「香りの出る電子看板」をレストラン店頭に NTTコムが実験
ビールの映像とレモンの香りで千客万来?――NTTコミュニケーションズは、電子看板と香り発生装置を組み合わせ、レストランの集客にいかす実験を行う。
NTTコミュニケーションズは、「香りの出る電子看板」の実証実験を10月21日に始める。香り発生装置と液晶ディスプレイをレストランの店頭に設置。ネット経由で香りと広告映像を配信し、集客効果や売り上げ効果を測定する。
映像に連動して複数の香りを出す広告は世界初という。2005年から販売してきた「香り発生装置」をレストランの店頭広告に応用し、新ビジネスの可能性を開拓する。
実験は、東京・八重洲のレストラン「キリンシティ」で12月下旬までの予定。新開発の香り発生装置「アロマディフューザー」と、19インチ液晶ディスプレイ、コンテンツ配信装置「Spot Media」を設置。ネット経由で受信したビールの映像や店内の映像などを表示しながら、ランチタイムには食欲をそそるオレンジとレモンの香り、夜には落ち着いたウッディーな香りというように、時間によって香りを切り替えたり、香りがついていない映像と交互に配信。集客効果を測定する。
アロマディフューザーは、450ミリリットル入りアロマオイルのボトルが3本入った香り発生装置。香りの種類や強さといった「レシピ」をネット経由で受け取ると、アロマオイルに超音波を当て、蒸気にして放出する。同社が従来発売していた個人向け香り発生装置「アロマジュール」は6〜15畳程度までしか香りが広がらなかったが、アロマデフューザーならさらに広範囲(500立方メートル)に香りを行き渡らせることができるという。
実験では、広告と組み合わせて香りの販促効果を試す。「同じビールを飲むにしても、ごみ箱の近くで飲むのと、良い香りがする店で飲むのでは気分やおいしさが違う。店の前を通ったお客さんが香りにつられてお店に立ち寄るなど、香りによって集客力がアップするだろう」(同社ネットビジネス事業部次世代コミュニケーション担当の濱田俊一さん)
同社は今年のバレンタインに、アロマジュールを使った香り実験も行った。バレンタイン用のチョコレートをビルの受付に置き、「自由にお取り下さい」と表記した上で1時間ごとにバニラの香りを放出。香りがある場合はない場合の1.79倍チョコが受け取られていたという。
5月から9月にかけ、都内の書店の店頭でも香り実験を行った。リラックス効果があるオレンジとラベンダーの香りを流した店舗の月間の売上高成長率を、香りを出していない店舗と比べたところ、香りがある店舗の方が4.78%高かったという。
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