News 2003年7月14日 11:54 PM 更新

目指すは「シェア50%」――松下、ハイエンド向けDVDレコーダー新製品

松下電器産業がDVDビデオレコーダ「DIGA」の新製品2機種を発表。HDDの大容量化、高速ダビング、ネットワーク対応、SDメモリーカードを活用した“モバイル動画”の新提案など、新機能を数多く搭載したハイエンド機の投入でラインアップを拡充し、DVDレコーダー市場でシェア50%を目指す。

 松下電器産業は7月14日、DVDビデオレコーダ「DIGA」の新製品2機種を発表した。

 新たにラインアップに加わったのは、160GバイトHDDとDVD-R/RAMドライブ内蔵の「DMR-E200H」(9月1日発売)と、120GバイトHDDとDVD-R/RAMドライブ搭載「DMR-E100H」(8月1日発売)のハイエンドモデル2機種。価格は、DMR-E200Hが19万8000円、DMR-E100Hがオープン価格(実売13万円前後)。


DIGAシリーズの最上位モデルとなるDMR-E200H

 DIGAシリーズの最上位モデルとなるDMR-E200Hは、160GバイトのHDDにSPモードで最大約212時間の長時間録画が可能。120GバイトHDD搭載のDMR-E100Hは、SPモードで最大約160時間の録画が行える。また、HDDの大容量化にあわせて、HDDからDVDメディアへの高速ダビング機能を搭載した。

 HDDからDVD-RAMへはEPモードで最大12倍速、HDDからDVD-R(4倍速記録対応メディア使用時)ではEPモードで最大24倍速の高速ダビングが行える。同社の「〜倍速」というのは、PC用ドライブの記録速度表記とは違い、1時間番組を1時間でダビングできるのを“等倍速”と表現している。つまり1時間番組の場合、12倍速なら約5分、24倍速の場合は約2.5分でダビングできるというわけだ。

SDメモリーカードで広がる“モバイル動画の楽しみ方”

 また両機種ともに、TYPE-II準拠のPCカードスロットに加えて、SDメモリーカードスロットを搭載した。2種類のカードスロットを持つ「SD/PCカードWスロット」機能は、昨年2月に発表したDMR-E60などですでに採用済みだが、従来はデジカメなどで撮影した“静止画”のみをDVDに記録したり閲覧するためのものだった。


TYPE-II準拠のPCカードスロットに加えて、SDメモリーカードスロットを搭載

 今回のカードスロットは、静止画に加えて動画にも対応。HDDへの通常録画時に、MPEG-4の動画(SD VIDEO準拠、ASF形式)をHDDへ同時に記録できる「MPEG-4同時録画」機能を使って、録画した動画をSDスロット経由でメモリーカードに転送し、動画(ASF形式)対応の同社携帯電話(FOMA P2102Vなど)やSDマルチカメラ「D-Snap(DS-AV30)」などで再生することができる。


動画対応携帯電話やSDマルチカメラ「D-Snap」などで再生することができる

 また、D-Snapで録画したMPEG-4(ASF形式)ファイルもSDメモリーカードを介して、DVDレコーダー側で再生したり、DVD/HDDへダビングすることも可能。なお、発表によると「今後発売されるSDマルチカメラで録画したMPEG-2形式のファイルも、MPEG-4形式同様に、再生や保存(ダビング)が行える」としている。高画質な映像記録が行えるこのMPEG-2対応のSDマルチカメラは、近日発表予定とのことだ。

 そのほか、録画中の番組を再生できる「追っかけ再生」や、音声付きで1.3倍速再生が行える「早見再生」といった便利な再生機能が、HDD/DVD-RAM両メディアで利用できる。

 上位モデルのDMR-E200Hのみの機能として、地上波/BSアナログ放送に対応したEPG(TV番組ガイド)機能を搭載したほか、これまで外付けオプションだったブロードバンドレシーバーを内蔵。本体に10/100BASE-TXのイーサネット端子を装備し、ADSLなどブロードバンド回線と本体とを接続することで、ネットワーク経由で携帯電話やPCからTV録画予約が可能になる。


DMR-E200Hの背面には、10/100BASE-TXのイーサネット端子を装備。携帯電話やPCを使ってTV録画予約ができる

 そのほかDMR-E200Hでは、コマ送りやスロー/サーチの操作がしやすい「ジョグシャトル搭載」リモコンを採用したほか、地上波放送のゴーストをを抑える「ゴーストリダクションチューナー」を搭載している。


DMR-E200Hのリモコンにはジョグシャトルを搭載

シェア50%を目指して

 2002年に対前年比4倍強の伸びとなる83万台と大きく成長した国内のDVDレコーダー市場だが、同社の予測によると、2003年は220万台、2004年には300万台ととさらに拡大してVHSとDVDレコーダーの出荷台数が逆転し、映像録画機器の主役がVHSからDVDレコーダーに置き換わると見ている。

 同社は、今年の2月にDVDレコーダーの新ブランド“DIGA”を立ち上げ、一気に5機種をラインアップ(2月5日の記事を参照)。今年4〜5月の量販店販売実績では、瞬間風速ながら53%の市場占有率を記録している。今回、ハイエンド向けとしてリリースする2機種を加えて、普及価格帯からハイエンド機までDVDレコーダー製品ラインアップを充実。「DVDレコーダー市場のシェア50%を目指して、“ポストVHS”として、幼児から年配のユーザーまで安心して使える製品を提供していく」(同社)構えだ。

 「シェア50%というのは極端な数字。市場が拡大するにつれ、さまざまなメーカーが参入して最終的には達成できないかもしれないが、DVDレコーダーという新市場を創造するために、あえて大きなシェア目標を掲げた。日本市場よりも1年ぐらいの時間差で、世界中にもDVDレコーダー普及の流れは広がる。全世界のDVDレコーダー市場は、2004年に1300万台強、2005年には2200万〜2300万台になると予測し、全世界でも2005年にVHSとDVDレコーダーの出荷台数が逆転するとみている。当社のDVDレコーダー生産目標である月産100万台も、2005年頃に達成する予定」(同社)。

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[西坂真人, ITmedia]

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