新生「α」で試される「カメラメーカー・ソニー」
「α100」で一眼レフ市場への参入を果たすソニー。強豪の老舗メーカーがひしめく同市場で「リーディングカメラメーカー」を目指す同社の実力が試されそうだ。
ソニーが「α100」を発表し、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ(DSLR)市場に参入した(関連記事参照)。「DSLR市場の真打ち」をスローガンに、液晶テレビやDVDレコーダーとの連携など、ソニーならではの新しい写真の楽しみ方も提案する。
伝統的なブランド力が支配するカメラ界で、コンパクト機では家電メーカーながら世界大手の地位を築いたソニー。今度はコニカミノルタから引き継いだαマウントを引っさげ、キヤノンやニコンら老舗メーカーの牙城・DSLR市場に攻め込む。コンパクト機で培った実力はDSLR市場でも通用するか。「カメラメーカー・ソニー」の実力に注目が集まる。
参入第1弾の「α100」は普及機種との位置付け。APS-Cサイズの1020万画素CCDを搭載し、装着可能なレンズならすべて手ブレ防止効果がある「CCDシフト」方式の手ブレ補正機能や、CCD表面へのごみ付着を低減するアンチダスト機能を備えた。
価格はオープンで、ボディのみの実売予想価格は10万円前後、標準ズーム付き「ズームレンズキット」が12万円前後、ズームレンズ2本付きの「Wズームレンズキット」が14万円前後。
キヤノンの「EOS Kiss Digital N」のボディ実売価格は9万円前後。α100は各社の普及機と比べ高価だが、「このカテゴリーではもっとも高性能」(ソニーマーケティングの鹿野清常務)。手ブレ防止機能などの高付加価値を訴求していく。
「DSLRの真打ち」──その心は
「われわれはDSLRの真打ちになる」──勝本徹・同社デジタルイメージング事業本部AMC事業部長は都内で開いた発表会でこう宣言した。落語になぞらえたスローガンだが、その心は(1)伝統と文化を理解、(2)最後に登場し、一番の実力と人気を、(3)みんなを楽しませる──だという。
世界初の本格的なAF一眼レフとして誕生した「α」ブランドという「伝統」を受け継ぎつつ、ソニー得意のCCDセンサーや画像処理技術、背面液晶ディスプレイ、リチウムイオン充電池など内製デバイスをふんだんに盛り込んで高性能化した。勝本事業部長は「誰もがいい写真を撮れることを目指してきた」と自信を見せる。
販売プロモーションでは、デジタル家電と組み合わせた写真の楽しみ方を提案していく。撮影した写真を「スゴ録」に保存し、HD対応の「BRAVIA」で表示する──など、家電大手の強みをいかす。大都市での体験イベントやテレビCM展開などを予定し、ボーナス商戦でスタートダッシュをかける。
ツァイスT*レンズ3本。プラナー85ミリF1.4とゾナー135ミリF1.8はむしろ銀塩αユーザーに朗報かもしれないが、85ミリF1.4Gがラインアップから外れている。バリオ-ゾナー16−80ミリF3.5-4.5はデジタル専用
目標は「リーディングカメラメーカー」
カメラメーカーの業界団体・カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、2006年のDSLR生産出荷見通しは、台数で前年比23.4%増の468万台。最大手キヤノンは220万台、ニコンは175万台を見込み、オリンパスは40万台、ペンタックスは23万台を計画している。
各社とも、重点を置くのはDSLR。「デジタルデフレ」の中にあっても、DSLRは比較的価格を維持しやすく、コンパクトより高単価なため利益をあげやすいからだ。
新規参入に当たり、ソニーの中川裕・デジタルイメージング事業本部長は「リーディングカメラメーカーとしてのポジションを築きたい」として当初月産8万台、本年度に世界シェア10%を目標に掲げる。
ただ、ソニーに続き、松下電器産業もオリンパスと組んで参入を計画中(関連記事参照)。老舗カメラメーカーに家電メーカーが挑戦する形で競争が激化しそうだ。
だが、ある大手メーカー関係者は「一眼レフは銀塩時代から培ってきたブランド力や、レンズシステム、アクセサリーといったバックグラウンドも大切な世界だ」と指摘し、まずは新規参入組のお手並み拝見といったところ。後出しながら「真打ち」を名乗るソニーの実力が試される。
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