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はてなが目指す「世界標準」(2/2 ページ)

日本の小さなベンチャー・はてなが、本気で世界標準を目指している。自社サービスを標準化することが、ユーザーに対する責任であり、会社の繁栄への道でもあるという。

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 「例えば『Web2.0』が流行っているという話になると、ものすごい数の企業やサービスができて、すごいことになってる。APIをくっつけるにしても『その組み合わせは見たけどこれはないだろう』みたいな。同じことが日本で起きているかというと、それ程たくさんはない」

 人々の技術への態度も、日本とは違うという。「技術者でない人さえ、四の五の言わずに技術者の話を聞く、という雰囲気があった」

 多くのサービスが競い合い、技術者以外の人々までもが技術の中身に注目する米国。はてなもそこに加わって、世界標準レースに参加する。「世界に認められたい。世界の人から、『はてなはいい物作ってる』と思われたい」

世界標準という白紙

 白い紙と、罫線いっぱいで項目入りの紙を渡されたら、前者を選ぶタイプ――近藤社長はこんな風に自己分析する。

 「まっさらな紙に好きなこと何でも書いていいと言われたら『何書こうかな』と楽しくなる。びっしり線が入ってて、日付、今日のできごと、時間……と並んでる紙は、意思を持った人に何かを強要されている気がしてすごく嫌。書く気が失せる」

 はてなが開発するサービスの多くは、自由度が高くてユーザーを縛らない。「道具は汎用的に作って、どう使うかに遊びを持たせたい」から、APIも公開し、ユーザーに“遊んで”もらおうとする。創造性を縛る枠はできる限り取り払い、サービスの可能性を広げていく。

 はてな自身も既存の枠にとらわれず、独自の道を切り開く。「ネットの標準サービスは常にアメリカから」という常識すら壊そうとする。

 前に進むには何が必要か――少なくともお金ではないようだ。最近、ベンチャーキャピタルから出資のオファーを受けたり、株式公開の予定を聞かれることが増えたが、大規模な資金調達の予定は今のところない。

 「お金ってなかなか使い道がない。使い切れないほどあれば、みんなが外車に乗ったりするのかな……そういうのって別に面白くもなんともない」

 競争力の源泉は人。次の時代を作るサービスを開発するのは、同社のスタッフたちだ。彼らが思う存分力を発揮できる環境を整えていきたいと、近藤社長は言う。

 「結局サービスドリブン、アイデアドリブン」。開発合宿や、水曜日と土曜日の休日選択制、社内に作った堀りごたつ――はてな社内の変な仕組みが、“世界標準”に向けたアイデアを練り上げ、刺激する場になる。

 日本発、はてな産の世界標準。前例はない。「そこは賭け。生まれるのを信じて進む」。真っ白な紙に、新しい道を描いていく。

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「白い紙に、どれだけ多様な創作性が花開くかということに興味がある」

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