News 2003年1月8日 10:22 PM 更新

ソニーが目論む“やんちゃなブランド”「アイワ」の使い方(1/2)

ソニーが、昨年12月に吸収合併したアイワの今後のビジネス展開について記者会見を実施。ソニーブランドとの住み分けや、アイワブランドの可能性が語られた

 ソニーは1月8日、2002年12月1日付で吸収合併したアイワのブランド戦略や今後のビジネス展開について都内で記者会見を実施した。


 同社は昨年2月28日、それまで出資比率61%だったアイワを100%子会社化すると発表。この時の記者会見上で、ソニーの安藤国威社長は「(将来的には)吸収合併も視野に入れていないわけではない」と話していた。

 それから7カ月後の9月27日、同社は12月1日付でアイワを吸収合併すると発表。「ソニーグループとしての効率的な一体経営のためには、完全に一元化された経営体制となる合併というカタチがより効果的である」(同社)という結論に至っての決断だった。これによって半世紀続いたアイワという企業は解散となり、ソニーグループの中で“1つのブランド”として生き残ることになった。

 大幅な人員削減の結果に残った約500人のアイワ従業員は、12月1日付でソニー内部に設立した「アイワビジネスセンター」に移管。海外マーケティングを取り仕切っていた平内優氏が同センターのプレジデントに就任し、新体制のもとで“ソニーの中のアイワ”の事業構築を図っている。


新時代の波を創り出すアイワをイメージした新ロゴ

 今回、アイワブランドの刷新のためにロゴマークを改定。新ロゴは“躍動感にあふれた新しい時代の波を創り出すアイワ”をイメージしたもので、国内では今年2月から新ロゴを冠した商品を投入していく。ソニー副社長の高篠静雄氏は「新ロゴのイメージのように新時代の波を創出するブランドに再興していく」と語る。


ソニー副社長の高篠静雄氏

 現在、アイワブランドとして展開する商品は、液晶TV/DVDプレーヤー/テレビデオといった映像関連、ミニコンポ/ラジカセ/ポータブルMDといった音響関連などAV製品が中心となっている。これらはソニーが展開する商品群ともオーバーラップするため、現行のアイワ商品に関しては各カンパニーとアイワビジネスセンターとが連携を図りながら共同で開発を継続していく。


吸収合併後の組織体制

 12月に設立したアイワビジネスセンターについて高篠氏は、「アイワブランドをフルに活用し新たな付加価値を創出することでソニーグループ全体の企業価値を高めるのがセンターの役割。特に、ソニーの各カンパニーでやらないもの、やれないものを積極的に開発。ソニーが保有するR&D・製造・販売の各プラットフォームを最大限に生かして商品作りをしていく」と語る。

ソニーブランドとの住み分けは?

 アイワビジネスセンタープレジデントの平内氏は、新生アイワのブランド戦略について「昨年12月1日付で“ソニーの中のアイワ”となった。ソニーとは違うバリューを提供していかなければ存在価値がない」と語り、新規カテゴリー導入によるイメージ刷新、大手量販店に絞り込んだ販売体制、新ロゴ投入によるブランディング活動の強化などをアイワブランド再興のシナリオとして掲げる。


アイワビジネスセンタープレジデントの平内氏

 だが、ただでさえ成熟市場といわれるAV製品分野で、ソニーブランドとは違ったバリューの商品の提供など果たして可能なのだろうか。既存のアイワ製品を見る限りでは、ソニー製品とオーバーラップするものばかりで、単にコストパフォーマンスがいい商品というイメージしかない。

[西坂真人, ITmedia]

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