News 2003年3月13日 07:27 PM 更新

Centrino搭載ノート、各社の製品コンセプト
はじめにデザインありき――「バイオノートZ1、VAIO U101」(1/2)

ソニーにとって今回のバイオははじめにデザインがあり、Centrinoはそれを支えるのに都合がいいCPUソリューションに過ぎなかった。だが、各社が一斉に搭載ノートを出す中、性能面でも「らしさ」を出す工夫が施されている

 ソニーが投入するCentrino搭載ノートPCは「バイオノートZ1」(以下Z1)、そしてソニーは「超低電圧版モバイルCeleron/600A MHz」と述べているが、WCPUIDのProcessorに「Intel Banias」と表示される特殊なCPUが搭載された「VAIO U101」(以下U101)の2シリーズだ。

 ソニーにとって「Centrino」はたまたまタイミングよく存在したソリューションでしかない。重要なのはデザインであり、コンセプトであったのだ。

Z1は「ビジュアル系パフォーマンスPC」

 バイオノートZ1のコンセプトは「モバイルメインマシン」。

 パフォーマンスと携帯性を両立させるA4スリムノートPCである。メインマシンとして使うために1400×1050ピクセルの解像度を持つ14.1インチの液晶パネルは必須。また、このサイズの液晶を搭載するために必要なA4ファイルサイズのフットパネルサイズと、ここまでのカタログスペックはほかのメーカーのA4スリムノートとそれほど違いはない。

 Z1が特異なのは、設計上の優先順位として最も高い位置に「ほかにはないデザイン」を設定したことだ。基本的な外形寸法を指定しただけで、あとはデザイナーにフォルムデザインを完全に任せている。言うなれば「デザインされたフォルムに設計を合わせた」(藤田氏)のがZ1である。


バイオノートZ1開発チーム。左からソニー バイオノートブックコンピュータカンパニー皆川裕美子氏(商品企画)、同 戸辺竜哉氏(BIOS、ファームウェア開発取りまとめ)、ソニー デザインセンターNHGP アートディレクター片岡 哲氏、ソニー インフォメーションテクノロジーカンパニー 藤田賢治氏(Z1プロジェクトリーダー)


片岡氏が最初にイメージした「連続する曲線」。これがZ1の開発で最も優先された「スペック」

 デザイナー片岡氏がZ1に託したものは「連続性」(発表会記事を参照)

 従来のノートPCは(液晶パネルとPC本体部の)2枚のパネルで構成されていたが、Z1は連続した曲線で形成される1枚のパネルで構成したかった」(片岡氏)。

 「1枚の波打ったパネルの真ん中に黒いPC本体部、すなわち液晶パネルとPC基板を内蔵した本体が組み込まれる」というのが、すなわちZIで最も優先された製品開発コンセプトだったのだ。

 「そういう意味ではZ1はパフォーマンスとビジュアル(その結果としての携帯性)の両立を目指したPCなのです」(藤田氏)。


液晶パネルがポイントで連続を表現する写真の角度が、片岡氏のデザイン意図を正しく表現したZ1のスタイル。ただし、実際に使うとチョット立ちすぎている感じ

Centrinoでほぼ満足の行くスペックが可能に

 もちろん、PC本来の機能もおざなりにはできない。Z1のポジショニングはバイオノートGRの後継となるため「ユーザーにとっての唯一のPCであるために、メインマシンとして使えるパフォーマンスと、どこでも使える携帯性の両立」(藤田氏)を継承しなければならなかった。

 しかし、Z1では「幸いにしてCentrinoテクノロジーの採用によって、(それまで苦労してきたパフォーマンスとバッテリ駆動時間は)共に満足の行くスペックが手に入った」(藤田氏)。逆にCentrinoで実現できるスペックがあまりにも満足できるものだったために、「ただ載せているだけではほかのメーカーと同じ。ソニーらしさをどこで出していくのか」(戸辺氏)で苦労したという。

 そこでソニーは、現在ホームユースで最も重要視されている「静音性」で独自性を打ち出すことにした。

[長浜和也, ITmedia]

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