News:アンカーデスク 2003年9月16日 11:12 AM 更新

3代目「D-snap」が象徴する、松下の変身(1/2)

9月11日発表の3代目「D-snap」は、動画、静止画、音楽、録音を均等に攻めていた従来製品から、それぞれの機能を突出させた4種類の製品へと進化した。この製品は、最近の松下の製品開発における独自性を象徴するとともに、「メモリさえあればなんでもできる」というデジタルデバイスの究極の姿を見せ付けてくれる。
顔

 9月11日、りんかい線国際展示場駅の隣りにあるパナソニックセンター1階ホールは、異様な熱気に包まれていた。D-snapの新製品発表会である。

 普段、AV機器の発表会に行けば、だいたいは見たことある人々、さもなくば同じような年齢層で埋まるものだが、今回ばかりは全く違っていた。若い女性記者から年配ジャーナリストまで、実に幅広い年齢層だ。

 今度のD-snapは、われわれPC関係紙だけでなく、モノ系トレンド誌、経済誌など、いわゆる一般誌にも広く受け入れられたようである。さらに特徴的なのは、「D-snapがなにか」を誰もが理解していたことだろう。

 初代D-snap「SV-AV10」の船出は、景気低迷が底辺にさしかかった2002年1月のことだった。フリップ型ケータイとほぼ同じ大きさながら、そのフォルムは横型DVカメラをそのまま小さくしたようなスタイル。1台でムービーも写真も撮れ、音楽が聴けてボイスレコーダーにもなる(2002年1月9日の記事参照)。


初代D-snap「SV-AV10」。

 今までにそんな商品はない。量販店では、“とりあえず”といった形でDVカメラコーナーの片隅に置かれたりしていたものだ。

 だが、この方法は、意外にも「露出」という意味で成功を収めた。広げた形がDVカメラそっくりなので、まるでビデオカメラのミニチュアのように見える。DVカメラを購入に(あるいはひやかしに)来た人々は、思わず手にとってシゲシゲと眺めたものである。

 だがカメラ売り場には置かれたものの、撮影機能はお世辞にも優れているとは言えなかった。というのも撮像素子がCCDではなく、有効画素数33万画素の1/4インチCMOSだったからだ。


撮像素子は1/4インチ CMOS。液晶は2インチだった

 元々CMOSという素子は、ちゃんとお金をかけて開発すれば、未来のある素子である。NHK技術研究所が研究・開発を進めている走査線4000本のビデオカメラは、CMOSを4枚を使っている。今存在するCMOSカメラは走査速度が遅く、手ブレすると絵が曲がって写ったりするが、ちゃんとしたCMOSでは、CCDよりも反応速度は速いのだという。

 しかし廉価なCMOSは、画質や発色の面であきらかにCCDに劣る。初代D-snapのC-MOSという選択は、将来性云々というよりも、単純にコストであろう。動画品質は最高でも、HalfVGAで8fps程度、静止画はVGAサイズである。

 モノとしては面白いが、撮った後どうする、という着地点で欠けるきらいがあった。その半面、MPEG-2 AACの音楽再生機能はなかなか良好だった。今にして思えば、カメラというよりも、SDカードの可能性を探るためのデバイス、といった方向性が強かったのではないかと思われる。

停滞するかに見えた2世代目だが……

 MPEG-4の動画は、使い道が難しい。今ではケータイで送るといった使い道があるが、なにせ当時は撮るだけで編集することもできないので、「記録する」という撮影本来の目的から外れてしまうのである。初代D-snapを使って撮った、娘がスキー場で遊ぶ姿のムービーは、なんにもできないまま、どこかのCD-ROMに転写されて眠っているハズである。

 実はメモリ媒体に撮るMPEG-4カメラの先陣は、99年に発売されたシャープの「インターネットビューカム」であった。これは撮影のみのカメラで、音楽再生機能などはない。後継機も出たが、おそらく初代D-snap発売時点ではすでに生産終了になっていたのではないかと思われる。

 そのような状況であったから、D-snapもこのままフェードアウトかなとも思われたが、同年12月、松下電器はさらに積極的な展開に出る。

[小寺信良, ITmedia]

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