手のひらサイズのWindows XPマシン「バイオU」速攻&徹底検証:
(3)ディスプレイ,キーボード,ポインティングデバイス

【国内記事】 2002年4月26日更新

前のページ

タッチタイプは難しいキーボード。「ThumbPhrase」のアイデアは買える

 バイオUのキーボードの操作感はどうなのだろうか。

  • バイオUのキーボードに関するスペック

キーピッチ約14ミリ(キーのサイズは13×11ミリ)
キーストローク約1.5ミリ(実測1ミリ)
キーの数84個

括弧内は筆者の実測値

 13×11ミリというキーサイズは,指の細い女性でも指を揃えて添えるのにギリギリのサイズだ。手の大きな男性だと,キーの中央を正確に押したとしても隣のキーに触れてしまうかもしれない。ミスタッチしてしまう可能性が高いサイズなのである。

 キーが小さくてもミスタッチを少なくする策はある。携帯電話のキーのようにしっかりしたクリック感があれば,隣のキーに指が触れていても目的のキーだけを押せるものなのだ。しかし,バイオUのキータッチは,ほかのノートPCのように軽く,またキーストロークも1ミリと短いため(公称値では「約1.5ミリ」となっているが実測してみたところでは1ミリ程度だった),ほんの少しのずれで隣のキーも押下してしまいやすい。


バイオUのキーサイズ


モバイルノートとしてキーボードの使いやすさに定評のある富士通LOOX Sシリーズのキーのサイズ


バイオUのキーサイズではタッチタイプは難しい


LOOXは手の小さな日本人にとってぎりぎりタッチタイプができる


かなり独特なキー配列。通常,PCキーボードはファンクションキー/数字キー/英字キーが3つ/スペースキーほかの6列で構成されているが,バイオUのキーボードは7列ある。ファンクションキーと数字キーの間に記号キー(PCキーボードなら0キーやPキー,Lキーの右にあるもの)が並んでいる。このほか,Enterキーの下端がLキーではなくPキーの位置にあったり右のShiftキーがないなど,キーの配置は特殊なものになっている

 以上のことからいえることは「バイオUのキーボードを普通のPCキーボードと同じようにタッチタイプできると考えるのはやめたほうがいい」ということだ。人差し指/中指を中心にし(薬指は場合によって使う),キーを見つめながら入力するという「小さなキーボード向け」の操作方法ならばそれなりの速度で入力できるものの,PCキーボードと同じつもりでいると,思うように操作できずかなりガッカリさせられるだろう。

 ただ,上の評価はPCのキーボードを使うのと同様に「机に置いた状態で操作する場合」のことである。「両手で持った状態で操作する場合」は評価が変わってくる。ほかのノートPCでは,本体の大きさから「片手で本体を支持し,もう一方の手でキー操作しなければならない」のに対し,本体の横幅が狭いバイオUは,両手で持った状態でもすべてのキーを親指で押すことができる。また,こうして操作する場合,自然とキートップを見つめてキーを操作することになるため,配列の特殊性もあまり気にならなくなる。


両手でポインティングデバイスとすべてのキーにアクセスできるバイオU


モバイルノートPCとして評判の高いLOOXだが,持った状態で両手親指ですべてのキーを操作するのは辛い

 そしてもう1つバイオUのキーボードには「ThumbPhrase」という機能がある。キーボード上部左側にある同名のボタンを押すことで機能し,携帯電話のような文字入力を提供する。文字(ひらがな/カタカナ/英数字)や記号を左手親指だけで入力可能だ。ThumbPhraseにはPOBox(6月7日の記事参照)の機能を応用した推測変換も付いており,すべての文字を入力することなく,文字入力をしていくこともできる。

 ThumbPhrase入力では,改行文字を入力したり,子音の同じ文字を続けて入力したり(「→」キーを押す)などで,ほかのキーを押さなければならないこともある。また,ThumbPhraseはあくまで文字入力をするためのものであり,システムやアプリケーションの操作を簡単にするものではない。


ThumbPhraseウィンドウ


推測変換によって以前確定した語句が候補として表示される


以前確定したことがない語句はスペースキーを押してMS-IMEで変換作業ができる

 筆者の場合,持った状態での操作の場合は,ThumbPhraseを使うより,両手の親指を駆使して通常の入力を行った方が,楽に速く入力できた。親指ですべてのキーにアクセスできないようなキーボードでは有益な機能なのかもしれないが,バイオUだと親指だけでキー操作できてしまうため,あまり必要性を感じないのだ。

 ただ,ThumbPhraseのような機能の発想そのものは高く評価したい。これからより小型なデジタル端末を普及させていく上で,こうした「より小さなスペースで効率の良い文字入力デバイスを取り入れる」ということは重要な要素に違いないからだ。さらなる進化に期待したいところだ。


ThumbPhrase使用時の操作スタイル。筆者は通常入力のほうが楽だったが今後の展開に期待したい

バイオC1シリーズのスティックを応用したポインティングデバイス

 バイオUのポインティングデバイスはスティックタイプのものが採用された。スティックはキーボード上部の右側に,ボタンはキーボード上部の左側に配置されている。スティックは円形で面積が広く,中央がやや凹んだ形状となっている。内部の機構はバイオC1シリーズで使われているスティックと同等のものだという。

 キーボード上部の左右といえばちょうど重量バランスのとれた位置であり,持った状態でも使いやすい。また,置いた状態でもバッテリーによる傾斜があるためスティックとボタンを親指で操作してもいいし,キーボードを操作した状態から人差し指や中指で操作することもできる。

 また,ポインティングデバイスを補助する装置として「ジョグダイヤル」があることも忘れてはならない。ジョグダイヤルはスティックのやや左(持った状態では左手親指で操作できる位置)についており,これまでのバイオノートのようにスクロールやアプリ操作に利用できる。


バイオUのスティック。その隣にはジョグダイヤルがある


キーボード上部左側にあるボタン。その隣にはThumbPhraseを起動するためのボタンがある

 「持ったまま使える」というコンセプトを元に販売されてきたノートPCが多いことは以前にも述べたが,そうした製品と比べてもバイオUのスティックは位置も動きも使いやすい。

 例えば,少し前の機種になるが,日本アイ・ビー・エムの「PC110」の場合はトラックボール,カシオ計算機の「FIVA」はトラックパッドを搭載していたが,どちらも思い通りに操作できずにフラストレーションをためるユーザーが少なくなかった。

 バイオUのポインティングデバイスは置いた状態でも持った状態でも操作しやすく,さまざまなシーンで利用できるジョグダイヤルも併せれば,使い勝手のよさは高く評価できる。

関連記事
▼ 手のひらサイズのWindows XPマシン「バイオU」速攻&徹底検証:(1)はじめに
▼ 手のひらサイズのWindows XPマシン「バイオU」速攻&徹底検証:(2)サイズとウェイト
▼ PDAとノートの中間を狙う──ソニー,ユビキタス時代の小さいバイオ「バイオU」の試作機を公開
▼ 写真で見るバイオU

前のページ | 2/2 | 最初のページ

[濱田宏貴,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!