News 2003年5月16日 01:55 PM 更新

世界初の水冷デスクトップ「FZ」、DVD Multiプラス搭載「TX」――VALUESTAR夏モデル

NEC「VALUESTAR」シリーズ夏モデルでは、デスクトップPCとしては世界初の水冷システムを搭載した新シリーズ「FZ」が登場。水冷システムに加えて業界初のDVD Multiプラスドライブを搭載した「TX」シリーズなど注目商品がラインアップに加わった

 NECとNECカスタマックスは5月16日、個人向けデスクトップPC「VALUESTAR」の新製品7シリーズ16機種を発表。水冷システム搭載の新シリーズ「FZ」や、業界初のDVD Multiプラスドライブを搭載した「TX」シリーズなどが登場した。すべてオープン価格で、5月下旬から順次発売する。

水冷システム搭載“スーパーデスクトップ”「VALUESTAR FZ」


 ファミリー向けFシリーズの新ラインアップとなる「VALUESTAR FZ」には、PC本体内の冷却装置として「水冷システム」を搭載。CPUなど高熱を発生する内部パーツに水冷ジャケットを装備し、ポンプを使って冷却液を循環。ラジエターで冷却水の熱を逃がすことで効率よく放熱が行える。従来必要だったCPUファンやケースファンを使わないため、静かな動作と信頼性の高い冷却が可能となる。


搭載された水冷システムのユニット

 ノートPCでは日立製作所が昨年7月に、独自開発の静音水冷システム搭載「FLORA 270Wサイレントモデル」を発表しているが、「デスクトップPCとしては今回のFZが世界初搭載」(同社)となる。日立製作所がライセンス供与している台湾ベンダーとNECとが共同で開発した。

 冷却水に不凍液を使い、リザーバータンクを装備することでメンテナンスフリーを実現した。「冷却水はパイプの継ぎ目などからごく少量ずつ蒸発していくが、過酷な使用条件でも5年間は持つ設計になっている。通常の使用環境なら10年はメンテナンス不要」(同社)。

 ただし、水冷ノートPCのように完全なファンレス仕様ではなく、電源部にファンを1基装備している。これは電源部の冷却のほか、水冷システムのラジエターの熱を効率よく放熱させたり、ケース内の空気を循環させる役割も担う。12センチ角の大口径SPS(System Power Supply)ファンを低速で回転させることで、ファンの風切り音や回転音を大幅に削減した。


 CPUにはHT対応Pentium 4/2.4CGHzを搭載。従来、高熱を発するHT対応プロセッサ搭載機は、どうしても冷却ファンの騒音があったが、水冷システム搭載により、ハイパフォーマンスと静音性を両立させている。

 FZの主な仕様は以下の通り。

製品名VALUESTAR FZ
型名VF700/6F
CPUHT対応Pentium 4/2.4CGHz
チップセットIntel 865G
メモリ512MバイトDDR SDRAM PC2700(最大2Gバイト)
HDD160Gバイト
ドライブDVD Multiドライブ
グラフィックATI RADEON9100(64Mバイト)
ディスプレイSXGA17型TFT液晶(F17R1A)
通信56Kbps、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T
OSWindows XP Home Professional
TVチューナーあり(ハードウェアMPEG、デジタルNR/TBC、3次元Y/C分離、ゴーストリデューサ)
スロットPCI×3(空きスロット2)、PCカードスロット(TYPE II×2またはTYPE III×1)、メモリースティック/SDメモリーカード両対応スロット
主なインタフェースIEEE1394×2、USB2.0×9(本体5、液晶4)、光デジタルオーディオ出力(S/PDIF)×2
サイズ194(幅)×450(高さ)×390(奥行き)ミリ(突起部のぞく、ラジエター部含む)
重量約16キロ
価格オープン(実売20万円台後半)

水冷+DVD Multiプラスのハイエンド機「VALUESTAR TX」


 ホームネットワークのメインマシンを目指したハイエンド機「VALUESTAR TX」は、新きょう体にFZと同じ水冷システムを搭載。CPUにHT対応Pentium 4/3GHz(下位モデルは2.4CGHz)を採用し、高性能と静音性を両立させた。

 注目は、あらゆるDVDメディアに対応した“全部入り”「DVD Multiプラスドライブ」を搭載した点だ。DVDフォーラムのDVD Multi(DVD-R/-RW/-RAM)に加え、DVD+RWアライアンスのDVD+R/+RW、CD-R/CD-RWの記録再生に対応している。また、DVD-RAMは3倍速記録に対応している。

 802.11a/bデュアル対応の無線LANやギガビットイーサ(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)など、ホームネットワークを快適にする通信機能を装備。ネットワーク上のPCの状態を表示したり、HDD内の録画TV番組/音楽・画像ファイルを一覧表示して操作できるアプリケーション「ネットコーディネータ」を搭載した。

 AGP接続のグラフィックは、上位モデル(VX900/6F)がnVIDIA GeForce4 Ti4800を、下位モデル(VX100/6F)がATI RADEON9100を搭載。2台目のHDDを内蔵できるセカンドHDDベイを本体内に備えた。

 TXの主な仕様は以下の通り。

製品名VALUESTAR TX
型名VX900/6FVX100/6F
CPUHT対応Pentium 4/3GHzHT対応Pentium 4/2.4CGHz
チップセットIntel 865G
メモリ512MバイトDDR SDRAM PC2700(最大2Gバイト)256MバイトDDR SDRAM PC2700(最大2Gバイト)
HDD250Gバイト160Gバイト
ドライブDVD Multiプラスドライブ
グラフィックnVIDIA GeForce4 Ti4800(128Mバイト)ATI RADEON9100(64Mバイト)
ディスプレイSXGA17型TFT液晶(F17R1A)なし
通信56Kbps、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T
無線LANIEEE802.11a/bなし
OSWindows XP Home Professional
TVチューナーあり(ハードウェアMPEG、デジタルNR/TBC、3次元Y/C分離、ゴーストリデューサ)
スロットPCI×3(空きスロット2)、PCカードスロット(TYPE II×2またはTYPE III×1)、メモリースティック/SDメモリーカード両対応スロット
主なインタフェースIEEE1394×2、USB2.0×9(VX100/6Fは×5)、光デジタルオーディオ出力(S/PDIF)×2
サイズ194(幅)×450(高さ)×390(奥行き)ミリ(突起部のぞく、ラジエター部含む)
重量約16キロ
価格オープン(実売30万円台後半)オープン(実売20万円台前半)

VALUESTAR T


 「VALUESTAR T」は、最上位モデルにDVD Multiプラス搭載モデルが用意されたほか、ピクチャーインピクチャーTV機能付き液晶ディスプレイ搭載モデルをラインアップ。PC本体側のTVボードと併用して、2番組の同時視聴を可能にした。液晶ディスプレイ側のTVチューナーはPC本体の電源が入っていなくても単独で利用できる。

VALUESTAR F


 ファミリー向け「VALUESTAR F」は、キーボード上のユーザー切り替えボタン「ファミリーボタン」にメール着信時に光るファミリーランプを備えたほか、画面上でユーザーをグラフィカルに切り替えられる「ファミリーリング」を搭載。複数ユーザーがログインしても快適に利用できるようにメモリを512Mバイトに強化するなど、家族共用機能が充実した。

VALUESTAR FS


 液晶ディスプレイ一体型デスクトップPC「VALUESTAR FS」は、全モデルにスロットイン型DVD Multiドライブを新たに搭載。そのほか、CPUやHDDが強化された。

VALUESTAR C


 HT対応Pentium 4/2.4CGHzを搭載した「VALUESTAR C」は、17型大画面液晶ディスプレイやDVD Multiドライブ、ギガビットイーサ対応(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)など基本機能が強化された。

VALUESTAR L


 「VALUESTAR L」は、ピクチャーインピクチャーTV機能付き液晶ディスプレイ搭載モデルをラインアップしたほか、TVモデルはハードウェアMPEG-2リアルタイムエンコーダボードを搭載した。全モデルにCeleron/2GHzを採用。下位モデル(VL300/6D)を除く全モデルでHDDが強化されたほかは、スペックやきょう体デザインなど従来モデルから大きな変更はない。

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[西坂真人, ITmedia]

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