News 2003年2月21日 00:41 AM 更新

日立の水冷、デスクトップやブレードサーバにも

日立製作所はIDF2003会場でデスクトップやブレードサーバ向けの水冷ソリューションを展示した

 日立製作所は新しい水冷ソリューションを「Intel Developer Forum Spring 2003」で展示した。公開されたのは、日本ですでに発売済みのノートPC向けシステムに加え、技術デモとして公開されたデスクトップPC向けシステム、2Uサイズブレードサーバ向けシステム、ラックマウント型システムの4種類。

 デスクトップPC向けはノートPC向けと同じく静粛性の向上を狙ったもので、Pentium 4ベースの省スペース機向けに製作された。オリジナルの空冷モデルが44.1dBなのに対して、水冷システムを搭載したモデルは28dB。16dBの騒音低下は非常に大きい。28dBは負荷最大時の数値で、通常はさらに小さな音になるという。実際、耳を近づけてみてもほぼ“無音”。最も音を出すデバイスはハードディスクだった。


キューブ型機を水冷化した製品。サイズが大きく回転数の少ない冷却ファンを使うことでほぼ無音を達成

 このシステムでハンドリングできるプロセッサの消費電力は75ワット以上で、現在のところPentium 4/3.06GHzをハイパースレッディング有効の状態にし、全負荷をかけた場合まで、動作検証が終わっているという。

 ただし日立自身がデスクトップPC向け水冷システムを搭載したPCを発売する予定はなく、あくまでのソリューションをPCベンダーに提供する立場に徹する。しかし、すでにある台湾のベンダーはデスクトップ向けの水冷システムを提供予定との情報もある。付加価値を付けるのが難しいきょう体ベンダーが、きょう体に水冷システムを組み入れることで、差別化を図りたいとの意図があるようだ。

 残りの展示はサーバ向けの水冷ソリューションだった。

 中でも興味深いのは2Uきょう体のブレードサーバ。各ブレードにはウォータージャケットと配水パイプが主要パーツに巡らされ、そのままブレードの接続コネクタへと導かれている。循環ポンプとラジエータはきょう体側に装備され、ブレードを挿入するとウォータカプラを通じてきょう体の水冷部と接続される仕組みだ。もちろん、システムを動作させた状態で、ブレードの交換を行える。ハンドリングできる熱量は2Uきょう体の場合で750ワット以上。これはXeonを搭載するブレード10枚分に相当する。


ブレード接合部。ウォータカプラで筐体側におかれた循環システムと繋がっている


水冷システムを内蔵したブレードサーバ

 もう一方はラック上部に冷蔵庫と同様のコンプレッサ付きラジエータを装着し、配管を通じて各ユニットに接続。1台のラジエータで複数台の機器を一気に冷却するというもの。

 このデモは1台のラックで完結するものだったが、将来的には大規模システムを前提に循環する冷却液をまとめ、セントラルクーリングのシステムへと発展させたいようだ。その際、一カ所に集まる廃熱を還元利用することも検討しているという。


水冷システムを用いたラック単位のセントラルクーリングのデモ



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関連リンク
▼ 特集:Intel Developer Forum Spring 2003

[本田雅一, ITmedia]

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