News:アンカーデスク | 2003年8月19日 10:31 AM 更新 |
昨年末に火が付いた記録型DVDとハードディスクを組み合わせたハイブリッドビデオレコーダー市場だが、その数は今年後半の商戦期に爆発的に伸びると予想されている。そこに向けて高いシェアを狙える性能、機能を持ったハイブリッドビデオレコーダーとして、PSXを投入するというわけだ。
そこにはゲーム機とハイブリッドビデオレコーダーの複合機という発想はない。
「世の中のハイブリッドビデオレコーダー、HDDビデオレコーダを見ると、レスポンスが悪かったり、ユーザーインターフェイスやグラフィックの質が悪かったりで非常に使いにくい。では、最もハイレスポンスで、ユーザーインタフェースに優れたレコーダーを作るにはどうすればいいか? 安価でありながら、豊富なピクセル処理能力があるチップとして、PS2のチップを使うことにした」(久夛良木氏)
つまり、高度なピクセル処理や3Dグラフィックス、リアルタイムのレスポンスを実現するがためのPS2チップ搭載である。
それどころかSCE社内では、PSXの名称に関して「プレイステーションを思い起こさせるものは避けよう、そもそもゲーム機として使える必要はなく、純粋にAV家電であればいいのではないか」といった意見もあったようだ。
「名前も“PS”を付ける必要はなかった。ソニーブランドで発売するCoCoonシリーズの一つでも構わなかった」(久夛良木氏)
結局、せっかくPS2チップ、イーサネット、ハードディスクがすべて搭載されるなら、ゲーム機としての機能を使えなくする必要はない、という意見でまとまったが、ゲーム機として動作することは決して“主”ではない。
PSXは年末のアナログ地上波、アナログBS対応のモデルの後、来年にはデジタルBS対応機も予定しているとのこと。となるとPS2チップを応用した、他のAV機器が登場する可能性もある。PSXにPS2チップを採用した論理からいけば、ピクセルが存在するデバイスすべてについて、PS2チップを活かせる場所が存在することになるからだ。
しかし久夛良木氏は、これをキッパリと否定した。
久夛良木氏はその理由を「PS2チップを採用する製品は、PSXとその後継製品のみしか予定していない。その先にはCELLプロセッサと、CELLとつながるグラフィック処理チップがある。これらが5年先ならば、PS2チップを継続して組み込み用途に使うだろうが、次世代のアーキテクチャーはそれほど遠いわけではない」と話す。
CELLプロセッサとその周辺システムチップは、既にオールソニーで他社製品との差別化のため、さまざまな製品へと組み込んでいくことが決定しているためである。この数年でデジタルテレビを中心に、AV機器のデジタル化が大きく進むと言われている。そうしたデジタルAV家電の時代に、ソニーはCELLを独自のキーテクノロジーとして最大限に活用していく。
このあたりの戦略については、追って記事でとしてまとめることにしたい。(次回に続く)
[本田雅一, ITmedia]
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