News:アンカーデスク | 2003年12月5日 10:19 PM 更新 |
12月1日、千葉工業大学の「未来ロボット技術研究センター」のプレス発表会が開催された。それと同時に、このセンターから生まれた新しいマシン「Hallucigenia 01(ハルキゲニア・ゼロワン)」のデモンストレーションも行われた。
「未来ロボット技術研究センター」は英語では「Future Robotics Technology Center」といい「fuRo」(フーロ)と略称される。古いイタリア語で「存在」「生命」「本質」というような意味も持つ語でもあるそうだ(*1)。
fuRoは、千葉工業大学という学校法人直轄の施設だ。どこの学部にも属していない。ロボットを作るということには、工学的技術、デザイン、社会的機能といった学際的な能力が必要になるのだ。また、直轄であるから、フットワークが良い組織でもある。
所長は、古田貴之さん。名前を覚えている方もいるだろう。あのmorphの古田さんである。6人の研究員も彼と一緒にmorphをやってきたチームがそのままfuRoに移ってきたのだ(*2)。古田さんは1968年生まれ、研究員は全員20歳代という非常に若いチームだ。
そして、事務局室長は先川原正浩さん。オーム社の「Robocon Magazine」の編集長を長く務めた人だ。いや、むしろここでは、Robo-oneの解説者として紹介したほうが通りがいいかもしれない。古田さんとは違う方向からロボットのことをよくわかっている人である。なかなか強そうなタッグである。
もう一人、fuRoには属さないが、強い協力関係にあるのがLeading Edge Designの山中俊治さんだ。morph3のデザインの山中さんである(*3)。fuRoのロゴをはじめ封筒や名刺のデザイン、さらにfuRoの施設のデザインも担当されている。
さて、Hallucigenia 01は、その山中さんが、クリエイティブボックス代表の澁江建男さんにあって思いを語ったところから話が始まる。2002年の春のことだ。
この世に自動車というものが現れて1世紀たち、かなりの進化をとげてきた。しかし、「エンジンが一つあって、その動きを伝達することで車輪を動かす」という基本設計は変わっていない。最新の電気自動車であっても、エンジンが電気モーターになっただけで構造は変わっていないのだ。
一方、ロボットは、まだ生まれたばかりの技術ではあるが、基本的な考え方が違う。「実際に動くその場所にそれぞれモーターがあって、情報を伝達することでそれらが統合して動く」というスタイルを採るのだ。筋肉と神経からなる生物に近い考え方だ。冗長性は高い(全てのモーターが同時に使われることはほとんどない)が、そのかわり高い柔軟性・機動性を得られる。このロボットの考え方で自動車は作れないだろうか。
この話に澁江さんが乗った。一緒にやりましょう。山中さんはMorph3以来のつきあいの古田さんに声をかける。こうして、Leading Edge Design、クリエイティブボックス、fuRoのコラボレーションというスタイルができあがった。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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