News 2003年10月14日 09:34 PM 更新

Blu-ray Disc、量産問題は解決された?(1/2)

Blu-ray Discの課題として取り上げられることが多い、キーパーツやメディアの製造の難しさ。しかし、その開発は順調に進んでおり、めどが立ってきているという。

 Blu-ray Discについて語る時、その「課題」としてよく取り上げられるのが、キーパーツやメディアの製造に関する「難しさ」だ。DVDフォーラムで策定中の「HD DVD」も、まさにこの点を(Blu-ray Discに対する)最大の利点として挙げている。

 しかし、製品化が始まったBlu-ray Discでは、規格策定と平行して普及を見据えたさまざまな技術が開発されている。「CEATEC JAPAN 2003」で行われたBlu-ray Discのカンファレンスでも、主要なキーパーツの開発状況などについて説明があった。

マスタリングは難しかったが、問題は解消へ

 Blu-ray Discにまつわるさまざまな「難しさ」の中でも特に難問とされてきたのが、「マスタリングの難しさ」だ。Blu-ray Discは、単層で最大27Gバイトという容量を実現する高密度な規格であり、25Gバイトのメディアを使った場合の最小ピット長は、わずか「0.149マイクロメートル(μm)」しかない。このため、再生専用の媒体(BD-ROM)を作成するためには、この小さなピットをきちんと形成できる装置が必要になる。

 「(Blu-rayでは)ピットが非常に小さいのでマスタリングが難しいという話があります。これはある意味正しかった」と、講演を行ったソニーの小川博司氏(ブロードバンドネットワークカンパニー オプティカルシステム開発本部部門長)も、これがハードルであったことを率直に認める。

 しかし、小川氏は、昔は確かにそうだったが、今は色々な技術が開発され、状況は変わってきているという。同氏によると、現在、Blu-rayのマスタリングの方法には、EB(電子ビーム)、DeepUV(波長260ナノメートル程度の紫外レーザー)にフォトレジストを工夫したもの、リキッドイマージョン、PTM(フェーズトランジションマスタリング)の4種類があるのだそうだ。中でも、4番目のPTMは、ソニーが最近になって発表したものだが、PTMの特徴は、高速でかつ安価にマスタリングできることだという。

 「PTMでは、普通の400ナノの青紫色レーザーでもマスタリングできます。変えているのは、紫色の特殊なフォトレジスト、これだけです。これを使って、普通のレーザービームマスタリングが機械でできます」(小川氏)

 余談だが、同氏によるとPTMは、社内コードで「変態マスタリング」と呼ばれていたのだとか。「フェイズ・トランジション=態を変えるから“変態”なんですが……」(小川氏)

0.1ミリの保護層の作成も問題ない

 Blu-ray Discのメディアを作成する上でもう一つの課題となっていたのが、「0.1ミリ」と薄い保護層を「±2マイクロメートル」以内の誤差で形成しなければならないということだ。というのも、対物レンズの開口数(NA)を0.85と絞り込んでいるBlu-ray Discでは、光を透過する保護層の厚みのバラツキによって、光スポットの形状が理想よりも大きくなる「球面収差」が増大してしまうからだ。

 だが、これは、すでに製品の出荷が始まっていることからも分かるように解決された問題だ。「Blu-rayの保護層の作り方は、大きく3通りのものが開発されています。1番目が紫外線硬化樹脂をスピンコートでとばすものです。これは、CD-Rを作る方法そのものです。2番目は、シートを使って、それを紫外線硬化樹脂で固める方法です。3番目がシートを使ってPSA(Pressuve Sensitibe Adhesive)です。PSAは、粘着テープのようなものです」(小川氏)

 最初の方法は、TDKが学会などで発表していたもので、複屈折や面ブレが少なく、良好な信号特性を期待でき、残りの2種類は、ディスク全面にわたって均一なカバー層を形成しやすいという利点があるようだ。もちろん、現在発売が始まっているBD-REメディアは、この3種類のうちいずれかを採用して保護層を形成している。BD-ROMやBD-Rなどでも同様の手法がとられることになるだろう。

カートリッジは有無は使用環境による

 「カートリッジに入れるのは、ディスクの表面が弱いからなんじゃないのか? そんなことをよく言われます。ですが、カートリッジが要る、要らないは、どなたがお使いになるかによって変わります」(小川氏)

 Blu-ray Discでは、今後カートリッジは、すべてオプション扱いになることが示されている(関連記事)。もちろん、これには、理由がある。簡単には傷が付きにくく、ほこりや指紋をふき取れるハードコートの開発が各社で進んでいるからだ。つまり、ほこりや指紋などは、ふき取ればよいというわけだ。

[北川達也, ITmedia]

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