News 2003年4月11日 00:10 AM 更新

Pentium M対応マザー、ただいま開発進行中

IDF JAPANの展示ブース「テクノロジ・ショーケース」では、多数のPCI Exress製品とともに、ノートPC対応マザーが展示。Pentium M対応マザーの開発を進めているというメーカーもあった

 「インテル デペロッパ・フォーラム JAPAN Spring 2003」(以下 IDF JAPAN Spring 2003)2日目の10日は、Patrick P.Gelsingerを始めとする基調講演が行われ、いよいよ本格的にイベントが始まった(Gelsinger氏が行ったプレスとの質疑応答はこの記事を参照)

 このIDFでは、基調講演や技術トラックといったセミナー形式のプログラム以外に、製品展示とデモンストレーションを行う「テクノロジ・ショーケース」もあり、29社が参加している。

 とくに、PCI Express関連では、PCI-SIGによる「PCI Express コミュニティーブース」が設けられ、発表されたばかりのプロトコル・テスト・カードや、開発環境、 PCI Expressと搭載したItanium 2、Xeonサーバが多数展示されていた。

 このように主にエンタープライズ向け製品が多かったテクノロジ・ショーケースだが、コンシューマーユーザーが興味を引きそうな製品もいくつか展示されていた。ここではその中から、ノートPC向けCPUに対応したマザーボードと、ビデオメモリモジュールを紹介しよう。

Pentium M対応マザーボードは11月ごろ登場予定

 リコーが展示していた「FB6M」と「EB1」は組み込み機器用のマザーボード。EB1はフットプリントが203×146ミリメートルに定められたEBXフォームファクターに準拠しており、Soket370とIntel 815E(Bステップ)を搭載する。組み込み用途なので、LAN×2、シリアル×4、USB 1.1×4、CFカードスロットと、インタフェースがかなり充実している。


EB1。組み込み機器らしく、周辺にすき間なく配置されたインタフェースコネクタ。IDEは2ch、DIMM×1と、デスクトップPCとしても不足ない

 「FB6M」は3月に出荷が開始されたばかりのモバイルPentium 4-M向けmicroATXフォームファクタのマザーボード。mPGA 478、Intel 845Eを搭載。FSBは533MHzまで対応(ただしPentium 4-Mの場合はFSB400MHzまで)する。AGPを搭載しているが、オプションでMOBILITY RADEON 7500をオンボード実装可能だ。


FB6M。レイアウトは通常のmicroATXマザーだが、Embedded-ATX用ライザースロットを実装するなど、小さいきょう体に組み込むための特殊スロットも用意されている

 FB6MはモバイルPentium 4-Mに対応しているが、SpeedStepテクノロジは使えない。このマザーの目的が、組み込み機器でよくある「発熱量を抑えたいけどパフォーマンスは必要」に対応することなので、省電力のためのSpeedStepはそれほど必要とされていないからだ。

 ノートPC用CPU対応マザー、というと気になるのがPentium M。アキバではリテールパッケージが販売されているが、搭載できるマザーが存在しないので、買ってもただ眺めているしかない。リコーの説明員に確認したところ、現在Pentium M対応のデスクトップマザーが開発中であることを明らかにした。開発が進められているのはmicroATXのFB6M後継製品とEBXのEB1後継機種。チップセットにはビデオコアを内蔵したIntel 855GMを搭載する予定になっている。

 EB1後継機種と、FB6M後継機種でどちらの開発が進んでいるかは明らかでないが、早ければ11月、遅くとも来年2月に出荷される予定。ただし、機器製造OEM向けに出荷されているので、パーツショップでは入手できる可能性は、残念ながら現在のところ限りなく低い。

DDR Iでメモリ駆動クロック400MHzを実現

 メモリベンダーのNANYA TECHNOLOGYは、デスクトップ向けDDR SDRAMモジュールとビデオメモリモジュールを展示。テスクトップ向けモジュールでは、PC3200/512MバイトにPC2100/1Gバイトといった、高速大容量モジュールが注目を集めていた。

 ビデオメモリモジュールでは、DDR600/700/800に対応した製品を並べて展示していた。  ここで注目したいのがDDR800。従来、DDR I規格ではメモリクロックは350MHzが上限でそれ以上のクロックを出す場合、DDR II、もしくはGDDR2-Mといった新世代メモリが必要になるとされていた。にもかかわらず、DDR Iでメモリ動作クロックで400MHzを実現している。

 この理由についてNANYA TECHNOLOGYは「詳しくはいえないが、プロセスの改善などで高クロック動作を可能にした」と述べている。


NANYA TECHNOLOGYのグラフィック用メモリ。左からDDR600、DDR700、DDR800


会場ではDDR700を実装したRADEON 9600 PROの動作デモも行われていた

 DDR IIやGDDR2-Mと十分対抗できそうなDDR800であるが、NANYA TECNOLOGYによると歩留まりがDDR600/700と比べて低いため、価格は比較的高いという。また、DDR IIやGDDR2-Mが量産段階に入れば、DDR IIのほうが価格が安くなる可能性もあるという。

 しかし、現在、DDR IIはサンプル出荷が始まった状態で、依然として歩留まりは低く、GDDDR2-Mも供給ベンダーが3社程度しかないため、価格が高い状態が続いている。この状況でDDR800は「複数の大手ビデオチップベンダーから引き合いが来ている状態」DDR800を搭載したビデオカードも現在テスト段階にあると述べた。

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[長浜和也, ITmedia]

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