News 2003年1月21日 03:42 PM 更新

レーベルゲートCD、22日スタート。気になるサポートは?(2/2)


前のページ

 というのは、“CCCDの再生”を正式サポートした機器が、ほとんど販売されていないからだ。つまり、販売側は、再生できることを前提としているが、肝心のハード側では再生を保証しないという構造になってしまっている。

 この点について、井出氏は、個々に対応すると前置きした上で、「基本的には、他社と同じで、今の段階では、商品の製造不良でない限りは、返品交換には応じない」のが公式スタンスであるという。

 ただし、返品に応じないとはいっても、「電話ですぐ“だめ”と言うことはない。できるだけ歩み寄る努力を行いたい」(井出氏)。

 「再生できないなどの場合は、いったん商品をこちらに送っていただいて、実際にお客様が再生できないといわれる機器と同じもので私たちもテストを行います。そして、本当に聞けないということになれば、工場に送り、品質管理チェックを行い、品質が問題だということになれば、良品と交換ということになります」(井出氏)。

 また、レーベルゲートCDでは、パソコン用の圧縮音源が記録された第2セッションのみが読み出せて、再生専用機などで使用される最初のセッションが読み出せないというケースももちろん考えられる。井出氏によると、こういったケースも同様。製造不良以外では、基本的に返品には応じないという。

 とはいえ、CCCDである以上、良品でも再生できないという可能性はもちろんあるし、他のメーカーが導入したCCCDでは、すでに再生ができないことが分かっている機器も存在している。現実問題として、旧型の機器を含めてすべての機器のサポートが行うということは事実上不可能だろう。

 この点についての井出氏は、「原則、コピーコントロールが原因で再生できないということがわかった場合は、申し訳ございませんが、別の機器で聞いてくださいということになります」としながら、「ユーザーサポートの難しさは、十把一絡げにして、一通りの対応をするのではうまくいかない点にある。今言えるのは、いわゆる原則論でしかない」とも言う。

 これにはもちろん理由がある。実際の障害も、全く聞けないものから、ノイズや音とびなど程度の差もある。どこまでを販売側の責任でサポートし、どこまでをサポートしないかという線引きは、“正式ない対応機器”が存在していないため、かなり曖昧なものなる。何より、「実際問題、(CCCDではない)通常のCDでも、いろんな理由でどうしても聞けないということだって起こりえるんです」(井出氏)。

 「例えば、一番最近出てきたのはDVDですが、DVDはやっぱり互換性の問題でまだまだクリアになっていない部分が一杯ある。SACDのようにハードウェアも一緒になって切り替わるのだったら良いのですが、既存のものに後からソフトウェアのフォーマットに変更を加えた新しいフォーマットを導入すると、当初はどうしても混乱が避けられない。すでに数多に出ているすべての機器で100%再生を保証できるかと言われると、それはできないんです」(井出氏)。

 だから井出氏は、「再生できなかったり、音とびがするといったいろんな障害が出たりしたら、まず、弊社のサポートに相談してほしいと思っています。弊社のほうでもなんとか聞けるような環境に導きたい」という。「原則は確かに先ほど行ったとおり。しかし、原則ですべて走るのではなく、個々に対応していく努力を当然やりたい」。

 加えてこうした対応するのは、SMEとしてもレーベルゲートCDについてのノウハウがまだ蓄積されていないということがある。「私たちも、そこ(CCCD)の部分のノウハウが今はまだありません。申し訳ないのですが、こちらも勉強させていただきながらやっていきたいんです」(井出氏)。

 もちろん、原則、返品/返金を認めないということには、ビジネス上の事情もある。それは、関係ない人まで返品/返金に来る可能性にどう対処するかという、悩ましい問題があるからだ。

 記憶に新しいところでは、昨年話題になった北海道の西友の牛肉事件がある。これは、偽装表示をしたことによって、レシートなしで返金に応じたら、関係ない人まで殺到したというものだが、CCCDの返品問題も下手をするとこれと同じことになりかねない。特に販売店との関係では、これは深刻な問題だ。というのも、実際の状態を確認することなく返金に応じてしまうと、メーカー側にどんどん良品を不良品扱いで戻す可能性が出てくるからだ。

 レーベルゲートCDが再生できなかったときの対処は、だから最終的にはSMEの判断に委ねられる。しかし、現状で分かっているのは、問題があったら、SMEのカスタマーサポートに連絡することが最良の方策であるということ。これに尽きるだろう。



関連記事
▼ 新しいコピーコントロール――レーベルゲートCDの「認証技術」ってなんだ?
ソニー・ミュージックエンタテインメントが来年1月から導入を始める「レーベルゲートCD」は、ネットワーク認証を利用した新しい形のコピーコントロールCDだ。それはどのような仕組みになっているのだろうか

▼ SME、ネット認証型コピーコントロールCDを発表

[北川達也, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/2 | 最初のページ