News 2003年5月23日 09:15 AM 更新

Longhornにたどり着くまでの道のり――オーディオ編

Longhornでは、オーディオ関係もかなり改善される。細かい改良ではあるが、いままでどうもしっくりこなかった部分が改良されることで、より使いやすいものとなるはずだ

 Windowsのオーディオ設定は、非常に面倒である。例えば、ボリュームコントロールやオーディオデバイスのプロパティなどは、デバイスごとでしかコントロールできない。

 デバイスがCDプレーヤーしかないような時代ならばともかく、最近のWindowsにはインターネット電話(VOIP)、インスタントメッセンジャー(IM)、電子メール、圧縮オーディオの再生、ブロードバンドを使った映像の再生など、オーディオ関連のアプリケーションの劇的に増えている。

 このままでは、圧縮オーディオを再生しているとIMなどのアラートが聞こえなかったり、VOIPで電話を受けるときには、ユーザーが自分でオーディオのボリュームを下げなければならなかったりする。

デバイスごとからアプリケーションごとへ

 これではあまりに不便なので、Longhornではオーディオのコントロールをデバイスごとではなく、アプリケーションごとに変更するようだ。これにより、Windows Media Playerを利用していて、Outlookのアラートが鳴る時には、Media Playerからの音を一時的に小さくできるようになる。これならばOutlookのアラートを聞き逃すことはないだろう。

 同じように、Media Playerを使っている時にインターネット電話がかかってきたら、Media Playerの音を小さくしてリング音を鳴らし、通話中はずっとMedia Playerの音を小さくすることもできる。通話が終わったら自動的にMedia Playerの音を元に戻せばよい。

 もうひとつLonghornで変わるのが、各種オーディオデバイス(ポータブルデバイスも含める)の設定関連である。

 Longhornでは、オーディオデバイスをインストールする時に、デバイスドライバなどのソフトウェアだけでなく、デバイスに関する各種情報(メタデータ)をインストールするようになる。

 これにより、デバイスのプロパティを表示した時に、自分が持っているオーディオデバイスの写真が表示されたり、ポータブルオーディオデバイスなら、ハードウェア自体の操作方法なども表示されたりする。


Longhornで採用されるボリュームのインタフェース。今までのようにデバイスごとではなくアプリケーションごとにボリュームを変更できる


Longhornで表示される周辺機器(デジタルデバイス)のプロパティ画面。自分が持っているデバイスの写真が表示されている

大幅に変わるオーディオドライバ

 Longhornでは、オーディオドライバに関しても大幅なアップデートが行われている。現在のオーディオアーキテクチャは、Windows98でデザインされたものがそのまま利用されている。このため、オーディオにずれが生じたり、オーディオデバイスがロックしてたりすることがあった。

 そして何よりも、PCオーディオのクオリティがあまりにも低いということが問題になっていた。

 現状のままでは、DVD-Audio、スーパーオーディオCD(SACD)などのハイエンドのオーディオ環境には対応できない。

 そこで、Longhornでは、Intel社が新たにリリースする次世代オーディオ「Azalia(コード名)」、USB/1394オーディオデバイスに対する新しいオーディオアーキテクチャ「Universal Audio Architecture(UAA)」を採用する。

 オーディオデバイスの性能にもよるが、UAAでは、再生に関しては24ビット/192KHz(SNR 110dB)のチャンネルを8本同時サポート、録音に関しては20ビット/96KHzで2チャンネルのサポートを行う。これにより、7.1チャンネルのサラウンド・オーディオもきちんと再生できるようになる。


Longhornで採用するオーディオドライバ Universal Audio Architecture(UAA)のアーキテクチャー

 Azaliaは、オーディオの帯域が広くなっている。出力(再生)に関しては、トータルで46Mビットもの帯域が用意されている。さらに、入力(録音)に関してはトータルで23Mbitもの帯域が用意されている。

 46Mビットの出力を利用すれば、8チャンネルのオーディオ(7.1チャンネルが設定できる)+モデム+テレフォニーが利用できる。また、23Mbitの入力を使えば、マイクを8チャンネル(これによりマイクロフォンアレイが作れる。これにより、ハンズフリーで話してもきちんとした言葉がPCに入力できる)+テレフォニーが利用できる。

 Longhornでは、レガシーデバイスとして旧来のデバイスやドライバもサポートされている。しかし、PCがデジタルメディアのハブとなるためには、Azalia、USB/1394外部オーディオデバイスを利用したハイクオリティなオーディオが必須とされてくるだろう。


Intelが次世代のオーティオとして考えているAzalia。Azaliaは、Ac97を機能アップしたものだ


Azaliaの特徴は、In/Outのバンド幅のアップとチャンネル数のアップ。さらに、開発側がCODECを追加できるようになっている



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[山本雅史, ITmedia]

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