News 2003年3月12日 05:42 PM 更新

Centrino搭載ノート、各社の製品コンセプト
Centrinoマシンに与えられた“任務”は?――日本IBM「ThinkPad T40&X31」(1/2)

日本IBMではThink Vantageという基本コンセプトをまとめ、このコンセプトとそれぞれのThinkPadの目的・任務から製品を設計・開発をしている。では、Centrino搭載機では、どのような任務が与えられ、どのようにそれを実現したのだろうか

 ThinkPadには「長年のお付き合い」になる熱烈な支持層が存在する。彼らが口をそろえて称えるのはカタログスペックではなく、そのユーザビリティの良さだ。

 日本アイ・ビー・エム(IBM)では、こうしたカタログ値に現れにくい優れたユーザビリティを実現するソリューションを、今年から「Think Vantage」というコンセプトとしてまとめ、アピールしようとしている。同社によれば、今後のノートPCの開発は、このThink Vantageコンセプトに則って設計がなされるという(「Think Vantageコンセプトの概要については、別記事を参照

 このようなThinkPadにおいて、それではCentrino搭載ノートはどのような狙いをもって導入されたのだろうか。


左から、日本IBM PC製品企画モービル製品グループでT40の商品企画を担当した後藤史典氏、日本IBM PC製品企画&マーケティング事業部PCマーケティング マーケティング・マネージャー 横井秀彦氏、日本IBM PC製品企画モービル製品グループでX31の商品企画を担当した伊山円理氏

Tシリーズは常に時代のハイエンドであること

 ThinkPadの設計にあたっては、まずその製品で果たすべき目的や任務を設定、その条件を満たすパーツを選択するという。では、ThinkPad T40(以下T40)シリーズに与えられた任務は何だったのか。

 T40の商品企画を担当した後藤史典氏によると、それは「“T”のコンセプトであるハイエンドイメージをユーザーにアピールできること」であり、また「モビリティをさらに向上させること」であったという。ただし「メインマシンとしての使用に耐えられる14.1インチ液晶パネルの搭載は必須だった」。

 となると、携帯性の向上と言っても、14.1インチ液晶パネルを搭載する以上、フットプリントの削減はできない相談。必然的に、きょう体の厚さを削減することで実現することになる。

 より薄いきょう体の実現にあたって、今回、最も貢献しているのが内蔵光ディスクに「ウルトラスリムベイ」を採用したことだ。従来のウルトラベイ2000の12.7ミリのベアドライブに代わって、9.5ミリのベアドライブが搭載され、きょう体の厚さは36.6ミリから26.6ミリと削減された。


9.5ミリ厚のスリムドライブを採用したウルトラスリムベイ。オプションのアダプタでウルトラベイ2000にも搭載できるが、ウルトラスリムベイへ全面移行するかについては未定。記録型DVDドライブの開発が難しいらしい

 きょう体のフットプリントが同じで、厚さが薄くなると構造的にねじれ耐性が低くなる。これを防ぐためにリアパネルの素材にマグネシウムを使用した。

 PCカードスロットについては、左手前に移動。スペース的に左側面に実装できなくなった無線LANのアンテナ配置は、同様の感度が得られるパネル上部に移設されている。

T40は、まずCentrinoの採用ありきだった?

 携帯性の向上と共にT40のテーマになっているのが「ハイエンドイメージのアピール」。その意味で、Centrinoの採用は当然とも言えよう。長いバッテリ駆動時間の実現云々以前に、「まず、Centrinoの採用ありき」だったと見ることもできなくはない。

[長浜和也, ITmedia]

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