実物大「かぐや」展示中 NEC「iEXPO」で
NECが開発した月周回衛星「かぐや」の実物大試験機が、同社のイベント「iEXPO 2007」で公開され、来場者の注目を集めている。
NECの技術やサービスを紹介するイベント「iEXPO 2007」(12月7日まで、東京ビッグサイト)で、同社が開発した月周回衛星「かぐや」の実物大試験機を展示している。宇宙開発事業への取り組みを紹介し、技術力の高さをアピールする。
かぐやは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が今年9月に打ち上げた月周回衛星で、現在は月の上空約100kmの周回軌道上にある。月の元素分布、地質・鉱物分布、地形・表層構造、重力分布といったデータを取得し、月面環境を約1年間観測。月の起源と進化の解明を目指す。
試験機は、かぐや打ち上げ時の振動や、打ち上げ後に宇宙空間の熱環境に耐えられるかなどを調べるために製作された。サイズは約6(高さ)×2(幅)×2(奥行き)メートルとかぐやと同じだ。
展示ブースには多くの人が訪れ、説明員に質問したり、携帯電話で写真を撮る人も。かぐやを見るためだけに、iEXPO 2007に来たという人もいたという。
「かぐやが地球に戻ってくると勘違いしている人もたくさんいて驚いた」と説明員。「月には水があるかもしれないと言われているので、そういうデータが取れれば。将来は着陸装置も開発して、地球からの指示で月の砂や石を採取して持ち帰れるようにしたい」
同社の宇宙開発事業の歴史は古く、1970年に打ち上げられた国内初の人工衛星「おおすみ」や、衛星「だいち」、探査機「はやぶさ」などの開発に携わってきた。「1956年、ロケットがどこまで飛んだか測定するテレメーター装置を開発して以来、50年以上宇宙開発事業に取り組んでいる」と説明員は話す。
来年2月打ち上げ予定の超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)もNECが開発に携わっている。
「かぐやには約12万点の部品があるが、その1個でも失えば打ち上げられない。NECが宇宙開発事業に取り組んでいることを知らない人も多いと思うが、試験機の展示を通じて、NECのもの作りの信頼性をアピールしたい」(説明員)
試験機の展示ブースには、月面写真のパネルの前で写真を撮れるコーナーも。写真を印刷したポストカードがその場でもらえる。
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