News:アンカーデスク | 2003年7月4日 08:03 PM 更新 |
そして、ボールの位置によって、その骨組みを引っ張るようなかたちで動きを再現するのだ。そうすることで、必要な計算量をずっと小さくしている。だからPentium 4/2.8GHzのマシン2台で、十分にリアルタイムに動きを捉えることができる(*7)。ずっと安くシステムが作れるわけだ。
そのかわり、医療的に使えるような厳密さはない。また、人間の動きにそぐわないものは再現できない。極端な話、さっきのViconだったら、踊っている最中に腕が伸びたとしてもちゃんと捕えられるだろうけど、こっちは、だめだ。
また、人間以外のもの(イヌとかネコとか)の動きを捉えるためには、それ用の骨組みデータを用意しておく必要がある。でも、ゲームキャラの動きを作るなんて用途だったら、これで十分だというわけ。
これもモーションキャプチャ
オー・エー・エスのMarioGear。展示されていたのはNECエンジニアリングのブースのDanaeのとなり。
身長50センチくらいの人形。この関節を自由に動かしてポーズを取らせることができる。デッサンに使う人形みたいなものだ。ただ、こちらの人形の関節(全部で40)にはポテンショメーターが付いているのだ。その情報をセンサーボックス経由でPCに送れば、人形のポーズをキャプチャすることができるというわけ。
人形を動かすと、PC画面上の人形もリアルタイムに動く。そこで、人間が踊っている映像をPC画面に表示させて、一時停止して、それと重ね合わせるように人形にポーズを取らせてキャプチャだ。
全フレームをキャプチャする必要はなく、動きのキーになる部分を取り込めば、中間は補正してくれる。これで、その人間の踊りがあとからキャプチャできてしまうというわけ。ずるいようだがそうなる。
クレイアニメなみに手間がかかるけど(補正があるぶん楽だが)、でも、こういうのをやってみたがる人はいるような気がする。
でも、話を聞いたら、もっとすごい使い方があったのだ。
最近、TVなんかで、人形劇の人形を3DCG化させたアニメなんてのを見ることがある。NHKの自社CM「ドン・ガバチョ」とか。ああいうのにMarioGearを使うんだって。
本物の人形操者を呼んできて、MarioGearに棒を付けたものを実際に操ってもらうのだ。上半身、下半身、顔(これはMarioGearではなく別のPCを使う)にそれぞれ1人ずつ、3人がかりで動かすのだ。これだと、完全にリアルタイムキャプチャができるから、実写との合成で、人間と人形GCアニメのかけあいなんてのも生で撮れるようになるのだそうだ。これは、面白い。それこそ教育テレビ的演出には、とっても便利な気がする。これからもっと使われるようになるのかもしれない。
ライト兄弟になろう
CRCソリューションズのブースには、ライト兄弟が初めて空を飛んだ飛行機「フライヤー号」のフライトシミュレーターがあった(*8)。といってもこの飛行機、腹這いの姿勢になって、左手のレバーで上下を制御、腰を左右にずらすと飛行機が左右に旋回するというものだ。操縦するためにはそこに寝なければいけないのである。
もちろんやらせてもらった。むずかしい。ちょっと仰角を取り過ぎると失速するし、足らないとそのまま落ちるし、何度も墜落してしまった。「本物通りだと難しすぎるから、エンジンのパワーは大きくして飛びやすくしています」ってことなんだけど、それでもむずかしい。
悔しいから開発者にやってもらったんだけど、ちゃんと飛んでる。大したもんだ。聞いてみると、フライヤー号は、姿勢を維持するためには左手のレバーを休みなく上げたり下げたりしていなければいけないんだそうだ。上がったり下がったりしながら動的にバランスを取っている感じ。「ライト兄弟は自転車屋さんだったからなんですかねぇ」って話をしたけど、ホントかどうかはわかんない。
The Dimention Book
最後に、ちょっと気に入ったものを紹介。もはや「産業用」じゃないんだけど、日本バーチャルリアリティ学会(*9)ブースにあった「The Dimention Book」(*10)だ。
液晶画面がテーブルの上に置いてある。そこに顔(というよりお面)の画像が浮かんでいる。この画面をライトで照らすと、お面の影がちゃんと画面の中に落ちるのだ。液晶パネルの四隅に光センサーがあって、どっちから光が当たっているかを捕えているのだけど、やってみると、一瞬なんの違和感も感じないでいてから、「え?」って思ったくらいよく出来ていた。
ムービーはこちら(1.0Mバイト)
ムービーはライトの反射もあって、ちょっと見づらいのだけど、感じはわかると思う。
また、パネルには重力と地軸のセンサーも付いていて、パネルの向きによってお面の背景が変わるようにもなっているのだ。向こう側にあるバーチャルな世界とこっちとをつなぐ窓としてのディスプレイっていうイメージかな。
この窓がだんだん大きくなっていけば、こっちの世界ももっと面白くなりそうだ。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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