News 2003年6月3日 11:01 PM 更新

半導体市場予測で期待される“マイナス成長”の日本

半導体市場の統計機関「WSTS」が、2003年の世界半導体市場を前年比11.5%増とプラス成長を予測。厳しい世界経済情勢や、イラク戦争やSARSといった逆風の中、2002年マイナス成長の日本が“2003年2ケタ成長”実現のカギを握っている

 半導体市場の統計機関「WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)」の日本事務所であるWSTS日本協議会は6月3日、世界半導体市場の予測を発表した。

 今回のWSTSの市場予測は、5月20日から日本の北九州市で開催されていた「WSTS2003年春季市場予測会議」の結果に基づくもので、世界の主要半導体メーカーが参加した。

 同会議は当初、中国の上海で開催される予定だったが、SARSの影響で急きょ開催地を日本に変更。昨年10月の秋季会議では36社あった参加メーカーも、今回は22社に減ってしまった。「会議にあたって、事前に各メーカーから予測データを提出してもらっているので、参加メーカー数の減少が予測に影響を及ぼすことはない」(WSTS)。

「2003年は2ケタ成長に回復」と予測。だが根拠は……?

 2000年に約2044億ドルと過去最高の成長を見せた世界の半導体市場だが、2001年は一転急落して前年比32%減の約1389億ドルと過去最悪を記録。2002年は「谷底を脱し、回復軌道に戻った」(WSTS)ものの、約1407億ドルと前年比でわずか1.3%のプラスにとどまった。

 2003年も、第1四半期(1〜3月)は前年同期比3.2%減と再びマイナスに転じるなど低迷状態から抜けきれていない。

 しかしWSTSの予測によると、2003年は第2四半期が前年同期比2.4%増、第3四半期が同8%増、第4四半期が6.8%増と4月以降はプラス基調を見込んでおり、通年では11.5%増と“2ケタ成長”を予測している。

 厳しい世界経済情勢や、イラク戦争やSARSといった逆風の中、「2003年は2ケタ成長」の根拠はどこにあるのだろうか。

 WSTSの予測は、加盟各社の半導体出荷額/出荷数量といった実績データを参照しながら、各社が提出した市場予測値をもとに検討を加えて作成される。各実績値を同一分類基準で集計するため、信頼度の高い統計として評価も高い。2003年2ケタ成長という予測も、ある程度の期待値的な要素は含まれるものの、まったくの根拠なしで出された数字ではないのだ。

 “2ケタ成長”予測のカギを握る国――それは「日本」だ。

半導体市場予測で期待される“マイナス成長”の日本

 対前年比1.3%増と、わずかながらもプラスで推移した2002年の半導体市場も、日本では対前年比5.3%減とマイナス成長に終わった。日本は2003年に入っても、第1四半期1.5%減とマイナス基調が続いている。この数字だけ見ると、世界的な回復基調に日本だけが取り残されているようだ。

 だが、地域別の2002年成長率をよくみると、米国が前年比12.6%減と大きくマイナスしたほか、欧州も日本と同じく8%減で推移。結局は、各メーカーの生産拠点シフトなどで前年比28.5%と大きく躍進したアジア・パシフィック市場が、世界市場全体の数字を底上げしたカタチになっていたのだ。

2002年の地域別成長率(ドルベース)

地域2002年(実績)2003年(予測)
World Wide1.3%11.5%
America-12.6%0.1%
Europe-8%14.1%
Japan-8%17.8%
Asia Pacific28.5%13.3%

 2003年の成長率予測を地域別に見ると、アメリカは0.1%増とほぼ横ばいと振るわず、2002年プラス成長の立役者であったアジア・パシフィックも13.3%増と成長率が鈍化。それに対して、欧州と日本は大きく成長するとし、特に日本が17.8%増と地域別では最大の成長率になると予測している。

 「世界的に円高ドル安状況なので、円ベースでは多少低めの成長率になるが、それでも12.4%増と高い水準をキープすると見込んでいる」(WSTS)。

 日本の2003年成長率予測が高い理由は、“デジタル民生機器分野での強み”だ。

 市場では、日本の得意分野であるデジカメやDVDといったデジタル家電製品が好調なほか、カメラ付き携帯電話なども売れている。また、プラズマ/液晶TVなど成長著しいフラットパネルディスプレイ分野も日本がリードしている。

 「かつてはPCが半導体市場を牽引したが、現在はデジタルコンシューマー機器が半導体分野で主役となる“脱PC”の時代ににさしかかっている。日本の経済状況は悪いといわれながら、半導体分野はいい。それはひとえに、デジタルコンシューマーや携帯電話の先端技術での強み。今後ますます、デジタルコンシューマーが世界に広がっていく。日本がまだまだ頑張れる時代が続いていく」(WSTS)。

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[西坂真人, ITmedia]

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