News:アンカーデスク | 2003年10月14日 06:24 PM 更新 |
先週開催された「CEATEC JAPAN 2003」は、昨年までの意味合いとは若干違ったものになっていた。従来のIT系/通信系の技術展示会という側面は残っているが、むしろ最新AV機器展示会とも呼べるほどの変貌を遂げたのである(関連記事:特集 CEATEC JAPAN 2003)。
そんな中、筆者は、会場には出展していない、ある重要な企業の取材に成功した。本格的に日本のマスコミに接触したのは、今回が初めてだという。
9月29日のコラムでは、CoCoon(コクーン)の総指揮者とも言える、ソニーホームストレージカンパニーの辻野晃一郎プレジデントのインタビューをお送りした。その中で登場した「TiVo」なるキーワード、これが気になった人も少なくないことだろう。今回は幕張メッセ近くのホテルでこのTiVoを実際見ながら、TiVoの副社長にお話を伺うことができた。
だがその前に、日本ではまったくなじみのないこのTiVoとは何かを理解する必要があるだろう。TiVoとは、さまざまな意味で使われる。会社名、サービス、製品の総称、ソリューションといった具合だ。だがここでは、ユーザーから見た視点で説明するのが一番良さそうだ。
TiVoは、全米で100万人のユーザーを抱えるHDDレコーダーのトップブランドである。TiVoという会社自体は、元SGIの社員が中心となって、1997年に設立された。そして初代TiVoマシンがリリースされたのが翌1998年。
だがTiVoは、ハードウェアメーカーではない。TiVoブランドのHDDレコーダーは、OEMによって供給されている。さらにユニークなのは、パイオニア、ソニー、東芝といったAV機器メーカー(の米法人)が、それぞれのブランドでTiVoマシンを製造・販売している。
TiVoはそれらの会社に対して、独特のインタフェースを持つソフトウェアをライセンスすることで、TiVoマシンとなるわけだ。だからパイオニア製でも東芝製でも、あるいはTiVoブランドのベーシックなマシンでも、いくつかの付加機能が違うだけで、すべて同じインタフェースで動作する。メーカーが違っても、マシンの基本動作やフィーリングは同じなのである。
適当な比喩ではないかも知れないが、OSのライセンスビジネスと似たようなところがある。PCやモバイル機では、ハードウェアの規格とOSとのすり合わせの上で動作するわけだが、TiVoはHDDレコーダーという世界でハードウェア規格とOSの提供をやっているわけだ。
TiVoの何がすごいのか
TiVoマシンの動作は、日本のHDDレコーダーと似て非なる部分が多い。TiVoマシンの目的は、「ユーザーの好みに合う番組でHDDを常に一杯にしておくこと」である。従って一度電源を入れたら、OFFになることはない。電源ボタンがないのである。
[小寺信良, ITmedia]
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