News 2002年11月26日 08:29 PM 更新

“FF”と“ドラクエ”が手を組んだ理由

エニックスとスクウェアが来年4月に合併し、「スクウェア・エニックス」として新たなスタートを切る。合併の経緯や今後の展開について両社のトップが語った

 スクウェアとエニックスは11月26日、2003年4月1日付けで合併することを発表した。新会社の名称は「スクウェア・エニックス」となり、エニックスが存続会社となる。新会社では、エニックス会長の福嶋康博氏が会長に、スクウェア社長の和田洋一氏が社長に、エニックス社長の本多圭司氏が副社長に、それぞれ就任する予定。合併比率はスクウェア株1株に対しエニックス株が0.81株となる。2005年3月期で連結売上高800億円、純利益150億円を見込む。

 都内で行われた記者会見には、エニックスの福嶋氏と本多氏、スクウェアの和田氏が出席し、合併の経緯や今後の展開などを語った。


都内で記者会見に臨む両社のトップ。左からスクウェア社長の和田氏、エニックス会長の福嶋氏、エニックス社長の本多氏

 エニックス会長の福嶋康博氏は合併の目的について、「エンタテインメント産業の大変革期において、いかに成長を継続していくかが重要な課題。その答えが今回の合併。両社が一体となる事によって、収益基盤の強化をはかり、クリエーター/コンテンツ資産に対する確固たる求心力を最大限に活用していくことで、世界最高品質のデジタルコンテンツ・メーカーを目指す」と語る。

 両社の合併の件は、以前からエニックス本多氏とスクウェア和田氏との両社社長同士の間で進んでおり、本多氏が福島氏に打ち明けたのが、今年8月中旬頃だったという。福嶋氏は「打ち明けられた時、“スクウェアと一緒になれるのなら素晴らしいこと。ゲーム業界にとってもいいことだ”とすぐに賛同した。10月入ってから、合併に向けての本格的な話し合いが始まった」と、当時の状況を振り返る。

 スクウェア社長の和田洋一氏は今回の合併について“攻めの合併”である点を強調する。

 「エニックスは高い利益率を誇る企業。スクウェア側も(映画事業の失敗など)悪いニュースはあったが、ここ最近は利益率も良くなった。両社とも現在の経営状態は順調なのだが、合併によってさらに強固な経営基盤となる」(和田氏)。

 スクウェアは「ファイナルファンタジー(FF)」、エニックスは「ドラゴンクエスト(ドラクエ)」と、両社ともにコンシューマ向けRPGのビッグタイトルを抱えるいわばライバルメーカーだ。RPGという同じ土俵で熱い火花を散らしてきたわけだが、和田氏は両社のソフトウェア戦略は、“理想的な補完関係にある”と語る。

 「ドラクエとFFは、テイストも違うしユーザーの考え方も異なる。展開エリアも、国内は両社とも活況だが、スクウェアは欧米に強く、エニックスはアジア地域に強いといったように、地域的な補完関係もある。オンラインゲームでも、サーバ型のFFXIを展開するスクウェアに対して、アジアでのネットゲーム事業を展開するエニックスと、違うタイプのゲームを提供している。この理想的な補完関係を、うまく合併のシナジーに変えていき、ユーザーが想像もできなかったような、新しいカタチのデジタルコンテンツを提供していきたい」(和田氏)。

 ゲーム業界は、開発費や宣伝費の高騰で資金不足に陥るソフトメーカーが相次ぎ、合併や協力関係の構築など再編の動きが加速している。再編の波は新興ソフトメーカーだけでなく、2001年8月にはハドソンがコナミ傘下に入るなど、老舗ソフトメーカーにまで及んでいる。スクウェアも、映画事業の失敗が影響し、2002年3月期は赤字に転落。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)が救済策として148億円を出資していた(別記事を参照)。


合併後は、業界最高水準の利益率を目指す(図版は配布資料をもとに作成)

 両社は2001年4月に、ナムコを含めた3社で株式の持ち合いなどを含む協力関係を構築している(別記事を参照)。さらに今回の合併によって理想的な補完関係を築き、シナジー効果によって業界最高水準の利益率を目指すという。

今後は、ゲーム機のプラットフォームに多大な影響も

 両社が誇る“FF”や“ドラクエ”といったRPGの強力タイトルは多くのユーザーに支持され、毎回発売日には販売店に長蛇の列ができるなど、社会現象にもなっていた。近年はその傾向が薄らいだものの依然として根強いファンは多く、この2大RPGの新作がどのプラットフォームで発売されるかによって、そのゲーム機の普及が左右されるという状況は変わらない。それだけに、合併後のプラットフォーム戦略は、気になるところだ。

 この点について本多氏は「ソフト開発に当たってのわれわれの一貫したテーマは、“ユーザーに喜んでもらえるもの”。このゲーム機だけでリリースするというような、プラットフォームを限定することはない」とし、和田氏も「プラットフォーム選択に関しては、その時点でユーザーが望むもので提供していくだけ。スクウェアはSCEに出資してもらっているが、それがプラットフォーム選びに影響することはない」と述べる。

 さて、エンドユーザーが気になるのは、FFとドラクエという2大RPGの今後の展開だろう。例えば、2つソフトが融合した新たなRPGの可能性はあるのだろうか。

 この件について和田氏は「合併後は、2社が一緒にならなければできなかったものを追い求めていくが、それがドラクエとFFが融合したものとは限らない。また、両社が現在展開している既存タイトルは、基本的に現状のものを継続していく」と語り、合併後もFFやドラクエといった主力タイトルの開発は、継続して行うことを明らかにした。


合併に向けがっちりと握手を交わす両社。左からスクウェア社長の和田氏、エニックス会長の福嶋氏、エニックス社長の本多氏

関連記事
▼ エニックスとスクウェア、来年4月に合併
▼ ナムコ、エニックス、スクウェアが連携へ
▼ スクウェア、SCEI引き受けの第三者割当増資148億円
▼ コナミ・ハドソン提携はなぜ進められたのか

関連リンク
▼ スクウェア
▼ エニックス

[西坂真人, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



Special

- PR -

Special

- PR -