ネット揺るがす「mixiショック」「YouTubeショック」
今年に入ってSNSに参入するポータルサイトやISPが増えている。「まさにmixiショック」――ライブドアでポータル事業を取り仕切ってきた伊地知副社長は、mixiの伸びがポータル事業者を刺激していると見る。
今年に入ってSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に参入するポータルサイトやISPが増えている。「まさにmixiショックですよ」――ライブドアでポータル事業を取り仕切ってきた伊地知晋一副社長は、mixiの伸びがポータル事業者を刺激しているという見方を語る。
ヤフー、楽天、ソニーコミュニケーションネットワーク、エキサイト――ポータル・ISP各社が今年、次々にSNSに参入した。中小のネット事業者も続々と新SNSを開設している。
「mixiの急伸を見て、SNSは強力な集客エンジンになると気づき、各社焦り出したのだろう」。ユーザー自身が広告塔になるSNSの仕組みは、広告宣伝費をかけてユーザーを増やすよりも効率がいいと見られているという。
ただ「SNSはもうかるビジネスではないはず」と指摘する。ブログを含め、ユーザーがコンテンツを作るサービス(CGM:Consumer Generated Media)は、ユーザーが増えて盛り上がっても広告が入りにくいためで、SNS後発組はビジネスモデルの確立も課題だ(関連記事参照)。
ヤフーや楽天は、SNSを自社サービスのユーザープラットフォームとして位置づけることで、mixiとは異なる利便性をアピール。収益化の手段を模索する。
ライブドアが昨年1月から展開しているSNS「フレパ」も、当初は自社サービスへの誘導を狙っていたが、ポータルのリニューアルに伴って方針を変えた。今後は、同社のユーザー参加型サービスと連携し、各ユーザーの顔を見せるためのプロフィールページとして活用していく予定。エキサイトのSNS「ネームカード」と同様な位置づけだ。
YouTubeは「ビジネスモデルに問題」
日本からのアクセスが急増している動画共有サービス「YouTube」も、国内のネット各社を刺激しているという。フジテレビは「ワッチミー!TV」でYouTube型動画共有に参入。サイバーエージェントも同様なサービスを始めると発表している。
伊地知副社長は、YouTubeの収益化には懐疑的だ。「著作権を侵害したコンテンツが多い無法地帯。著作権フリーの広告コンテンツも一部公開されているようだが、違法コンテンツに合法コンテンツを混ぜて見せていく、という手法。これでは、イメージを気にする広告主が出稿したがらないため、ビジネスにならない」
YouTubeは違法コンテンツの削除を強化してきているが「無法地帯というのがYouTubeの強み。これを取ったら強みがなくなる」とし、サービスのクリーンさと人気が反比例する可能性を指摘する。違法コンテンツがある限り広告は入りにくい。だが違法コンテンツを根絶には膨大なコストがかかる上、サイトの人気を下げる要因にもなるため不可能――痛しかゆしだ。
ライブドアも画像共有サービス「PICS」を動画対応にすることを検討中だが、「動画サービスはコストがかかる」とし、ユーザーメリットとコストのバランスに注意しながら検討するという。
関連記事
- 「ヤフーに追いつけ」は“卒業”――ライブドアポータルがリニューアル
あの事件から半年。ライブドアのポータルサイトがリニューアルした。ヤフーを追いかけることを止めた同社が次に目指すのは。 - アクセスは増えたが……“口コミメディア”の悩み
ユーザーがコンテンツを作るメディア「CGM」が注目を浴びているが、価格.comやはてなといった有名サイトでも「なかなか広告が入らない」「口コミの効果が分かりにくい」とビジネスモデルには課題が多い。 - SNSで「楽天市場」の売り上げアップを
楽天は、SNS「楽天広場リンクス」でユーザー同士のコミュニケーションを盛り上げ、同社の他サービスに誘導したり、「楽天市場」のアフィリエイトを通じた売り上げアップにつなげたい考えだ。 - ヤフーが目指す「SNS以上」
ヤフーはSNSを、同社サービスのプラットフォームとして進化させる計画だ。純粋なコミュニケーションツールとして育ってきた「mixi」とは異なる方向を目指す。 - ソーシャルネットは他サービスへの誘導口――ライブドアのねらい
大手ポータルとして初めてソーシャルネット(SNS)に参入したライブドア。単体ではビジネスモデルが確立していないSNSだが、他サービスへの誘導口として利用するにはうってつけだという。人と人とのつながりがもたらす信頼感が鍵となる。 - ライブドア、ソーシャルネットに参入
ソーシャルネットワーキングサービス「livedoor フレンドパーク」β版がオープン。SNSを国内大手ポータルが展開するのは初めて。 - SNSを自作できる「So-net SNS」
So-netは、ユーザーが独自のSNSを作成できる「So-net SNS」のβ版を公開した。 - エキサイト、SNS機能付き“ブログ名刺”
- サイバーエージェント、動画サイトを“YouTube的”にリニューアル
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.