News | 2003年10月8日 10:43 AM 更新 |
先日発表されたばかりの2層記録対応の追記型DVDは、DVD-ROMとの互換性が確保されているということもあり、今後ユーザーの大きな注目を集めることは間違いない。中でも、DVD+RWアライアンスはその開発に積極的だ。同団体では、本日から始まったCEATEC JAPAN 2003において、2層目までデータが記録されたDVD+Rメディアの再生デモを行っている。
同ブースで展示されていたものは、2層記録対応のドライブおよび三菱化学メディアとリコーが開発した2層記録対応のDVD+Rメディアなど。ドライブは、Hewlett-Packard社のロゴが付けられているが、「ファームウェアは、Philisが開発した2層記録対応のものにしてある」(同ブース説明員)。
また、記録デモを行わなかったのは、単純に「時間がかかりすぎるから」だそうだ。同ブース説明員は、「記録デモをしようかとも考えたのですが、2層目まで記録するとあまりに時間がかかるので、それは止めにしました」と笑いながら説明してくれた。
オポジットとパラレルの両方で記録できる
さらに今回の展示により、プレスリリースでは、不明だったいくつかの点が明らかにされた。
まず、記録についてだが、DVD+Rでは、オポジットとパラレルの両方のモードに対応しているという。「DVD-ROMには、内から外、外から内へと再生するオポジットと、内から外、内から外と再生するパラレルの2種類の再生方式がありますが、もちろん、両方をサポートしています。記録するときは、どちらのモードでも記録を行えます」(同ブース説明員)
また、2層記録に対応したDVD+Rメディアは、光の入射角からみて、カバー層、記録層、透過型反射層、スペーサー層、記録層、反射層、カバー層という構造になっているが、物理アドレスの取得用の“グルーブ”は、二つある記録層の両方に用意されているという。「記録するときに、グルーブが両方にないとうまく記録が行えません。このため、各記録層ごとにグルーブを設けてあります」(同ブース説明員)
記録層に用いられているのは、これまでの追記型DVDメディアと同じ「色素系」の材料である。参考出展されているリコーの2層記録対応DVD+Rメディアでは、同社の独自開発の色素が採用されており、同社によると「現在のDVD+Rメディアとは異なるもの」ということだ。三菱化学メディアの製品については、不明だ。
また、物理アドレスを取得するのに必要となるグルーブを記録層ごとに設けるということは、いうまでもなく、メディアの価格を押し上げることになる。今後の課題は、量産時の価格をどれだけ安価にするかということになるだろう。
実際、ブースの説明員も「2層対応のDVD+Rメディアは、1層メディアの製造とは異なります。量産化するときは、“価格”が問題になるでしょう。いかに、低価格に製造するかというのが今後の課題です」と価格が課題になることを認めていた。
「メディアの製造は、パイオニアが開発した“積層構造”"をとってもよいし、0.6ミリの基板を2枚用意し、それを張り合わせる従来のDVD-ROM型のどちらを使ってもかまいません。きちと特性が確保できれば、製造方法は、メーカーが自由に選択できます」(同ブース説明員)
ちなみに、パイオニアのブースでは、先ほど発表された2層記録のDVD-Rメディアの展示は行われていなかった。しかし、同社の技術について情報を得ることができたので、報告しておく。
同社の開発した積層構造では、0.6ミリの基板の上に、光の入射角からみて記録層、透過型反射層、スペーサー層、記録層、反射層という構造をとり、最後に0.6ミリのダミー基板を張り合わせるようだ。
また、物理アドレスの取得方式については、今後規格化を提案するという状況にあり現時点では“未定”という。ただし、2層記録のDVD-Rメディアは、現在発売中のドライブでは記録できないということもあり、ランドプリプットに変わる新しい方式が採用されても不思議ではないだろう。
また、同社は現在、メディアの製造からは撤退している。このため、パイオニアが他社メーカーに技術供与し、実際のメディアの製造は別の(パイオニア以外の)メーカーが行うことになる。
[北川達也, ITmedia]
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