News 2003年4月30日 08:43 PM 更新

実売20万円を切るデジタル一眼レフ「EOS 10D」は買いか?(2/3)


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 この感触自体は、実際に試してみればどなたでも感じ取れると思うので、販売店などでプラスチックボディのカメラと金属ボディのカメラを触り比べてほしいと思う。

 一番気になるオートフォーカス速度の問題は、完全にクリアされたと言ってもよいだろう。キヤノンによれば、銀塩一眼レフカメラの「EOS 7」並みと豪語しているのだが、話半分としても快適なオートフォーカス速度であるのは間違いない。

 加えて、EOS D30/D60では、オートフォーカスフレームが横3点であったのに対して、EOS 10Dでは横5点、上下2点の計7点となっている。もちろん、EOS D60から搭載されたオートフォーカスフレームが赤く光るスーパーインポーズ機能も搭載している。


設定情報用液晶表示はEOS D30/D60より大型化されているが、表示される情報量としてはそれほど増えてはいない。EOS D60同様のバックライトも点灯可能だがオレンジ色は好みの分かれるところか

 しかし、銀塩一眼レフのEOS 7に搭載されている視線入力によるオートフォーカスフレーム自動選択機能は、残念ながらEOS 10Dでは非搭載となっている。また、オートフォーカスフレームの選択方法も、EOS 7では十字型キーによって直感的に操作できたのだが、EOS 10Dでは電子ダイヤルとサブダイヤルによる選択であるため、ちょっと操作にまごつくことが多かった。

 これは慣れの問題かもしれないが、オートフォーカス速度だけではなく、すべてEOS 7並みのオートフォーカス機能を装備して欲しかったところだ。


設定及び再生用のカラー液晶モニターは、大きさこそ変っていないが輝度が大幅に向上しており、日中でも確認が容易だ。拡大再生も可能となったので、ピントの確認なども容易になった

 EOS 10Dの起動時間や節電モードからの復帰時間はどうだろう?

 EOS D30/D60よりは若干ながら改善されてはいあるのだが、決して速い方ではない。やはり、取材時などでは節電モードをオフにしておき、予備バッテリーを常に持ち歩くということで逃げるしかないだろう。

 オプションのバッテリーグリップ(EOS D30/D60/10D共用オプションだ)を用いれば、2個のバッテリーを装着可能となる上、縦撮影時のシャッターボタンも装備されているので、ぐっと使い易くなる。

デジタル一眼レフの初心者を狙った価格設定

 ところで、EOS 10Dを購入した際に販売店から「EOS 10D 早わかりビデオ講座」というVHSテープをもらった。早速、再生してみると内容的には、明らかにデジタル一眼レフカメラの初心者を対象としている内容であり、それまでのEOS D30/D60とは違った販売客層をEOS 10Dが狙っていることがうかがえた。

 実際、20万円を切った販売価格(オープン価格:実売価格は19万8000円程度)も、それまでの製品からは大バーゲンの価格設定である。

 今まで銀塩一眼レフカメラを使用していたユーザーには、現在のコンパクトデジカメでは明らかに力不足なため触手もなかなか伸びない。EOS 10Dはそうしたデジタル一眼レフカメラ予備軍ユーザーをターゲットとしているのに加えて、いままでコンパクトデジカメを使用してきたユーザーに対しても、デジタル一眼レフカメラへの入門機として使ってもらえるような価格設定を行ったということだろう。

 もちろん、今後は初心者用銀塩一眼レフカメラであるEOS Kissに相当するEOS Kissデジタル(?)といった、より低価格のデジタル一眼レフカメラが登場することは容易に予想できる。また、フラグシップモデルであるEOS 1Dsと10Dの間を埋めるEOS 5D(?)クラスのモデルも登場してくるだろう。

 今回のEOS 10Dの販売状況を見ると、意外と早い時期にフルラインアップ化されるかもしれない。実際、3月21日の初回出荷以来、現在でも予約待ちという状況が販売店によっては続いており、相当数の初回出荷を行ったようだが、ほとんどが予約で売り切れたと聞く。

コンパクトカメラユーザーでも使いこなせる

 EOS 10Dを購入したユーザーの多くにとっては、初めてのデジタル一眼レフということになるのだろう。

 そこで、実際にEOS 10Dを、一眼レフカメラは使ったことがないがコンパクトデジカメは日常的に使っているユーザーに使ってもらった。

[清水隆夫, ITmedia]

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