News:アンカーデスク | 2003年7月4日 08:03 PM 更新 |
O.R.B.S.
旭エレクトロニクスのブースに展示されていた「O.R.B.S.」。開発はナムコ。ゲームセンターに置くことを前提にした1人用の没入型ディスプレイだ。
ユーザー(プレーヤー?)は、直径約1.7メートルの半球の内側、ちょうど中心に目が位置するようなところに座る(このために、半球の足元部分はえぐれている)。このとき、背中側も完全にフタをされた状態になる(イスそのものがフタだ)。カプセル内部に閉じ込められる形になるわけだ。
そして、イスの背もたれの上の辺りにあるプロジェクタが半球に画像を投影する。視界の180度がすっぽり画像で被われるわけだ。投影される画像の解像度は1280×1024ピクセル。球面に投影することで発生する歪みは、あらかじめ補正されている。
サウンドは単純なステレオ。サラウンドも検討されているのだが、いま、どっちのほうが良いか実験中というところらしい(*1)。
また、ゲームセンターに置くことを考慮して安全対策もなされている。例えば、フタになっているイスは自分で足で漕いで前に進むのだ。形態からみて、自動で閉まりそうな感じなんだけど(実際、デモのときにはほとんどの人が閉まるのを待っていた)、でもそれをすると事故につながる。足で閉めるほうが確かなのだ。
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デモは約2分間。簡単な説明の後、ゲームパッドで海中を進むようなもの、フライトシミュレーターのコックピットビューのようなもの(操作なし)、それにDVDコンテンツの表示だ。
海中っていうのは“いかにもなコンテンツ”で良さそうな気がしたのだけど、今ひとつ感動が薄い。頭のまわり(本当は前半分だけだけど)が全部「おさかな」なのはうれしいんだけど、視覚がステレオじゃないものだから、球面にさかなが貼り付いているように見えちゃう。高没入感であるためにかえって平べったさを感じてしまう。
その点、コックピットビューはごきげんだ。もともとすべての風景が無限遠みたいなものなんだから、遠近感がなくたって全く問題がない。なにより風景がぐるぐる回るのがそのまま実感できるのは快感だ。いや、むしろ酔う。今回は数十秒だったからよかったけど、これ数分だったらきっと酔ったと思う(乗物酔いの質なのだ)。
DVDは、外部入力がつなげるというデモなのだろうけど、没入型の効果はあんまりない。比較的おとなしく小さめに表示されていたからかもしれないけど、大画面効果ってわけにはいかないようだ。
このマシンの名称「O.R.B.S」は、Over Reality Booster Systemの略だ。今までのVRは過不足のないリアリティをずっと追求してきていた。それがリアリティっていうものだ。でも、これは、そのOverを謳っている。このあたりがゲーム屋的開き直りで、わたしは好きだ。
CyberDome
こちらは松下電工の没入型ドームディスプレイ。直径は1.8メートル。背面は開けているので、普通の椅子に座ってディスプレイに対峙する。そしてこちらは画面がステレオだ。偏光メガネをかけて立体像を見る。
CGで描かれた街をウォークスルーしてビルに入るようなデモを行っていたのだけど、ステレオ画面によるリアリティってのはやっぱり大きい。「O.R.B.S」によってそのことを再認識した。ただ、背面が空いているから、照明条件によって画面に影が落ちちゃったりする。なるほど、ゲームセンターに置くことが前提なら、後ろを閉じちゃった方がいいのかもしれない(*2)。
Joychair
もはやisamuやPrometのって言ったほうが通りがよさそうな川田工業(*3)のJoychair。外部信号を受けて前後左右に揺れるイスだ。IVRには、まだプロトタイプだった頃から出展されていたので、ずっと通っているわたしなんかにはもうおなじみ感のあるものだ。
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今年は見た目はほとんど去年と変わっていない。でも、細かいブラッシュアップが施され、もう製品化目前の雰囲気だ。デモでは、サーキットシミュレーター(これは本当に真面目なシミュレーターであり、車の設計に使うものなのだそうだ*4)につないだものと、2歩行ロボットシューティングにつないだものが展示されていた。振り回される感覚はかなりリアル。2足歩行ロボットはもう少し揺れた方が、乗っている気分になるのだろうが、そのへんはパラメータの調整だろう。
ただ、なぜかちょっとイスが小さくてお尻がきつかった。人間が大きすぎたかなぁ。
Danae
NECエンジニアリングの非接触3Dデジタイザ。対象物にスリットを通したしましまの光をあてて、2台のカメラでステレオ撮影する。対象物にあたったしましまは、その表面の凸凹の影響を受けて曲がったしましまになる。カメラはこの曲がったしましまを撮影しているわけだ(*5)。
数秒の間に条件を変えて何枚も撮影する。撮影された写真はそのままPCに送られて計算され、3Dオブジェクトが構築される。これだけだと、まだワイヤーフレームだから、最後に普通の光で写真を撮って、それをテクスチャとして貼り付ける。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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