News 2003年1月28日 09:45 PM 更新

日本は米国よりも“さらに厳しい船出”?――MSN 8日本語版

マイクロソフトが、「MSN 8」日本語版の提供を開始した。接続サービスとのセットメニューがある米国と違って、インターネットサービスのみで有料サービスに勝負することになる。“ネットは無料”という意識も含めて、状況は米国よりも厳しそうだ

 マイクロソフトは1月28日、インターネットサービス最新版「MSN 8」日本語版の提供を開始したと発表。同日、都内で新サービスのプレス向け説明会が行われた。


 MSN 8は、同社のポータルサイト「MSN」の有料会員制サービス。すでに米国では、昨年の10月24日に英語版のサービスを開始している(10月25日の記事を参照)。

 “家族で使うための、安全で簡単なインターネットサービス”をめざした今回の新サービスは、MSNで好評だったポータルサービスに、コミュニケーションに焦点を当てた多くの新機能を追加したもの。

 画面構成やインタフェースは、基本的に前身となるMSN Explorerを踏襲している。MSN Explorer は、MSNメール/インスタントメッセージ/Webブラウザなどを使いやすくカスタマイズしたインターネット初心者を対象にしたブラウザソフトだったが、今回のMSN 8は、初心者はもとよりパワーユーザーまでユーザーニーズに合わせて使えるさまざまなサービスを統合している。

 「目に優しい色あいにデザインしたほか、メインバーや右側に表示されているダッシュボードは好きなサイズに変更可能。半透明のメニューやわかりやすいアイコンなどで、直感的に自分の目的のサイトに移動できる」(同社)。


MSN8の画面構成

 MSN 8には、1契約あたり1つのメールアカウントが標準でついてくるが、さらに8つのメールアカウントが無料で追加できる。「最大9人まで登録可能で、契約者と同じ機能を、ほかの8人までの家族で使うことができる」(同社)。

 メーラーのユーザーインタフェースは、Outlook Expressのデザインを踏襲。MSN側のサーバに、常に最新定義ファイルを施したアンチウィルスサービスを用意して、メールに添付されたファイルのウィルス検知・駆除をサーバ側で行う。「ユーザーには、常に安全なファイルのみが送られていくる。そのため、従来は危険視されていたHTMLファイルのやりとりも安全に行える」(同社)。

 このHTMLメール機能を生かした新サービスが、「絵葉書風メール」。デジカメの画像をもとに、絵葉書のようなオリジナルのメールを作成することができる。「多数のテンプレートを用意しており、クリック操作のみの作業で、凝ったデザインのメールが誰にでも簡単に作成できる」(同社)。


凝ったデザインのオリジナルメールが簡単に作成できる「絵葉書風メール」

 そのほか、百科事典30冊分の項目数で、常に最新情報がアップデートされる「MSNエンカルタ百科事典オンライン版」や、デジタルフォト編集ツール「Picture It! Express」など、有償サービスならではのアプリケーションサービスも用意されている。

1280円はインターネットサービスの対価として“安い”か“高い”か

 サービスの利用は、MSN 8専用サイト(http://www.msn.co.jp/8/)で申し込み手続きを行い、同サイトにある専用ソフトをダウンロードするか、MSNから送付されるインストールCDを利用する。料金コースは、1カ月無料お試し期間が付いた1280円/月の「月額お支払いコース」と、1万3980円/年の「年額一括お支払いコース」 がある。

 注意しなければいけないのは、今回のMSN 8の料金にはプロバイダ接続分が含まれていない点だ。米国では、接続サービスまで含めてのセット価格が用意されているので、このようなインターネットサービスのみで事業を展開するサービス体系は日本独自のものとなる。

 同社はポータルサイト「MSN」の立ち上げと同時となる1995年11月に、ISP事業「MSN Internet Access」を提供していた。それが2000年7月6日、ユーザーへの一層充実したサービスを目指して同社のISP事業をぷららネットワークスへ全面的に移管。ぷらら側もポータル事業をMSNに移管することで、ぷららはISP事業者、MSNはポータル事業者としてそれぞれの業務に専念していた(詳細は2000年7月6日の記事を参照)。

 「MSN 8サービスを利用するためには、別にプロバイダ契約が必要となる。ただし今回の新サービスは、既存のMSNユーザーなどすでにインターネット接続環境があるユーザーを主なターゲットとしており、接続サービスは必要ないケースが多いだろう。それでも、ISPとパートナーシップを組んでのワンストップな展開は、前向きに検討中。ただ、われわれが再びISP事業を始めるという可能性はない」(同社)。

日本は米国よりも“さらに厳しい船出”となる?

 これまで、ISP事業者がインターネット接続サービスに独自の有料インターネットサービスを付加するケースはあっても、インターネットサービスのみで展開する有料サービスで成功した例は少ない。さらに、ユーザーの中では“インターネットサービスは無料”という意識が根強い。

 さらに、接続サービスとのセットも選べる米国でさえ、MSN 8の加入者伸び止まりが伝えられている(1月24日の記事を参照)。有料サービスのみで勝負しなければならない日本は、ネットは無料という意識の強さも含めて、状況は米国よりも厳しそうだ。これまで例のない新サービスに対して、果たしてユーザーが毎月1000円を超える金額を払ってくれるのだろうか。

 「新サービスに1280円の対価は、正直いって“チャレンジ”。だが、現在のインターネットが必ずしも使いやすいものになってないことは、ユーザーならよく知っているはず。それが、家庭内や子供の利用となるとさらに難しくなる。MSN 8は、それに対してのマイクロソフトの1つの解答であり、次の新市場を開拓していきこうという意思の表れ」(同社)。

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[西坂真人, ITmedia]

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