News:アンカーデスク 2003年3月20日 00:02 AM 更新

オーバークロックマーケティングはどこまで許容されるか(1/2)

FSB 800MHzへのオーバークロックをあおるかのようなマザーボードが、店頭に姿を見せ始めている。しかし、現状の環境では成功する可能性は非常に薄く、そのための情報も不足している。にもかかわらず、オーバークロックがセールストークに使われてしまうのは、それが売上に結びついてしまうからに他ならない

 Centrinoの登場により、CPUの“クロックマーケティング”のあり方が問われているが、パーツショップの店頭では、“オーバークロックマーケティング”とでも呼ぶべき問題がちょっとした物議を醸している。

 この問題が出ているのは、秋葉原などのPCパーツショップ店頭――マザーボード売り場だ。およそ2週間前から、Pentium 4マザーボードの新製品が続々登場している。これらの製品の多くは、Intel製チップセット「Intel 845PE」「同GE」を搭載した製品でありながら、「FSB800MHz動作を考慮した」というキャッチフレーズが付けられている。

 現在店頭に並んでいるのは、GIGABYTE Technologyの「GA-8PE800」シリーズや「GA-GE800Pro」、Albatronの「PX845PEV-800」など。このほかMSIの「845PE Max3-FISR」なども登場する予定となっている。

 では、何が問題なのだろうか? それは、製品の販売方法と、それに対する情報の少なさだ。いくつかのパーツショップで店員に話を聞いてみたが、そのほとんどが「売り方が難しい製品なので、販売方法を考えているところだ」と苦笑いしていた。

無保証は当たり前。だが動作難易度があまりにも高いのは……

 あらかじめはっきりしておくと、これらの製品では、チップセットにIntel 845PE/GEを搭載している以上、保証される“定格動作”はFSB 533MHzが最高となる。つまり、FSB 800MHz動作についての保証はない。

 ただし、オーバークロック動作に関する無保証は、今回の本質的な問題ではない。従来から「無保証」を前提にオーバークロック動作を考慮したマザーボードは、当たり前のようにあったからだ。

 というよりは、現在、PCパーツショップに並んでいるマザーボードのうち8割程度は、程度の差こそあれ、なんらかのオーバークロック機能が備えられている。

 問題は、セールストークとして実質的にオーバークロック性能を打ち出していながら(箱にでかでかと“800MHz動作にチャンレンジ”といった具合にあおっている製品もある)、その動作に関してあまりにも情報がない点。そして、製品が登場した2003年3月現在では、実際にFSB 800MHz動作が可能な環境を揃えることが非常に難しい点にある。

 実はオーバークロック動作を狙ったマザーボードでは、製品と一緒に、非公式ながら事実上の「推奨動作環境」となる情報がショップ側に流れることがある。理由は簡単。そうした情報があった方が製品が売れるからだ。

 そして、店員のレベルが高いショップであれば、ユーザーからの質問を受けて、こっそりとこうした情報を教えることも珍しくはない。「責任は持てませんが、○○のCPUと○○のメモリを使い、××の設定を施せば動く確率が大きいと聞いています」――といった具合にだ。

 しかし今回は、そうした情報がまったくと言っていいほどない。そのため、ショップ側がFSB 800MHz動作に対して質問をされても、答えに困るようになってしまっているのである。

 ただしメーカー側に立てば、こうした情報をほとんど出さないのも、ある意味では納得できる。FSB 800MHzを実現できる動作環境が現時点では非常に厳しいためだ。

 先に結論を言うならば、“公式動作”はともかく、実際のところは、これらのi845PEマザーでのFSB800MHz動作は不可能ではないが、成功する確率は非常に低い。“ほとんど不可能”と言ってもいいぐらいだ。

 一般レベルでの空冷でFSB 800MHzまでオーバークロックが可能なPentium 4は、エンジニアリングサンプル品(クロック倍率の変更が可能なもの)を除けば、2.4BGHzのC1ステッピングしかない。ただし、非常にオーバークロック耐性の高い、いわゆる“大当りCPU”を引いて、さらにCPUの冷却やメモリ、電源ユニットなどに念を入れて初めて実現できるレベルだ。

[橋本新義, ITmedia]

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