News | 2003年4月15日 02:57 AM 更新 |
今回登場するCPUとチップセットの最大の特徴はFSB 800MHz対応。DDR SDRAMのデュアルチャネルは、Intel E7205と同じながら正式にDDR 400をサポート。これでCPU−ノースブリッジのデータバス帯域とノースブリッジ−メモリのデータバス帯域がともに6.4Gバイト/秒で揃うことになった。
Intel 875Pのメモリ周りの機能として新しく採用されたのがPAT(インテル パフォーマンス・アクセラレーション・テクノロジ)だ。これは、メモリレイテンシを最適化することで、同じメモリクロックの場合、PAT非実装のシステムと比べ3〜5%の性能が向上するというもの。オーバークロック的アクセラレーション手法と見られることもあるが、インテルとしては「クロックは定格のままなのでオーバークロックではない」としている。
ノースブリッジには、新しくネットワーク優先バスともいうべきCSA(コミュニケーション・ストリーミング・アーキテクチャ)が追加された。CSAではこれまでサウスブリッジ経由だったネットワークコントローラが、直接ノースブリッジと接続する。そのため、従来、PCIバスの133Mバイト/秒で制限されていたネットワークデータ帯域が266Mバイト/秒まで拡大する。また、PCIバスを介さず、直接システムメモリをアクセスするため、CPU負荷率が低くなるメリットもある。ただし、このCSAでサポートするLANコントローラは、現状でIntel PRO/1000CTのみ。
サウスブリッジもICH4からICH5になったことで、サポートされるインタフェースが大幅に拡張された。最も大きい変化は、正式にサポートされた2ポートのSerial ATA/150。サウスブリッジがICH5/Rならば、Serial ATA RAIDコントローラとしても機能する。ただし、構築できるRAIDは0のみ。なお、従来のUltra ATA/100も2チャネルサポートするが、こちらはICH5/RでもRAIDの構築はできない。
Serial ATAのRAID構築では「RAIDマイグレーション・テクノロジ」が採用されている。これは、RAIDの構築が簡単に行えるもので、1台のHDDで運用していたシステムに、BIOSでRAID構築を設定してからHDDを追加すると、バックグランドでRAIDの構築作業を行ってくれるものだ。OSの再インストールも不要になる。
これ以外にも、ICH4で6ポートだったUSB 2.0はICH5で8ポートに増えるなど、サウスブリッジでサポートするポート数、データ帯域は格段に増えている。その一方で、ノースブリッジとサウスブリッジ間のバス帯域は266Mバイト/秒と従来のまま。ここをIntel 875Pの弱点と見るユーザーが少なからずいるようだ。
しかし、Serial ATA/150が1チャネルあたり150Mバイト/秒、Ultra ATA/100が同じく100Mバイト秒、しかもこれは理論値で、HDD側の転送速度は早くても70Mバイト/秒というのが現状だ。さらに今後、大幅なトラフィック増が予想されるネットワークバスは、CSAの採用でサウスブリッジから分かれてしまった。このような状態では266Mバイト/秒がいっぱいになるとは考えにくい。
それよりも気になるのは、サポートするメモリがDDR400であること。次のアップグレードパスであるDDR2-533/400には対応できないし、DDR SDRAMもDDR400以上はさすがに無理な状況。仮にDDR2の登場が遅れて、DDRで中継ぎしようと思っても、歩留まりや発熱の問題で、価格は高く安定性は著しく劣ることが予想される。加えて、メモリベンダーの話によるとDDR2-533の開発は順調に進んでいるらしい。 「Intel 845(B step)からIntel 845Eが登場するまでたった半年程度だったじゃないか」という意見はたしかに正しい。でも、DDRからDDR2への移行のインパクトはDDRのクロックアップ以上に大きい。実売価格3万円弱をつけているIntel 875P搭載マザーの品定めをするときには「Intel 875PはDDR 400のみの対応」という事実を頭の片隅においておきたい。
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[長浜和也, ITmedia]
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