかし、多くのメーカーが「発振時間が短くなってしまうということさえ考えなければ、30ミリワットや50ミリワットというハイパワーレーザーは、簡単に作ることができる」と口を揃えていたことを考えると、これが現状なのだろう。これから発振時間を延ばす開発競争が進められる――先はまだまだ長いような気がしてならない。
関連リンク[北川達也, ITmedia]
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