新聞に生き残りの道はあるか 新聞社サイト、アクセス伸びず
「新聞社はもっと危機感を持つべき」――新聞の読者は減っており、新聞社サイトの読者数の伸びも鈍い。新聞社はネット時代に生き残れるのだろうか。
新聞の読者は目に見えて減っており、新聞社サイトの読者数の伸びも鈍い――ネットレイティングスの萩原雅之社長はこんな現状を紹介し、「新聞社はもっと危機感を持つべき」と警告する。その一方で「ニュースへのニーズは減っていない」と指摘し、新聞社がネット時代に適応するためのアイデアも披露した。
NHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」(2005年版)によると、新聞を読む人はここ10年で大きく減った。特に、30〜50代の働き盛り男性の落ち込みが激しい。「おそらくネットのせいだろう」
新聞社(全国紙)サイトのユニークユーザー(UU)数はここ5年間、ゆるやかに伸びているが、「ネット人口が5年で4〜5倍になったことを考えると、もっと伸びてしかるべき」(萩原社長)で、成長は鈍い。
その一方で、新聞社などから配信を受けた記事をピックアップして掲載する「Yahoo!トピックス」のUU数は急激に伸びている。「若い人はみんな、世の中の情報をYahoo!トピックスから得ていると考えていいだろう。ニュースへの需要はある」
ニュースの需要が減っていないのに、新聞を読む人が減り、新聞社サイトが伸びないのはなぜか――萩原社長は、新聞社が編集するニュースパッケージの需要が落ちているためと分析する。ユーザーはむしろ、Yahoo!トピックスやmixiニュース、RSSリーダー、ブログ、SNS日記、Googleニュースなど、新聞とは別の視点でパッケージ化されたニュースを好んでいる。
「ネット上では、新聞ブランドではなく、記事そのものへの関心でニュースが流通する」。この構造は、音楽業界でCDというパッケージのニーズが落ち、楽曲ごとに選んで購入できる音楽配信が立ち上がったことと同じといい、「新聞社が100年前から採っているパッケージモデル」に変革を迫る。
新聞がネットで生き残るには
新聞社はどうすれば生き残れるだろうか。萩原社長は「選択肢は限られている」としながらも、2つの可能性を示す。
1つは、パッケージを売るという考え方を捨て、高品質な記事を提供するプロバイダーに徹すること。特ダネを含めてすべてネット配信し、ポータルやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、ブログなどへの掲載記事を増やしてニュース配信料やトラフィックを稼ぐ、というアイデアだ。
もう1つは、新たに魅力的なパッケージを開発して集客する、というアイデア。堅い記事だけでなく、エンターテインメント系の柔らかい記事を増やしたり、集客力のある外部コンテンツを買収・提携したりする、というものだ。
後者を実践して成功した例が欧米にあるという。英BBCのサイトは、同社以外のコンテンツを広く集めたポータルとなり、集客力を高めた。米NewYork Timesはこのほど、About.comを買収。サイトを充実させ、UUを増やした。「日本の新聞社にも見習って欲しい。いろいろな素材を新聞社ブランドの下に集めることはできるはず」
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