News:アンカーデスク 2003年8月19日 10:31 AM 更新

PSP、PSX、UMDの真の狙いは?――ソニー・久夛良木氏が解き明かす“点と線”(2/3)


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 据え置き型のプレーヤーを使っている限り、それを視聴する人間がDVD鑑賞に使える時間は、今以上には増えにくいところにまで来ているわけだ。

 久夛良木氏はゲームソフトについて触れなかったが、おそらくこれはゲーム機業界にも言える問題だろう。(ゲーム機を含め)コンテンツプレーヤーの普及が一定レベルにまで達すれば、あとはユーザー一人当たりが購入するコンテンツ数を伸ばしていく他に、市場を拡大する道はない。

 この問題を解決する一つの方法は、エンドユーザーがコンテンツを楽しめる場面を増やすことだ。映像を楽しむ、あるいはゲームを楽しめる場所が自宅のテレビの前だけでなく、家の外にまで拡がれば、コンテンツの流通許容量を引き上げることができる。PSPはゲームや映像を、好きなときに好きな場所で楽しめるコンテンツプレーヤーだと言える。

 PSPに採用されたUMDも「映画会社の意見を聞き、できる限りの意見を取り入れて作った規格。このため暗号化に関しても3DESだけでなくAESを採用し、セキュリティのためにROMチップを埋め込むようにした。世の中に完璧まコンテンツ保護技術はないが、経済的に無意味な程度にまで安全性を高めることは可能だ」(久夛良木氏)と、コンテンツベンダーのために可能な限りの仕様を盛り込んだメディアであることを強調する。

 ゲームの他、映像コンテンツもUMDで流通させる。映画はもちろんだが、その週に放映されたテレビ番組やゴルフレッスンビデオ、電子ブックなどを駅の売店で雑誌のように販売するといったアイディアもあるという。今週見逃したあの番組、来週の放映前にUMDを買って見ておこうか、といった具合だ。ただし、UMDはPSPのためだけに作られたメディアではない。

 「UMDとPSPは切り離して考えてほしい。この二つは、別の目的で規格・開発されたもの。UMDはコンパクトでセキュアなコンテンツ配布に特化したメディアになる。もちろん技術的には記録型も可能だが、記録型UMDを開発する予定は全くない。これはPSPに音声の光デジタルアウトを付けないのと同じ理由で、デジタルコピーを排除するためだ。より良いコンテンツが登場するために、コンテンツベンダーの納得する仕様にしなければならない」と久夛良木氏は言う。

 そもそも、映像をベースに考えれば、家庭内では記録型DVDがあり、外出先に録画した映像を持ち出す際には、メモリースティックやSDカードなどに高圧縮フォーマットへとトランスコードして記録する使い方が主流になるだろう。となればUMDが記録型でなければならない理由もない。

 将来、SD品質の映像コンテンツ配布はUMDへと収れんさせ、HD品質はBlu-rayへと向かわせることを考えているという。UMDは現時点ではPSPのみしか採用機種が決定していないが、将来はPSP以外のデバイスでUMDが利用可能になっていくとも話した。気になるのはソニーグループ以外から、UMDデバイスが登場する可能性だ。

 「UMDを自分たちだけのメディアにするつもりはない。しかしライセンスするにしても、まずは第一歩を記し、ビジネスとしての可能性を示す必要がある。コンテンツの幅を広げるためにも、他社へのライセンスは必要だろう。(標準化団体などで規格化しなくとも)CDがソニーとフィリップスの技術から発展してデファクトスタンダードになったように、必要な時になれば業界全体が標準化へと動く」(久夛良木氏)

 どうやらSCE、いやソニーは、本気でCD、DVDに変わるポータブルかつセキュアな新メディアとして、UMDを推し進めるつもりのようだ。容量面でDVDには敵わないといった面もあるが、その点はCODECの進化でカバーできる。

 「まずコンテンツありき」の考え方に従えば、コンテンツベンダーが参入しやすい環境さえ整えてやることで、UMDはデファクトスタンダードを狙える位置にまで歩を進めるかもしれない。

「PSXはポストVHS」の真意

 さて、話をPSXに移そう。先日のPlaystation Meetingにおいて、久夛良木氏は「PSXはポストVHS」と説明した。これを深読みすると、「VHSと同じぐらいに家庭の中に浸透する、従来製品とは全く異なる新デバイス」とも聞こえる。しかし久夛良木氏によると、言葉そのままに家庭用ビデオデッキの置き換えを狙ったものだという。

[本田雅一, ITmedia]

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