News | 2003年6月25日 00:51 AM 更新 |
オリンパス光学工業は6月24日、同社と米Eastman Kodakが提唱するレンズ交換式一眼レフデジカメの新システム「Four Thirds System(フォーサーズシステム)」の第一弾製品として、プロ向けの5Mピクセル機「E-1」と交換レンズシステム「ズイコーデジタル」を発表した。10月上旬から発売する。E-1の価格はオープンだが「標準ズームレンズ(14‐54ミリ、F2.8〜3.5、7万5000円)込みで30万円を切る価格を目標としている」(同社)
Four Thirds Systemは、昨年9月にドイツで行われた写真関連の国際見本市「Photokina」の開催に合わせて発表されたもの。撮像素子の大きさを4/3インチ(Four Thirds)に固定することでレンズ互換性を確保し、異なるメーカーのカメラボディやレンズを組み合わせて使うことができる。オリンパスとKodakのほか、富士写真フイルムが同規格に賛同している。
フォーサーズシステム規格の提唱以来、初の対応製品となるE-1は、オリンパスとしても初めてのレンズ交換式一眼レフデジカメとなる。
同社のデジカメ事業立ち上げ時にプロジェクトリーダーを務めていた菊川剛社長は発表会で「ここ数年、数多くのプロカメラマンからレンズ交換式一眼レフデジカメの開発を熱望されていた。だが、E-1を一番心待ちにしていたのは私自身。今回の発表はまさに万感胸に迫るものがある。E-1は、徹底してプロユースを考えたプロのためのデジカメ。銀塩一眼レフカメラで好評だったOMシステム立ち上げ時をはるかに超える開発人員を投入していき、今後のシステム拡充を図っていく」と、レンズ交換式一眼レフデジカメにかける熱い思いを語る。
E-1はボディ、レンズ、フラッシュなどシステムのすべてをデジカメ専用に設計することで、プロユースに求められる「画質」「機動性」「信頼性」をハイレベルで可能にしている。「デジタルでの最高画質を追求するために、すべてデジタル専用に新開発した。これは、既存の銀塩フィルムカメラのシステムを流用する現在の一眼レフデジカメに対する挑戦でもある」(菊川社長)
35ミリフィルム用一眼レフカメラ向けに作られたシステム資産を有効活用するため、現在の一眼レフデジカメは、35ミリフィルムサイズやAPSフィルムサイズといった大型の撮像素子を使って銀塩カメラ向けの交換レンズを流用している。だが、銀塩フィルムと撮像素子とでは結像特性が違うことから、周辺光量が不足したり、色にじみが発生するといった問題があった。
「数マイクロメートルの微細な画素ピッチにはレンズ解像力も必要となる。フィルムサイズに対応できるイメージサークルを確保するには、光学設計上レンズがどうしても大きくなりがち。銀塩カメラ用のレンズ設計では、画質を確保できないばかりか、システム全体のコンパクトさも犠牲になってしまう」(同社)
規格の中で撮像素子のサイズを4/3インチに規定したFour Thirds Systemは、撮像素子の性能を充分に生かせるデジカメ専用のレンズシステムを作ることができ、さらに銀塩フィルム用レンズシステムよりも小型化して設計できるというメリットがある。特に望遠系レンズで小型化の効果が顕著で、Four Thirds Systemで焦点距離300ミリの望遠レンズの画角は、35ミリフィルム換算で約600ミリ相当となる。
つまり、レンズの全長がほぼ半分でレンズ径を小さくしながら、同じ画角の写真を撮影することができるのだ。また、レンズ径を大きくすることで、明るくてコンパクトな高性能レンズも可能になる。レンズ交換式ながら、コンパクトで機動性の高い一眼レフデジカメシステムが構築できるわけだ。
[西坂真人, ITmedia]
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