News:アンカーデスク 2003年9月4日 06:57 AM 更新

iPodへの挑戦者――東芝gigabeatとiHP100が示すもの(2/3)


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 いずれにしろ、少々マニアックな面を持っていた初代機の面影はなく、スタイルや音楽プレーヤーとしての機能的な洗練が行われた。ただその半面、デジタル機器としての面白さや広がりという面では、少々小さくまとまり過ぎたかもという印象も受けた。

 では、ジャスト音楽プレーヤーとしてはどうか?というと、洗練されたとは言え、まだ不満が残る部分もある。これは初代機でも指摘されていたことだが、どうもユーザーインタフェースの作り方がAV機器っぽくなく、親切さを感じないのだ。あまり不満点ばかり書き連ねるのも気が進まないが、字数の関係もあり箇条書きにて失礼したい。

  • 製品本体には音楽ファイルをデータベース管理する機能はなく、付属ソフトが生成するM3U形式のプレイリストを用いて、アルバムごとやジャンルごとなどの再生を行う仕様。しかしプレイリストを呼び出すまでの操作ステップが多く使いやすくない。またプレイリストのタイトルが拡張子まで表示されてしまう。

  • 生成されるプレイリストの曲順がアルバムのトラック番号順にならない場合がある

  • 欧州文字を含む曲名のファイルを転送できない(東芝によるとWindows 98やMeをサポートするため、文字コードをシフトJISに変換しているためだとか)

     個人的には欧州文字が使えないのが、少々痛い。例えば、ボサノヴァなどは転送できない曲ばかりになってしまう。とはいえ、そのフォームファクタや20Gバイトの容量はなかなか魅力的である。好みの問題はあるだろうが、“所有することの満足感”に関しては、iPodにも負けないだけの雰囲気を持つ製品とは言えるだろう。

    なんでもアリアリの機能性が魅力のiHP-100

     一方のiRiver製iHP-100は、今年1月のInternational CESで発表されていたもの。すでに日本でも発売されているため、ご存じの方も多いのではないだろうか。


    iRiver「iHP-100」

     容量は10Gバイトと少なく、デザインも決して良いとは言えない。サイズ的にもiPod並みで突出したところはない。が、WMA、MP3、WAVの再生が可能なだけでなく、MP3リアルタイムエンコードによる録音も可能というところがユニーク。

     しかもアナログのライン入出力に加えて、光デジタル入出力も備えているほか、内蔵マイク、内蔵FMチューナーからの音声もMP3で記録することができる。

     特にマイクを用いたボイスレコーディング機能はお勧めだ。10Gバイトのハードディスクに、高音質なMP3ファイルとして音声を記録しておける。この便利さを知ると、メモリサイズが限られ、音質もイマイチなボイス専用のデジタルレコーダには戻れない。

     本機にはオートゲインコントロール機能もあり、内蔵マイクの品質もそこそこに良い。音声を聞いたり、後からカット編集などを行う際に、汎用のMP3対応アプリケーションを利用できるのも魅力だ。

     一方、光デジタル入出力があるため、iHP-100に納められた音楽をデジタルコピーで他のメディアにコピーしたり、あるいはPCなしでCDからデジタル録音を行ったりといったことも、やろうと思えばできてしまう。PCから音楽ファイルを転送する際は、単にUSB 2.0対応のハードディスクとして認識させた本機にファイルコピーするだけ。コピーの世代管理などは行われない。

     著作権管理や録音機能をのぞけば、iHP-100はgigabeatシリーズと似た面をいくつも持つ。通常のUSBハードディスクとしても機能し、アーティスト名、アルバム名、ジャンルなどによる分類管理を行うためには、あらかじめPC側のユーティリティで曲情報IDを元にしたデータベースファイルを生成しておく必要がある。

     またトラック番号を考慮したソートを行ってくれないのも同じ。ファイル名順でソートされるため、あらかじめトラック番号を先頭に付与したファイル名にしておく必用があるだろう。

     ただし、操作性は音楽プレーヤー専業ベンダーだけのことはあり、曲順リストファイルが表に見えてしまうといった泥臭い部分は見受けられない。曲データベースファイルはユーザーからは隠ぺいされ、さまざまな角度からの曲リストを素早く選択することが可能だ。

    [本田雅一, ITmedia]

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