News:アンカーデスク 2003年3月17日 07:25 AM 更新

新型バイオUに見る超小型PCの行方(1/2)

強力なCPU、薄型バッテリ、広くなった液晶モニタなど“Mobile PC”として見るべき点の多い新型バイオU「U101」。だが、筆者には1つだけ「違和感」を感じざる得ない部分がある
顔

 先週の水曜日、ソニーから新型バイオU PCG-U101が発表された。強力なCPU、新開発の薄型バッテリ、広くなった液晶モニタなど、モバイルPCとして見るべき点は多い。これらの改良は、「小型だけど何にでも使える普通のPC」という面から見れば、正常な進化形と言えるだろう。

 バイオUのユニークさは既に3世代目となる今さら言うまでもないが、その1つとして挙げられるのは、文字入力として2つの方式を標準で持っていたことである。1つは通常のキーボード入力、もう1つはケータイのように親指だけで入力できる「ThumbPhrase(サムフレーズ)」だ。

 筆者は入力装置の専門家ではないが、これでもこうしてモノカキとして糊口をしのいでいる以上は、文字入力に関して一家言持っている。両手で持って使うときのためにThumbPhraseのような機能を持つ必然性は、十分に理解しているつもりだ。

 しかしそれ以上に筆者がバイオUを評価していたのは、机に置いて使う時のために、小さいながらも通常のキーボードからの入力を諦めなかったところだった。

 バイオUの旧モデル、U1およびU3のキーボードは、かなり特殊な配列であった。通常キーボードは、Fキーからスペースバーまで含めて6段である。しかしバイオUの旧モデルでは、7段の特殊キーボードとなっている。QWERTY配列をベースに、記号キーが上部に押し出された形だ。

 文章を書く上で、この配列は必要にして十分だった。それはアルファベットの部分が通常の配列と同じだったからである。また記号キーを上に押し出すことで、両手で打つに最低限な約14mmというキーピッチを確保していた点も大きい。

 バイオUで両手打ち、またはタッチタイプなんかできるわけない、と言う人は多いだろう。ああ、残念ながらあなたの手はバイオUに向いてない。筆者の手は、旧バイオUで両手のタッチタイプがバリバリ可能な、小型高性能設計である。うちの妻もこのキーボードで普通に両手で打っており、ThumbPhraseを使うまでもない(バイオUは妻のマシンだ)。

そんな理由から、筆者は旧バイオUのあり方を高く評価していたのである。

キーボードで変化した存在意義

 プレス発表会でバイオUの新モデルを実際に見て、素朴にPCとしての性能アップに驚いた。しかし触ってみるうちに、なぜか奇妙な違和感を感じた。

 それは、文字を入力したときにはっきり認識した。筆者自慢の小型高性能設計の手も、ついにバイオUから閉め出される時が来たのだ。


 新型バイオU PCG-U101では、6段キーボードが採用された。もちろんこのサイズのキーボードであるから、新設計である。記号キーの位置も通常のキーボードと同じになった。その代償として、キーピッチが約13ミリとなり、Enterキーが通常キーとほぼ同じ幅のまっすぐなものになった。また新しいポインティングデバイスの機能を活かすために、アローキーがポインティングデバイスの周りに配置された。

 文字を入力する場合、これらの変更はことごとく致命的だ。まずキーピッチの減少は、各キーたった1ミリではあるが、チリも積もれば何とやらである。Qから始まる横列には10個のアルファベットキーがある。

 ということは、トータルで10ミリ横幅が狭くなるということだ。試しに筆者の小指の先をノギスで図ったところ(オレもヒマだな)、幅10.2ミリであった。すなわち、ちょうど筆者の小指一本分がアルファベットキーから押し出されることになる。

[小寺信良, ITmedia]

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