News | 2002年11月19日 05:16 PM 更新 |
COMDEX前夜に行われる、恒例のBill Gates氏によるキーノートスピーチは、昨年の9/11の影響による厳戒態勢の中、「MGM Grand Garden Arena」で行われた。この厳戒態勢のすごさは、一般客の場合、金属探知機によるボディチェックはもちろんのこと、大きなバッグは中をすべて検査され、ベビーカーのオムツバッグまでもがチェックされていたことでも分かるだろう。
悲惨だったのは、われわれメディア関係者。カメラやノートPCの持ち込みをゲートのセキュリティで拒否されたのだ。取材をあきらめてしまったり、英語がわからず、ゲートで長時間うろたえたり(日本の某ビジネス誌の記者だった)という人間が続出した、メディア泣かせの強力なセキュリティだった(これもWindowsセキュリティ強化の一環か?)。
幸いにもそこに広報担当者が登場。泣き付いてなんとか商売道具のカメラとPCを持ち込むことはできた。ところが、今度はボディチェックの際に整理チケットを無くしてしまい、自分の席がわからなくなってしまった。すかさず、先ほどの広報担当のお姉さんに事情を話すと、快く特別席へ案内してくれた。
最前列から2列目の特別席をゲットできたのは、だから強力セキュリティのおかげと言うべきか。メディア関係者の多くは一般席からの撮影だったようなので、まさに災い転じて福となすといえるラッキーな出来事だった。
さて、Gates氏のキーノートスピーチはと言えば、一環してMicrosoftの広範囲な製品群の紹介に明け暮れた。その説明の合間に放映されたビデオでは、PCの始祖鳥とも言える「ALTAIR 8800」が、モーフィングによってiMacへ変わっていき、「ブルーのきょう体がそっくりだ」というナレーションには、会場も大笑いしていた。実際にはGates氏、いやMicrosoft社として初めての製品が、このALTAIR 8800用BASICインタープリタだったことへの思いも含まれているのだろう。
また、スピーチの合間に行われるショートコントのデモでは、先ごろ発売となったTablet PCによるコラボレーションワークの様子や、SmartDisplayのデモが行われた。
さらにWindows .NETによる、“どこでもkinko'sプリントアウトサービス”なども紹介。これは、米国ではMicrosoftによる「MapPoint」と呼ばれるマッピングサービスで最寄のkinko'sが表示され、そのkinko'sをプリントアウト先へ指定することによって、宿泊先からでもプリントアウトが簡単にできるというものだ。この紹介では、kinko'sの社長も壇上に現れ、サービスのPRをGates氏と共に行った。
さらに、COMDEXの開催に合わせて発表されたDell Computerの「AXIM X5」や、Hewlett-Packard の「iPAQ 1910」を、Gates氏が自分のズボンから次々に取り出して紹介した。と、ここまでは、既存のMicrosoft百貨店の製品紹介だったのだが、ステージにデスクが運び込まれて、その上に並べられた製品は違っていた。
「SPOT(Smart Personal Objects Technology)」と呼ばれる新しいソフトウェア技術を組み込んだ製品群は、基本的には家電製品であり、冷蔵庫、時計、キーホルダーなどが展示された。
この中で時計を例にとってデモが行われたのだが、単なる目覚ましではなく、Outlookによって出張のスケジュールが入ると、自動的にフライトに合わせて目覚ましの時刻が設定される。さらには、渋滞情報などを自動的に配信されれば、渋滞によって目覚まし時間が自動的に早くなるというものだ。詳しい内容は紹介されなかったが、来年の1月に開催されるCESで公表されるとのことだ。
これら、従来製品や新製品も含め、すべてのMicrosoft製品が、次期WindowsのLonghornで統合されるということをGates氏が公言した。即ちLonghornこそが、Microsoft百貨店の集約された姿ということになるのだろう。
特別席だったということもあり、業界の著名人の方々と席が隣になった。そのスナップ写真をいくつか撮影できたので、それを最後に紹介しよう。ご存知の方々ばかりなので、あえて説明はすまい。
[清水隆夫, ITmedia]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.