News 2003年1月10日 01:33 PM 更新

“静音AVパソコン”を自作してみました(1/2)

低消費電力設計でファンレス動作が可能な小型PC向けプラットフォーム「Eden」に、待望の新製品が登場した。マルチメディア機能が強化されたこの新マザー「VIA EPIA-ME6000」を使って、“静音AVパソコン”を作ってみた

 VIA Technologiesが2001年12月に発表し、2002年4月に市場投入した小型PC向けx86プラットフォーム「Eden」。低消費電力設計でファンレスで動作できるという特徴が、“PCの静音化”というニーズや、デスクトップPCの小型・省スペース化といったSFF(Small Form Factor)の流れと合致し、Edenプラットフォームのマザーボード「EPIA-E533」は多くの自作ユーザーに受け入れられた。

 このEPIA-E533の後継モデル「VIA EPIA-ME6000」が、2002年11月末に市場に投入された(2002年11月28日の記事を参照)。東京・秋葉原では昨年12月第1週あたりから店頭に並び始めている。


EPIA-E533(左)の後継モデル「VIA EPIA-ME6000」(右)

 今回、マルチメディア機能が強化されたこの新マザーを使って、DVD閲覧から映像編集までこなす“静音AVパソコン”を作ってみた。

マルチメディア機能が強化されたEPIA-ME6000

 EPIA-ME6000はEPIA-E533と同様に、VIAが提唱する小型フォームファクタ「Mini-ITX」に準拠している。そのためマザーボードの大きさもEPIA-E533と同じ170(幅)×170(奥行き)ミリという超小型サイズだ。


VIA提唱の「Mini-ITX」に準拠した小型マザー「EPIA-ME6000」

 EPIA-E533は、このコンパクトな基板にCPUをはじめ、VGA出力/TV出力/サウンド/10/100BASE-TX対応LAN/USBインタフェースなど多彩な機能をオンボードで搭載しているのがセールスポイントだったが、スペック的にはお世辞にも満足いくものとはいえなかった。特にVGA機能はTrident Blade 3D互換程度のグラフィック性能しかなく、非力なCPUの組み合わせではDVD再生も“パラパラマンガ”以下の激しくコマ落ちした映像となり、途切れ途切れの音声も含めて閲覧に耐える代物ではなかった。

 ZDNetでも昨年5月に、EPIA-E533でファンレスの「静音PC」を作ってみた(2002年5月1日の記事を参照)。“図書館並み”の静かなPCが出来上がったものの、ベンチマークの結果ではCPU性能はCeleron/300MHz程度でオンボードのグラフィックも貧弱なため、ウェブ&メール閲覧マシンか“モノ書きPC”ぐらいにしか使えないスペックだった。


EPIA-E533で作った「静音PC」。騒音計で“図書館並み”の静かさが実証されたが、性能はイマイチ

 今回のEPIA-ME6000は、マルチメディア機能が強化されているのが特徴だ。まずチップセットが変更され、ノースブリッジに新開発のApollo CLE266を、サウスブリッジにはVT8235を搭載した。

 CLE266チップセットは、VIAが擁するS3 Graphicsチームが開発した「CastleRock」という内蔵グラフィックコアを統合している。このCastleRockにはMPEG-2デコーダ機能が組込まれており、オンボードグラフィックスながらスムーズなDVD再生が可能になった。またメモリは、高帯域幅を誇るDDR266 SDRAMに対応。高速なPC2100メモリを使えるようになった半面、オンボード機能を欲張りすぎたせいかメモリソケットは2基から1基に減らされてしまったのは残念だ。

 サウスブリッジのVT8235は、USB2.0やATA 133など高データ転送速度の最新インタフェースが組み込まれている。そして、IEEE1394インタフェースも用意された。ただし、IEEE1394ポートはI/Oパネル部にはなく、付属の専用ブラケットを介して利用する。

 またオーディオ分野に関しても、5.1chサラウンドに対応したVIA VT1616 6チャンネルAC97コーデックをオンボードで搭載。そのほかでは、EPIA-E533では省略されていたFDDインタフェースが搭載されている。PCIスロットを1基搭載し、TV出力機能(S端子、コンポジット)や10/100BASE-TX対応LAN機能をオンボードで備えている点はEPIA-E533と変わらない。

 EPIA-ME6000とEPIA-E533の機能面の違いをまとめてみた。

EPIA-ME6000EPIA-E533
プロセッサEden ESP6000/600MHzEden ESP5000/533MHz
チップセットApollo CLE266+VT8235Apollo PLE133+VT8231
メモリDDR266 SDRAM(PC2100)SDR SDRAM(PC100/133)
メモリソケット数1基2基
MPEG-2デコーダ機能×
IEEE1394×
FDDインタフェース×
TV出力機能
USBUSB2.0/1.1(4ポート)USB1.1(2ポート)
オーディオ6チャンネル(5.1chサラウンド対応)2チャンネル
LAN10/100BASE-TX10/100BASE-TX

 170ミリ角の小型マザーに、よくこれだけの機能をオンボードで搭載したものだと感心する。CPUも搭載しているので、あとはメモリ、HDD、ケースがあればとりあえずPCとして動かすことができる。EPIA-ME6000は秋葉原などで1万8000円前後で売られている。CD-ROMドライブをつけても、4万−5万円以内で収まるのはうれしい。

 今回のコンセプトは「DVDが楽しめて映像編集もできる“静音AVパソコン”」なので、光ディスクドライブは記録型DVDドライブを搭載することにした。

[西坂真人, ITmedia]

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