News 2003年8月8日 09:52 PM 更新

老舗カメラメーカーに課せられた「レンズ資産の活用」――“世界最小・最軽量”一眼レフデジカメ「*ist D」(2/2)


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 同社の浦野文男社長は発表会の冒頭で「半世紀前に一眼レフカメラ市場に参入した当社は、クイックリターンミラー、ペンタプリズム、露出計など、世界初の機能を一眼レフカメラに搭載してきた。そのため当社を、一眼レフカメラのパイオニアと呼ぶ人も多い。今年3月発売のオプティオSで、デジカメ市場にも本格参入できた。だが、一眼レフカメラのパイオニアとしては、レンズ交換式の一眼レフデジカメを出さなければ一人前といえないという思いがあった」とし、レンズ交換式一眼レフデジカメ市場への参入が悲願であったことを語る。


同社の浦野文男社長

 浦野社長によると、同社のレンズ交換式一眼レフデジカメの開発自体は、6年以上も前からスタートしていたという。だが、2000年のフォトキナに参考出品した35ミリフルサイズCCD搭載・600万画素の一眼レフデジカメが製品化に至らなかった経緯もあり、その道のりは決して順調ではなかったようだ。

 「本日、*ist Dを発表できて非常に感激している。われわれはデジタルカメラの製品群を“デジタルの森”と呼んでいるが、これまではこの森にスキマがあった。だが、*ist Dによって、大きなスキマが埋まった。今後も一眼レフデジカメのラインアップを充実させていき、3年以内にマーケットシェア20%を狙う」(浦野社長)

10万円台半ばの普及価格帯一眼レフデジカメが、年内にも登場?

 同社イメージングシステム事業本部長の鶴田昌隆氏は一眼レフデジカメ事業の今後の戦略について「一眼レフデジカメの世界市場は、今年60万台は確実で、来年は120万台に行くとみられている。さらに2005年には180万〜200万台に達すると予測されるなど、今後も急速な成長が見込まれる。世界シェア20%を達成するために、商品ラインアップを強化し、幅広いユーザーに対応できる商品群を発売する予定」と語る。

 実売20万円前後となる今回の*ist Dは、同社によると「ハイアマチュア向け」とのこと。同社は銀塩一眼レフカメラでは、プロ向けに中判一眼レフカメラ645/67シリーズを用意しており、35ミリ判一眼レフは定価13万5000円のMZ-Sが最上位機になる。ペンタ党から非難を受けそうだが、現状のラインアップでは「プロ向けはない」と見るべきだろう。

 発表会でも、*ist Dの大きさの比較などに、盛んにMZ-Sを引き合いに出していた。となると、「ハイアマチュア向け」とする今回の*ist Dが、同社一眼レフデジカメの最上位機に位置付けられている可能性が高い。今後の商品展開について鶴田氏は「現在、複数の製品ラインが進行しているが、*ist Dを発表したばかりなので、(開発モデルの)詳細を語るのは控えたい。だが、ラインアップを充実させるためには、当然(低価格な)入門機も作っていきたい」と語り、より普及価格の一眼レフデジカメが、遠くない将来に投入される可能性が高いことを示唆した。


記録メディアはコンパクトフラッシュ(Type I/II)のほか、MicroDriveも使用可能


電源はリチウム電池(CR-V3×2本)か単3形電池×4本を使用。入手しやすいアルカリ乾電池が使用できるのもうれしい

製品名*ist D(イスト ディー)
形式P-TTLストロボ内蔵AE・AF一眼レフデジタルカメラ
マウントペンタックスバヨネットKAFマウント
撮像素子23.5×15.7ミリ有効約610万画素CCD(総画素数631万、原色フィルター)
ISO感度ISO 200〜3200(1EVステップ)
記録画素数3008×2008/2400×1600/1536×1024ピクセル
記録方式JPEG、TIFF、RAW(12ビット)
AF方式TTL位相差検出(11点測距、EV0〜19、ストロボ補助光)
フォーカスモードAFシングル、AFコンティニュアス、マニュアル
シャッター電子制御式縦走行フォーカルプレーンシャッター
露出制御プログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE、ハイパーマニュアル、バルブ
シャッタースピード1/4000〜30秒
ホワイトバランスオート、太陽光、曇天、日陰、ストロボ、タングステンランプ、蛍光灯白色、蛍光灯昼白色、マニュアル
ストロボリトラクタブル(GN11)
液晶ディスプレイ1.8型TFT液晶ディスプレイ
記録メディアコンパクトフラッシュ(Type I/II)、MicroDrive
電源リチウム電池(CR-V3×2本)か単3形電池×4本(リチウム/ニッケル水素/アルカリ)
サイズ129(幅)×94.5(高さ)×60(奥行き)ミリ
重さ約550グラム(電池、メディア別)
価格オープン(実売20万円前後)
発売時期9月6日

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[西坂真人, ITmedia]

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