はてなは7月14日、米国シリコンバレーに100%子会社「Hatena Inc.」を設立し、近藤淳也社長が代表に就任すると発表した。
英語圏を初めとする多言語に対応したグローバルサービスの開発や、最新インターネット技術の研究、米国のネット企業との関係強化を行っていくとしている。
新会社の資本金は10万ドルで、カリフォルニア州ロスアルトス市内に設立した。スタッフは、近藤社長を含めて3人で、近藤社長が現地に常駐・指揮する。日本本社の活動は従来通り継続する。
近藤社長が発表した声明は以下の通り。
「はてなはこれまで5年間、京都から東京へと本社の場所を変えながら事業を拡大してきました。東京移転後2年が経過し、東京オフィスからも数々の新サービスをリリースしました。こうした中から『はてなブックマーク』といった新しい人気サービスが生まれている一方で、『はてなダイアリー』『はてなアンテナ』『人力検索』といった京都にて開発を行った初期のサービスが主力サービスであり、これらのサービスへの売上依存度が高い状態が続いているのも事実です。
こうした中で、東京オフィス以外の新規サービス開発環境の必要性を感じました。また、『いずれは日本発のグローバルなインターネットサービスを』という目標を掲げながらも、実現への道筋は遠い状態が続いています。
今回の米国子会社設立により、インターネット最先端の地に拠点を構え、当社の未来を支える次期主力サービスの開発を行う研究所としての役割を果たすと共に、グローバルな視点とより高度な技術力の獲得を目指し、グローバルサービスの展開を模索していきたいと考えています。
東京本社と米国子会社間での効率的な連携を行いながら、高度な技術と良質のコミュニティを兼ね備えた日本を代表するインターネット企業となるべく、邁進していきたいと思います。
今回の取り組みは、結果の見えない大きな挑戦だと考えています。組織が分散し、はてなの成長を阻害する可能性もあると思います。しかし、このような取り組みなくして、真に日本を代表するインターネット企業とはなり得ないという自覚のもと、成功を目指して最大限の努力を行っていきたいと考えています。
関係各社、ユーザーの皆様にも、ぜひご支援頂ければ幸いです。今後とも、はてなをよろしくお願いします」
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